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アップル、iPhoneやApple Watchの米国生産を強化、4年間で全米に約88兆円の投資
ティム・クックCEOは「大統領の支援に深く感謝」とコメント
2025年8月8日 17:14
米アップル(Apple)は、米国向けに新たに1000億ドル(約14兆7000億円)を投資するほか、Corning社とのパートナーシップにより、iPhoneとApple Watchのディスプレイの全てをケンタッキー州の工場で生産するなど、米国向けの投資や生産を拡大する取り組みを発表した。

今後4年間で約88兆円を投資
Appleの米国向け投資は、今後4年間で合計6000億ドル(約88兆4400億円)に達する予定で、これにはAppleのサプライチェーンと製造技術の一層の米国化を目指す新しい「American Manufacturing Program(米国製造プログラム)」が含まれている。Appleは同プログラムを通じ、より多くの部品を米国内で製造することをグローバル企業に呼びかける。
CEOのティム・クック氏は、「本日、Appleは米国における投資を今後4年間で合計6000億ドルに拡大することを発表した。新たな『米国製造プログラム』には、米国各地の10社との新たなパートナーシップや、既存の連携を拡大する取り組みが含まれる。これらの企業は様々なApple製品に使われるパーツを製造している。米国大統領の支援には、深く感謝している」と述べた。

Appleは、今後4年間で米国で2万人を直接雇用する予定で、その大部分は研究開発、半導体エンジニア、ソフトウェア開発、AIおよび機械学習分野の人材となる。
American Manufacturing Program
米国での製造を加速する「American Manufacturing Program」の最初のパートナーには、ガラス製品メーカーのCorningのほか、Coherent、GlobalWafers America、Applied Materials、Texas Instruments、Samsung、GlobalFoundries、Amkor、Broadcomが名を連ねる。
中でも、Corningとのパートナーシップ拡大では、Appleが新たに25億ドル(約3兆6700億円)を投資する。ケンタッキー州のハロッズバーグ工場に世界最大かつ最先端のスマートフォン用ガラス生産ラインを導入し、この施設全体をApple向けの製造に特化する。
これにより、世界中で販売される全てのiPhoneとApple Watchに同工場で生産されるガラスが使われる。このほか、両社はハロッズバーグ工場に新たな研究開発拠点を開設し、次世代製品に向けた先進材料と製造プラットフォームの開発・研究の重要拠点と位置づけする。
Coherentとは新たな複数年契約を締結した。同社は、iPhoneやiPadに搭載される「Face ID」を含む複数の機能の実現に必要なVCSELレーザーを製造している。この取り組みは、同社のテキサス州シャーマン工場で行われる。
7月には、MP Materialsが開発した米国製レアアース磁石の調達に合意した。同社は、米国でレアアースの生産から加工までを一貫して行う唯一の企業で、テキサス州フォートワースにある主力工場であるインディペンデンス工場を大幅に拡大した。
これらの磁石は、世界中で出荷されるApple製品に搭載される。AppleとMP Materialsは、カリフォルニア州マウンテンパスに最先端のレアアースリサイクル施設の設立を計画している。
Appleは、これらのパートナーシップにより、半導体生産のあらゆる重要な段階でパートナー企業と連携し、米国におけるエンドツーエンドのサプライチェーンの構築を主導する。
このサプライチェーンは、2025年中に190億個以上のチップを生産予定で、これには米国で最も先進的なプロセス技術の一つを使って、Apple向けに数千万個のチップを生産するアリゾナ州のTSMCも含まれており、Appleは同工場の最初の顧客で、最大の顧客になるという。
Appleは、BroadcomとGlobalFoundriesと連携し、米国で追加のセルラー半導体部品の開発と製造に取り組んでいる。これらの部品は、Apple製品の5G通信に不可欠である。

