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スマホと衛星が直接通信、700MHz帯の技術条件案を公表 総務省が意見募集を開始

 総務省は、人工衛星とスマートフォンを直接つなぐ「衛星ダイレクト通信」について、700MHz帯(プラチナバンド)を用いたシステムの技術的条件をまとめた報告書案を公表した。5月15日までパブリックコメントを実施し、その結果を踏まえて報告を正式にまとめる方針。

通信システムの概要及びエリアカバーのイメージ(総務省資料より)

エリア外をカバー

 衛星ダイレクト通信は、従来の衛星通信のように専用アンテナや端末を必要とせず、手持ちのスマートフォンで直接衛星と通信できるサービス。地上の基地局が整備されていない離島、海上、山間部などの通信エリア外を効率的にカバーする手段として期待されている。また、自然災害時などの非常時において、既存の携帯電話網を補完する通信手段としても重要性が高まっている。

 今回の検討は、デジタルビジネスの拡大に向けた電波政策上の課題や、あらゆる空間における電波利用の拡大への対応として、技術基準の策定を速やかに行うために実施された。同様の仕組みは2GHz帯で先行して制度整備が行われており、2025年4月からはKDDIによって実際のサービス提供が開始されている。

248基の衛星で日本全国をサービスエリアに

 報告案で示されたシステムでは、高度520km、685km、690kmの軌道に配置された248基の人工衛星によるコンステレーションを運用する。衛星1基あたり直径48km程度のセルを地上に構成し、日本全国をサービスエリアとすることが可能となる。

 利用周波数は、携帯電話用周波数(Band 28)の700MHz帯の一部を使用。スマートフォンから衛星への上り回線に715MHz~718MHz、衛星からスマートフォンへの下り回線に770MHz~773MHzを割り当てる。

 また、通信規格としてeMTCやNB-IoTも利用できる設計。衛星と地上のコアネットワークを結ぶフィーダリンクには、40GHz帯(39.5GHz~48.7GHzの範囲内)が使用される。

既存システムとの共用検討結果

 既存の無線システムとの干渉については、詳細なシミュレーションに基づき検討が行われた。700MHz帯を共用する特定ラジオマイクや地上テレビ放送、ITS(高度道路交通システム)などに対しては、適切なガードバンドの確保やサービスエリアの設定により、共用は可能だと結論づけられた。

 たとえば、地上テレビ放送に対しては、60MHzのガードバンドが確保されていることに加え、衛星からの到達電力が地上の基地局と比較して非常に小さいことから、影響は限定的とされる。ただし、携帯移動地球局(スマートフォン)から特定ラジオマイクへの干渉を防ぐため、特定ラジオマイクの固定施設などをサービスエリアから外すといった措置が適当だとしている。

衛星局及び地上の移動通信システム(基地局)からの一定離隔距離での到達電力の比較結果(総務省資料より)

 また、フィーダリンクに使用する40GHz帯についても、5G基地局や電波天文、HAPS(成層圏プラットフォーム)などとの共用が検討された。5G基地局との共用では、ゲートウェイ地球局(GW地球局)との間に一定の離隔距離を確保することで共用できる見通し。具体的には、5G基地局からGW地球局に対し、同一周波数の場合は9.9km、隣接周波数の場合は495mの離隔距離が必要となる。