富士通研、LTE-Advancedの通信速度改善技術を開発


 富士通研究所は、次世代移動通信システムLTE-Advanced向けの高性能受信方式を開発した。混雑した場所でダウンロード時間が最大約30%短縮できるという。

 LTE-Advancedは、通信規格上、最大で3Gbpsの通信速度と規定されている次世代のモバイル向け通信システム。ユーザー拡大および通信料の増大に対応するため、複数のユーザー向け信号を異なるアンテナから同時間、同周波数で送信するマルチユーザーMIMO技術が採用される。このため、同時間・同周波数の送信信号から、他のユーザー向けの信号を分離して自分宛の信号のみを受信する必要がある。

 富士通研究所が開発した技術は、送信フォーマットである変調方式を端末ベースバンド回路の中で推定するというもの。これにより、他ユーザー向けの変調方式が端末側に通知されないLTE-Advancedの仕様上の課題をクリアし、基地局から送信される信号の中から信頼度の高い信号を選択するMLD(最尤検波)技術が適用できる。MIMOとLTEでより高精度な信号分離が実現するという。

 ベースバンド回路の中では、LTE-Advancedで採用される可能性のあるQPSK、16QAM、64QAMの3つの変調方式の信頼度情報を比較して、変調方式を推定する。富士通研究所の計算機シミュレーションでは、多くのユーザーが通信を行う状況下で、通信速度が最大で約1.5倍に改善することが確認されたという。

 富士通研究所では、推定精度を改善して小型化を検討、2015年頃の実用化を目指す。

 




(津田 啓夢)

2012/5/8 19:42