ニュース

PayPay、25年度通期決算で「Rule of X」56%を達成 決済・金融事業の現状と戦略を説明

 PayPayは、2025年度通期および第4四半期の決算説明会を開催し、事業の成長性と収益性の合計値を示す指標「Rule of X」において56%を達成したと発表した。営業収益は前年比27%増の3807億円となり、全体の41%を金融関連事業が占めた。

決済と金融の収益状況

 PayPayの25年度通期決算は、営業収益が前年から拡大し3807億円となった。調整後EBITDAマージンは29%。売上成長率(27%)とマージン(29%)を足し合わせた「Rule of X」は56を記録した。中山一郎CEOは「成長性と収益性を両立して事業成長させることをコミットしてきた。今回の決算はその約束を果たす第一歩だ」と語る。

 収益は全体の59%を占める決済関連事業と、41%を占める金融関連事業で構成。決済事業では、月間アクティブユーザー数が4100万人に到達した。ユーザー1人あたりの月間決済金額は前年同期比で11%増加し、4万1000円となった。

 中山氏からは、経済産業省などのデータをもとにした決済回数シェアも示された。それによれば、2025年の国内におけるキャッシュレス決済は435億回。クレジットカードや電子マネーなども含む数字だが、そのうち20%がPayPayと大きなシェアを締めていることが示された。

決済アプリを起点としたクロスセル

 説明会後の質疑応答において、アナリストからの質問に対し、経営陣はPayPayのエコシステムを通じたクロスセルの状況を説明した。中山CEOは、「カード事業では、多くのユーザーがPayPayと連携しており、顧客獲得コストをかけずにユーザーや残高を伸ばすことができている。銀行や証券についても過半数のユーザーが連携しており、コストを抑えてユーザーを拡大できる点は強みだ」と語る。

 各金融サービスの指標として、PayPayカードの有効発行枚数は前年比22%増の1690万枚、PayPay銀行の口座数は12%増の1000万口座、PayPay証券の口座数は26%増の173万口座となった。

AI活用と若年層開拓で次なる成長ドライバーを育成

 AI活用に関する質問に対しては、カスタマーサポート領域における人員の最適化や、決済データを用いた不正検知モデルの高度化などにAIが導入されていることが説明された。

 また、10代~20代を中心とした若年層の開拓に向けて、オンライン本人確認(eKYC)の条件が緩和され、ポイント還元などの優遇策が導入された。これにより、対象層の口座開設数やカード発行数が増加している。

 26年度の業績見通しは、営業収益を4540億~4620億円、調整後EBITDAを1345億~1405億円と見込む。金利上昇などのマクロ経済の変化に対しては、銀行事業での貸出金利収益増など、グループ全体でバランスを取る体制が構築されている。

報道向けの主な質疑応答

――海外でのPayPayの利用について、今後の展開は。

中山氏
 ユーザーの利便性が上がりつつあると思っています。これに限らず、使える国を増やしていきたいということは考えています。

 一方で、使える店の数も増やさないといけません。オフラインで使える店を増やしていくという活動は、これからも進めていかないといけないと感じています。

――将来的なエージェンティック・コマースについてどう考えているか。

中山氏
 現時点で申し上げられることはありませんが、我々としても準備している最中です。単にエージェンティック・コマースに対応しました、ということではPayPayらしくない体験になるため、PayPayがやるエージェンティック・コマースはこういうものだということを、ユーザーの皆さんに説明できるように準備しています。

――ソフトバンク・ワイモバイルの料金プランとの連携というのは、どの程度収益に貢献しているのか。アクティブユーザーの利用傾向について、他のPayPayユーザーと比べてどの程度違いをもたらしているのか。

中山氏
 ソフトバンクユーザー・ワイモバイルユーザーのGMVに対する貢献は、我々ユニバーサルサービスであるものの高い傾向にあります。一方で、これは課題ですが、ソフトバンクユーザーおよびワイモバイルユーザーの携帯料金の引き落としが、これまで必ずしもPayPay銀行やPayPayカードで満たされているかというとそうではなかったため、より携帯料金の引き落としにPayPay銀行やPayPayカードを使っていただく。これをグループ一体となって進めていきたいと思っています。

