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ソフトバンク、5Gミリ波SAによるFWA通信の実証に成功
2025年10月28日 12:13
ソフトバンクは、5G向けに割り当てられている28GHz帯のミリ波を単独で運用する「ミリ波スタンドアローン(SA)」によるFWA(Fixed Wireless Access、固定無線アクセス)通信の実証実験に成功したと発表した。
実証は、商用の5Gネットワークを利用し、横浜市内の施設屋外に設置したFWA用CPE(構内設置機器)を用いて実施。下り・上りともにミリ波を単独で利用する構成において、下り最大2.38Gbps、上り最大541Mbpsと理論値に近い高速かつ安定した通信を確認した。
ミリ波SAで安定性を確保
従来のミリ波通信は、4GやSub6など他の周波数帯を併用するEN-DC方式やNR-DC方式で提供されてきた。ミリ波は広帯域・大容量通信が可能な一方で、直進性が高くエリア展開が難しいとされてきたが、ソフトバンクではその特性を生かした技術開発を進めている。
今回の実証では、複数端末が同時に通信する環境でも合計スループットの低下は見られず、ミリ波SA構成でも安定した双方向通信を実現。特に上り通信の安定性向上においては、CPEのビームフォーミング機能と基地局側のマルチアンテナ合成受信機能を組み合わせることで、高次変調(64QAM)と2×2 MIMOを安定的に維持できた。これにより、従来方式で課題だった4GやSub6側の通信品質の影響を受けにくく、より安定した高速通信が可能となった。
光回線に匹敵する速度を短期間で構築
今回の実証では、既存の商用基地局とネットワークをそのまま利用し、CPE以外に特別な設備は不要だった。ミリ波の基地局が整備されているエリアであれば、CPEを設置するだけで短期間に高速・高品質な通信環境を構築できることが確認された。
また、屋外に設置したFWA用CPEと屋内の既存ネットワークを組み合わせることで、タブレットなど屋内端末にも安定した通信を提供可能であることを確認。その通信品質は、光回線を利用した屋内ネットワークと同等であり、ミリ波SAによるFWAが光回線に匹敵する高速通信手段として有効であることが示された。
災害対応や社会インフラの高度化に貢献
ソフトバンクは、ミリ波の活用例として、防災拠点や庁舎間通信網を短期間で構築し、自治体や公共施設の即時対応型通信インフラに利用するケースを想定している。
教育現場では、校舎に光回線と同等の通信環境を提供し、災害時には避難所の大容量通信手段としても活用可能。また、イベント会場やスタジアムでの大容量オフロード通信、工場や港湾での映像監視・遠隔制御・IoT通信など、低遅延かつ高信頼な産業インフラの実現にも寄与するとしている。

