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ドコモ、LTE基地局とアクティブアンテナの接続試験に成功

ドコモ、LTE基地局とアクティブアンテナの接続試験に成功

 NTTドコモは、今後LTEやLTE-Advanvedで利用が見込まれるアクティブアンテナについて、商用網で利用している基地局との接続試験に成功したと発表した。

 アクティブアンテナは、細かな電波放射の制御が行えるアンテナで、対象となるエリアの形状や地形に細かく対応でき、より効率的なLTEエリアの構築が可能になるというもの。現在のドコモのLTE(Xi)網でアクティブアンテナは導入されていないが、従来のアクティブアンテナは標準インターフェイスが採用されていないため、基地局装置と同じベンダーから調達する必要があるなど、構成に制約があった。

 今回、ドコモは新たに、日本電業工作と独Ubidyne(ユビダイン)が共同開発したアクティブアンテナの試作機を試験に使用。これには、欧州電気通信標準化機構(ETSI)が進める国際標準規格のORI準拠インターフェイスが採用されている。すでにORI準拠インターフェイスを採用した基地局装置を商用網に導入しているドコモは、商用網のLTE基地局と新開発のアクティブアンテナをORI準拠インターフェイスで接続する試験を行った。

 また、これまでの一般的なアンテナは、近くに設置する無線装置の「RRH」(Remote Radio Head)と同軸ケーブルで接続する必要があったが、今回試験に使用されたアクティブアンテナは、RRHをアンテナに内蔵。従来よりも限られたスペースで設置が可能になり、安価かつ迅速に導入できるという。加えて、RRHを内蔵し同軸ケーブルを廃したことなどにより電気的損失が大幅に低減し、エリア半径の拡大や低消費電力化も実現したとしている。

アクティブアンテナと基地局の接続
日本電業工作とユビダインが共同開発したアクティブアンテナの試作機

 接続試験では、ORI準拠インターフェイスで接続されたLTE基地局の動作の確認、電波暗室内でのLTE信号の送受信の確認、アクティブアンテナのビーム成形機能の確認がそれぞれ実施された。

 ドコモでは、現行のLTE(Xi)や次世代のLTE-Advancedでの利用を想定して今回の試験を実施している。一方、3GPPに対しては標準化を働きかけていく意向だが、標準化が完了する時期や実際の商用網への導入時期は現在のところ未定としている。

太田 亮三