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三菱UFJ、高輪ゲートウェイ内に新コンセプト店舗「エムットスクエアTAKANAWA」を開設

 三菱UFJ銀行は、「ニュウマン高輪」(東京都港区)内に個人ユーザー特化型店舗「エムットスクエアTAKANAWA」(品川駅前支店高輪出張所)を9月12日に開設する。

 従来店舗とは異なりアプリやタブレットなどでの手続きをベースとしているほか、金融/非金融にかかわらずさまざまなイベントの開催も実施するという。加えて、営業時間を11時~20時、土曜と祝日にも営業時間を拡大し、子育て世代や現役世代にも利用しやすい店舗を目指し運営される。

 開設に先立ち開催された説明会には、同行の半沢淳一頭取らが登壇し、新コンセプト店舗の紹介や想いが語られた。

説明会ではテープカットも実施。左から、三菱UFJ銀行常務執行役員リテール・デジタル部門副部門長の向井理人氏、リテール・デジタル部門長の山本忠司氏、取締役頭取執行役員の半沢淳一氏、JR東日本代表取締役社長の喜㔟陽一氏、三菱UFJ銀行専務執行役員法人・ウェルスマネジメント部門副部門長の田中琢哉氏、品川駅前支店高輪出張所長の鏡美和氏

約20年ぶりの新規店舗

三菱UFJ銀行取締役頭取執行役員の半沢淳一氏

 三菱UFJ銀行取締役頭取執行役員の半沢淳一氏は、同店を「約20年ぶりの店舗となる」とコメント。銀行の存在を「社会や生活の変化とともに、姿を変えながらユーザーに必要とされる新しい価値を提供していかなければならない」とし、今回の店舗ではより多くのユーザーが利用できるように、「営業時間の拡大」や「金融に留まらないイベントの定期開催」などで、地域とのつながりを生み出すとともに、同行店舗の姿を大きく変える“新しいチャレンジ”になるとした。

 また、同行と三菱UFJ信託銀行、JR東日本は「TAKANAWA GATEWAY CITY」における広域スタートアップエコシステム構築の推進に向けて、約10年間に渡るパートナーシップ協定を締結している。半沢氏は、同行でもさまざまなスタートアップの調達購買を加速させる取り組みを進めたり、街を拠点としたスタートアップ企業との協業を推進したりしていくと説明。JR東日本グループと協業しながら、金融教育イベントやデジタルプラットフォームを通じた幅広いコンテンツの提供などを目指すとした。

進化するSuicaの実験場

JR東日本代表取締役社長の喜㔟陽一氏

 説明会には、TAKANAWA GATEWAY CITYを開発するJR東日本(東日本旅客鉃道)代表取締役社長の喜㔟陽一氏も登壇。

 喜㔟氏は、TAKANAWA GATEWAY CITYを同社の交通系ICカード「Suica」とあわせて「この街は、進化するSuicaの実験場」と説明。「ユーザーのさまざまな生活に繋がるデバイスへと進化を目指している。Suicaの進化とこの街での金融ファイナンスと連携することで、我々だけではできないSuicaの新しいデジタルの価値をいっしょに作っていければと思う」と話す。

 JR東日本では、Suicaについて、現行の交通利用や少額決済に留まらない「Suicaのスーパーアプリ化構想」を2024年6月に発表。クラウド処理によるこれまでよりも複雑な割引処理や交通手配、シームレスな利用などで、「Suica経済圏」を作り出すことを目指している。グループ外の企業や自治体との連携により地域社会をDX化することも構想に含まれており、TAKANAWA GATEWAY CITYにおいても、三菱UFJ銀行との連携でさまざまなサービスや機能を実証していく姿勢が見られた。

テープカットで鋏を入れる半沢氏と喜㔟氏

エムットスクエアの特徴

 昨今の金融市場における個人ユーザーの動向として、三菱UFJ銀行取締役常務執行役員リテール・デジタル部門長の山本忠司氏は「資産運用への関心やニーズが急速に高まっている」と説明。ライフスタイルによりそう個人向けの総合金融サービス「エムット」を開始し、今回の店舗はサービスとユーザーとのより身近なリアル接点として開設したと話す。

三菱UFJ銀行取締役常務執行役員リテール・デジタル部門長の山本忠司氏

 エムットスクエアTAKANAWAの特徴を、山本氏は「個人専用の店舗」、「オープンで入りやすい店舗」、「利用しやすい営業時間」、「金融に留まらないイベントの開催」の4つを挙げる。

 個人専用の店舗とした理由を山本氏は「暮らしにまつわるお金のちょっとした困りごとを相談できる場」を目指したと説明する。また、銀行らしい堅苦しさを解消し、立ち寄りやすくするため、従業員の服装や店内の香りまでこだわっているという。

 イベントについては「こども向けの金融教室」や「朝活セミナー」など、地域のユーザーや周辺で働くユーザーの拠点になるような店舗とするとともに、地域課題解決への取り組みも実施する。

 また、新たな取り組みとしてメタバース空間上での匿名相談も実施。オンライン上の仮想空間で場所や時間のハードルを下げて相談でき、より深い相談をしたい場合は、店舗でキャッチアップし、しっかりと相談できるようにするとした。

窓口で現金は取り扱わない。店舗内には、ATMが1台設置されている

既存店舗の転換なども検討

 エムットスクエアの店舗について、10月20日に「みのおキューズモール」(大阪府箕面市)内にも店舗を出店し、今回の港区の店舗と合わせパイロット店舗として運営していくという。

 その後、明確なスケジュールが決まっていないとしながらも、既存店舗の1/4~1/3の店舗を、エムットスクエアと同様のコンセプトを持った店舗に展開していくという。港区の店舗では、窓口での現金の取り扱いをなくしたり、営業時間を拡大したりしているが、既存店舗の転換にあたっては、店舗や地域の状況を見ながら判断していくとしている。