 MTUに関しては、繰り返しになりますがユニバーサルサービスのため、他の携帯キャリアのユーザーもたくさんいますが、ソフトバンクが展開しているペイトクによって、よりソフトバンクユーザーのMTUないしは単価が上がっているというのは、数字として言えます。

――金融サービスセグメントへの影響は。

中山氏
 ソフトバンクユーザーがPayPayを使うとより便利でお得だという認知が広まっているため、それをこれからはPayPay銀行やPayPayカード、PayPay証券により広げていけると思っていますので、これもアップサイドだと考えていただければ結構です。

――PayPayカード ゴールドの特典変更について、勝算を教えてほしい。

中山氏
 現時点ではゴールドカードの発行枚数に課題を感じていました。その課題を克服できるのが、この計画だと私達としてはソフトバンクとも相談して決めたということなので、この新たなプランでPayPayカード ゴールドの発行枚数がさらに増えるというふうに考えています。結果はもうしばらくお待ちいただければと思います。

――一方でより高い金額を決済する人にとっては少し改悪となる。プラチナカードなど、高額決済者に対する新しいカードなどは検討しているのか。

中山氏
 現時点で、具体的な計画は、もちろん社内では話してますが、いついつまでにこれを出しますというものはございません。数字として見えてきたら、当然それはそのユーザー(高額決済者)に向けて、おっしゃったようなことをやっていくというのは他社さんもやっているため、考えていこうと思います。

――若年層にフォーカスしていくという話だった。改めてこのなぜ若年層にフォーカスしていくのかという理由と、伸びしろやビジネスチャンスがそこに本当にあるのかどうか認識を知りたい。

中山氏
 資料には若年層エンゲージメントの強化って書いていますが、どちらかというとスマートフォンネイティブのユーザーに大変PayPayは支持されているということがよくわかりました。

 逆に言うと我々はパソコンのサービスはやっていません。スマートフォンに特化した形でやってきましたが、スマートフォンで日々の生活、あるいは課題を解決する方に支持されているというのがPayPayというブランドだと思います。

 その中でも特に、若者はスマートフォンで解決することを最初に思い浮かべると思うので、これが若者層により受けているんだと考えています。そういう意味では若者層、若年層がPayPayを支持してくれるのであれば、よりそこに対して経営資源をかけてやっていこうということで、数年間かけてやってきたことが、ようやく今我々としても目に見える形で現れてきたんだと考えています。

――ポイント特典の規約改定について、今後もポイントの発行数は減っていく見通しなのか。現状、楽天が発行量が一番多いと思うが、これを本当に超える目標が継続されているのかどうか。

中山氏
 ポイントの発行については、これからも伸ばしていく予定です。どこかのタイミングで開示できると思うので、「あ、ここまで伸びてたんだ」というふうに驚いていただけるんじゃないかなと思います。PayPayだけではなく、ソフトバンクやLINEヤフー含めてPayPay経済圏が増えていますし、地方自治体の方あるいは加盟店の方も積極的に販促にPayPayポイントを使っていただいてますので、我々としては絞るというつもりは一切ありません。

 一方でロイヤルユーザーにとって非常に有効だということもありますので、より我々としてはロイヤルユーザーを増やしていきたいということもありますから、ここで今回の改定を実行したということでございます。

――NTTドコモがマネックス証券の口座をドコモショップで作ってもらえるようなことをやるなど、ショップの活用をしている。PayPayもショップを活用した様々な金融サービスの連携について考えていますか。

中山氏
 ソフトバンクとよく相談しながら進めていきたいということを前提に申し上げますが、カジュアルな会話では当然ソフトバンクと色々会話しています。具体的にどう進めるかっていうのは今年、より会話を深めていき、やるかやらないかも含めて、あるいはやるんだったらどういうやり方をするんだというのを会話していきたいというふうに思っています。

 先ほどの質問にもありましたが、スマートフォンのタッチポイントを使ってすぐ口座を作ってもらうとかスマートフォンで特化してない銀行のサービスがどうも使い勝手が……という方に対して、PayPay銀行のサービスあるいはPayPay証券の証券サービスが支持されているため、それがPayPayの強みかなというふうに今はちょっと考えてる次第でございます。