KDDI研、LTE-Advancedの基地局用新型アンテナを開発


 KDDI研究所は、電気興業と共同で、4G(第4世代)の通信技術であるLTE-Advancedの基地局用の新型アンテナを開発した。無線装置を内蔵しつつ、従来のアンテナと同等のサイズに仕上げられている。

 現在の携帯電話の基地局は、電力増幅機などを内蔵する無線装置と、アンテナは別々に設置している。KDDI研究所では、基地局装置をよりシンプルにして、設置工事の負担が軽くなるよう無線装置とアンテナを一体化させる研究を進めてきた。ところが、単純に一体化すると、アンテナが巨大になる。アンテナが巨大化すれば、風の影響が大きくなったり、建物の補強が必要になったりするなど、設置する場所によっては工事が大がかりになってしまうことから、無線装置を内蔵しつつアンテナを小型化する必要があった。

 今回開発された新型アンテナでは、電波を送受信する装置「アンテナ素子」で新たな手法を採用して小型化を実現。新型アンテナは直径135mmで長さ2000mmという棒状で、アンテナ自体のサイズは従来と同等ながら、アンテナ素子の背面に送信用回路と受信用回路を並べて配置した。さらに複数のアンテナでデータをやり取りすることで高速化を図る技術「MIMO」(Multi Input Multi Output)も利用できるようになった。消費電力についても従来の約半分になる見込みで災害発生時のバッテリー駆動でも、従来より長く運用できるようになる。まずは2GHz帯に対応したアンテナだが、今後は800MHz帯や1.5GHz帯など複数の周波数帯に対応したマルチバンド無線装置を内蔵できるアンテナの開発が進められる。

無線装置を内蔵して、よりシンプルな構成に
アンテナ素子での工夫(KDDI研究所報道資料)

(関口 聖)

2012/3/6 15:21