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スマホと衛星の直接通信に700MHz帯、総務省が新計画 26GHz帯で5Gオークションへ

 総務省は11月28日、電波の有効利用に向けた具体的な取り組みや方針を示す「周波数再編アクションプラン(令和7年度版)」を公表した。

 2025年度(令和7年度)の重点的な取り組みとして、5G(第5世代移動通信システム)における「価額競争(オークション方式)」の実施に向けた指針整備や、6GHz帯無線LANの屋外利用拡大、自動車通信(V2X)用周波数の割り当てなどが盛り込まれている。

5G周波数の26GHz帯はオークション実施へ、40GHz帯は計画見直し

 5Gの普及と高速化に向けた周波数確保では、26GHz帯(25.25~27GHz)と40GHz帯(37.0~43.5GHz)の扱いについて、前年度版の計画から大きな変更があった。

 26GHz帯については、2025年度内を目途に5Gに係る技術基準および「価額競争(条件付オークション)」の実施に向けた指針を整備する。その後、既存無線システムと共用の可能性が高い周波数を、オークション方式によって5Gへ割り当てることを目指す。

 前年度版(令和6年度版)のアクションプランでは26GHz帯と同様に2025年度末の割り当てを目指していた40GHz帯については、方針が見直された。2025年5月に実施した利用意向調査の結果、事業者から早期の割り当て希望が示されなかったため、今回は割り当て時期などを改めて検討するとしている。

Wi-Fiは6GHz帯屋外利用と6.5GHz帯拡張を推進

 無線LAN(Wi-Fi)に関しては、通信速度の向上と混雑解消に向けた帯域拡張が進められる。

 現在、屋内利用に限られている6GHz帯(5925~6425MHz)の「SP(Standard Power)モード」による屋外利用の解禁に向けた検討を進める。
 さらに、周波数帯域を6.5GHz帯(6425~7125MHz)へ拡張し、同帯域でも屋外利用を可能にするための技術的条件を、2025年度中を目途に取りまとめる方針だ。これらの屋外利用や帯域拡張にあたっては、既存の無線局への干渉を防ぐ「AFC(自動周波数調整)システム」の運用ルールについても検討が行われる。

V2Xは5.9GHz帯割り当てへ、NTNは衛星直接通信を整備

自動運転や安全運転支援に不可欠なV2X(Vehicle to Everything)通信については、国際的に主流となりつつある5.9GHz帯(5895~5925MHz)の割り当てに向けた動きが本格化する。

 2025年度中に周波数割当計画の変更を行い、V2X通信向けの割り当てを可能にする。その後、2026年度中を目途に実際に周波数の割り当てを行う予定だ。

 空や宇宙から通信エリアを構築するNTN(非地上系ネットワーク)分野では、スマートフォンと衛星が直接通信する「衛星ダイレクト通信」について、700MHz帯を利用するシステムの制度整備を2026年(令和8年)中に行う。

 また、成層圏を飛行するHAPS(高高度プラットフォーム)や、Ka帯を利用する非静止衛星通信システムについては、2025年度内を目途に制度整備を行うとしている。

2040年までにさらに約47GHz幅の確保目指す

 総務省は、データトラフィックの増大に対応するため、2040年末までに新たに確保すべき周波数帯域幅の目標を掲げている。

 携帯電話網、NTN、Wi-Fiを合わせて約70GHz幅(正確には73.1GHz幅)が必要と試算されており、2023年末時点の確保済み帯域(約26.5GHz幅)から、さらに約47GHz幅を追加確保することを目指す。

 なお、2024年度(令和6年度)中には、携帯電話向け非静止衛星システム(2GHz帯)や4.9GHz帯の帯域拡張などにより、プラス0.34GHz幅を確保した。