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クアルコム「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」が実現するオンデバイスAIとスマホの未来像

【Snapdragon Summit 2026】

 米クアルコム(Qualcomm)は、米国ハワイ州オアフ島で9月22日~24日に開催しているイベント「Snapdragon Summit 2026」の会場で、モバイル向け最新プロセッサー「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」などを活用したオンデバイスAI技術の実証デモンストレーションを披露した。

 今回のデモンストレーションは、新製品の「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」を軸に、新製品の機能によって実現できるユースケースを紹介するものであり、スマートフォンメーカーが新機種開発時に実際に搭載するかどうかはメーカー自身が判断することになる。

 展示では、ネットワークに接続しない完全オフライン環境での大型言語モデル動作や、スマートグラスと連携した自動決済処理、AIによる動画の自動編集など、端末内で高度なAI処理を完結させる複数の技術が公開された。

300億パラメータLLMのオフライン動作

 Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6を搭載したスマートフォン上で、300億パラメータ規模のMixture of Experts(MoE)モデル「StepEdge-Omni MoE」を完全にオフラインで動作させるデモが披露された。

 受信したメールの情報をAIエージェントが解析し、カレンダー登録やフライト、ホテルの検索、予約といった6つの行程からなるプランを生成して順次実行する。各ステップではユーザーの承認を挟む仕組みとし、意図しない自動処理を防止している。

 モデルの実行においては、超高速ストレージ規格であるUFS 5.0によるフラッシュストレージからの直接読み込みに対応し、メモリ要件を50%以上削減することで高精度な推論を高速化している。

自動決済「Agentic Commerce」とハイブリッドAI「Neural Crypto」

 スマートグラスと連携したパーソナライズAIエージェントによる決済デモ「Agentic Commerce」が提示された。

 スマートフォン側のSensing Hub技術を活用してユーザーの好みや文脈に合ったアクティビティを検索し、Mastercardなどの決済基盤と連動して提示する。ユーザーがタップ操作や生体認証、2要素認証などで承認することで、購入手続きが完了する。ハードウェアのRoot of Trustや暗号化ストレージを活用し、センサー検出から決済実行までを多層的に保護する仕組みが組み込まれている。

AIによる動画のハイライト生成と写真補正

 メディア処理においては、強化されたNPU性能を生かした「AI Highlight Tool」が公開された。

 端末内に保存された複数の短尺写真・動画(合計最大5分)から、視覚言語モデル(VLM)を用いて主要な場面をAIが自動で判定して抽出し、数秒でハイライト動画を生成する。表示順の入れ替えも直感的に操作でき、外部サーバーへアップロードすることなく端末内だけで迅速にSNS向けの動画を作成できる。

 写真補正では、低照度補正、ノイズ除去、超解像処理の3種類を同時に適用するデモが示された。

特定の音声のみを抽出する「AI Voice Bubble」

 音声処理技術では、端末の複数マイクとAIを組み合わせる「AI Voice Bubble(仮称)」の実証デモが公開された。

 端末の周囲約1メートルの空間に仮想的な音声領域を形成し、領域外で発生する大音量の騒音や人の声を強力に遮断して、領域内の話し声のみを相手に届ける。工業地帯などの高騒音環境における通話のほか、将来的なスマートペンダントなどのウェアラブル機器への応用が見込まれている。

GPU内のAI専用コア「Adreno Neural Fusion」

 グラフィック面では、GPU内部にAI専用コアを備えた「Adreno Neural Fusion」が紹介された。超解像、フレーム生成、ニューラル処理を同一パイプラインで一括処理することで、Unreal Engine 5による3100以上の動的光源を含む複雑な3D描写を、低消費電力かつ低遅延でスムーズに描画する。

レノボやモトローラによるクロスデバイス対応

 レノボやモトローラの製品群を対象としたクロスデバイス対応のハイブリッドAI機能の展示も用意されていた。

 16GB以上のメモリを搭載したPCなどで30億パラメータのローカルモデルを駆動させ、動画のリアルタイム文字起こしや翻訳、要約、Notionなどの外部ツールと連携した学習ガイドの作成などが可能となる。プライバシーを保護しつつローカル処理を優先する設計となっており、日本市場向けには2~3カ月以内の提供を目指して日本語化が進められている。