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下り最大3Gbps、ドコモがLTE-Advanced基地局装置の開発着手

下り最大3Gbps、ドコモがLTE-Advanced基地局装置の開発着手

 NTTドコモは、同社が「Xi」の名でサービスしているLTEの高度化通信技術「LTE-Advanced」の展開に向けて、このネットワーク構造を効果的に実現するための基地局装置の開発を開始した。

 ドコモでは、標準化団体である3GPPで策定作業が進められている、LTEの高度化サービス「LTE-Advanced」を展開する方針を固めている。高度化とは文字通りLTEを高度にするという意味で、例えばHSPA方式の通信を二重化して高度化したものがDC-HSPA方式、といったように技術向上を図っている。

 「LTE-Advanced」をより効果的に運用するため、ドコモでは「高度化C-RANアーキテクチャ」という新たなネットワークアーキテクチャを提唱している。今回の発表は、このネットワークアーキテクチャを実現する高密度基地局装置の開発に取り組むというもの。

 「LTE-Advanced」では、複数の周波数帯域を束ね、最大100MHz幅をとして利用できるキャリアアグリゲーション技術が3GPPで仕様規定される。これにより、理論上の最大通信速度は3Gbpsにまで高速化できるとしている。

 提唱する「高度化C-RANアーキテクチャ」は、広いエリアをカバーするマクロセル基地局と、局所的にエリアを埋めるスモールセル基地局を密に連携させるネットワーク構造のこと。マクロセル基地局の中にスモールセル基地局を追加(アドオン)して「アドオンセル」とすることで、通信速度の向上や移動中の接続を維持する。また、スモールセルの特徴でもある無線容量の拡大も図れるとしている。

 なお、マクロセルとスモールセルの混在する環境をヘテロジニアス・ネットワーク(HETNET)などと呼ぶ場合がある。「高度化C-RANアーキテクチャ」は、HETNET環境において、マクロセルとスモールセルをキャリアアグリゲーション技術によって連携させることが提唱されている。

 開発に取り組む高密度基地局装置では、親局にあたる基地局制御部で、これまでのマクロセル基地局(子局)と新たなアドオンセル基地局を合わせて、最大48台が収容できる。親局側でセルを組み合わせて複数の周波数帯域が束ねられる。

 ドコモではこの仕組みにより、たとえば駅や大規模な商業施設など、通信量の多い地域において、集中的に無線容量を確保して通信速度向上を図りたい考え。「LTE-Advanced」の基地局装置は、2015年度の開発完了を目指す。

 さらにドコモでは、将来的に複数の高密度基地局装置を組み合わせて、子局の収容数を拡張できるとしている。これにより理論上の最大通信速度である下り3Gbpsまで拡張できるとしている。

津田 啓夢