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KDDIとOsaka Metro、ヒューマノイド駅員の実証実験 アバターではなく“物理ロボット”を選んだ理由とは
2026年9月1日 11:20
大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)とKDDI、AVITAは、梅田駅の「Metro Opus 梅田店」で、生成AIを搭載したヒューマノイドによる駅案内の実証実験を開始した。9月6日まで設置し、9月9日~15日には谷町九丁目駅に設置する。
実証実験の背景と狙い
Osaka Metroは、新しいテクノロジーの活用を通じて、駅という場所でこれまでにない価値や体験を提供できるか検証するために実証実験を始めたという。
Osaka Metroの大串忠弘氏は、「実証実験を通じて、どれだけヒューマノイドが利用者に受け入れられるか、ヒューマノイドの案内品質が適切かどうか確認する。今回の結果を踏まえたうえで、コストや安心・安全を総合的に勘案して今後の方針を検討したい」と語った。
KDDIは通信を基盤としたライフデザイン企業として社会課題の解決を目指しており、その一環としてフィジカルAIに注力する。またAVITAは、人型ロボットを活用した社会課題解決を推進する。
AVITAの西口昇吾氏は、「代表の石黒浩氏が大阪関西万博で披露した『人とロボットが共生する社会』の実現に向け、日常の至る所にロボットが存在する未来を目指していく」と語る。
中性的なデザインとメイクへのこだわり
案内に使用するヒューマノイドは、性別を特定しない中性的な外見デザインを採用した。見た目の親しみやすさを追求するため、メイクにも細部までこだわりを反映した。眉毛は1本ずつ植毛して自然な毛流れを作り出し、上向きのまつげや肌の土台からパールを入れて発光させるツヤ感など、トレンドのメイクを取り入れている。
メイクを担当KDDIの横山裕美氏は、「あたたかみや人間味を感じてもらいたかった。のっぺりしたイメージを払拭するため、土台からパールを入れて発光するようなトレンドの顔に仕上げている」と工夫を明かす。ヒューマノイド特有の無機質な印象を和らげ、親しみやすい仕上がりを実現した。
西口氏も「通りかかった人が『最近の女優さんはきれいだな』と、ロボットだと気づかずに通り過ぎてしまったこともある」と、その自然でリアルな完成度の高さを窺わせるエピソードを明かした。
今回、ディスプレイ上のCGアバターではなく、ヒューマノイドを選んだ理由について、画面上のアバターでは会話できる存在だと気づきにくい高齢者に対しても、物理的な人型ロボットにすることで「話しかけられる存在」であると直感的に理解させる狙いがある。
西口氏は、「アバターの弱みとして、高齢者などが会話できる存在だと気づかないことがある。ロボットであれば人間と同じようなインターフェイスがあり、一目で話せる存在だと分かる魅力がある」と説明する。
Geminiを活用した案内と技術的工夫
システムの対話エンジンには、グーグルの生成AI「Gemini」を採用。Osaka Metroから提供された駅構内の案内や乗り換え情報などのデータベースを参照するようカスタマイズを施しており、誤った情報を回答しない仕組みを構築している。
さらに約60言語に対応し、増加する訪日外国人客からの問い合せにもスムーズに応答する。また、眼球にはカメラが内蔵されており、ユーザーを特定して視線を合わせる機能をもつ。
乗り換えやおすすめの観光地などを教えてくれる
「大阪城に行きたい」「お手洗いはどこ?」といった駅構内・アクセスの質問に対し、最寄り駅や乗車するホームの番号、乗り換え路線などを滑らかな音声で即座に回答する。また、手元でもその案内を確認できるように、横のディスプレイにQRコードを表示する。
さらに「美味しいたこ焼き屋さんを教えて」「景色が良い場所は?」といった抽象的な質問に対しても、道頓堀の名店を具体的に挙げて提案。音声案内と同時に画面へQRコードが表示され、手持ちのスマートフォンで読み取ると、Googleマップの店舗情報や詳細なルート案内を手元で確認できる仕組みになっている。
英語や中国語で話しかけると、即座にその言語を認識して外国語でスムーズに応答した。
今後の展開
3社は今回の実証実験で得られた案内品質やコスト面、安全性の検証結果を踏まえ、今後の方向性を慎重に検討していく。現時点で具体的な本格導入時期は未定としているが、駅での案内に留まらず、ホテルの受付や病院での案内など、多岐にわたる現場への展開を視野に入れる。
将来的には対話によるコミュニケーション業務にとどまらず、ペットボトル程度の物品を手渡すような物理作業への拡張も検討する。多様な利用客が行き交う環境で知見を積み重ね、ロボットが社会に自然に溶け込む未来の実現に向けて検証を重ねていく。









