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アップル、「2030年までにサプライチェーンの100%でカーボンニュートラル達成」に向けて前進

サプライヤーのクリーン電力消費量が1年間で2倍以上に

 米アップル(Apple)は、サプライヤーのクリーン電力消費量が昨年の1年間で2倍以上となり、今後数年間にわたって達成する見込みの約16ギガワットのうち、その半数以上の10ギガワット以上を既に達成していると発表した。

 2021年は、再生可能プロジェクトにより1390万トンの二酸化炭素排出が削減されたという。現在実施しているプロジェクトにより、年間300万台の自動車が排出する温室効果ガスに相当する量の削減をサポートする。

 Appleによると、主要な製造パートナーのうち213社が、世界25か国でApple製品の製造に係る電力を全て再生可能電力でまかなうことを約束しており、新たに発表した数十件の取り組みにより、サプライチェーン全体で2030年までにカーボンニュートラルを達成する目標に向けた進展が加速するという。

日本での取り組み

 日本ではこれまで、企業のエネルギー購入は屋上太陽光発電または分離型証書のいずれかに限られていたが、共同での政策提言によって市場が拡大した。2021年には、キオクシアやシャープなど新たに20社のサプライヤーが、クリーンエネルギーへの取り組みを表明した。

 日東電工をはじめとするAppleのサプライヤーの多くは、施設内の太陽光発電設備に投資しており、恵和ではApple製品の製造用の電力を三重県などにある風力発電プロジェクトによってまかなっているという。

海外での取り組み

 Appleは、製造パートーナーによるクリーンエネルギーへの取り組みに加えて、世界中の再生可能プロジェクトに直接投資をしている。この投資対象には、日本と中国における、上流での炭素排出の一部に対処するための約500メガワットの太陽光発電プロジェクトや、その他の再生可能プロジェクトなどが含まれる。

 欧州では、昨年1年間にInfineon、Viscom AG、Lumiledsなどを含む11社の新たなサプライヤーがクリーンエネルギーへの取り組みを表明した。これらの企業では、施設内太陽光発電設備の利用や、風力発電プロジェクトへの支援など、幅広いクリーンエネルギーソリューションを導入している。

 米国では、テキサス州ブラウン群にある2300エーカーの太陽光IP Radian Solarプロジェクトに直接投資している。2022年後半に建設が完了すると、同プロジェクトで300メガワットの電力が生み出される。

IP Radian Solarプロジェクト

 中国では、2021年に新たに23社のサプライヤーがプログラムに加わった。中国に本社を置くAppleの主要サプライヤーのほぼ全社が、Apple製品の製造においてクリーンエネルギー利用に取り組み、その多くは施設内に太陽光発電設備を建設するほか、国の再生可能電力への移行を支援している。

 Appleでは、2018年に中国の再生可能エネルギー進展を促進するための投資ファンド「China Clean Energy Fund」を設立した。ファンドを通じて、Appleとサプライヤーは合計で465メガワットのクリーンエネルギーに投資を行った。

コミュニティへの電力供給、経済成長を支援

 Appleでは、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指すほかに、気候変動によって大きな影響を受けるコミュニティの支援にも注力している。

 Appleでは、「Power for Impact」プログラムを通じ、世界各地の地域コミュニティが再生可能エネルギーを利用できるようにし、経済成長と社会的インパクトをサポートする。

 現在は、コロンビア、フィリピン、南アフリカの太陽光発電プロジェクトによって、深刻なエネルギー不足に直面するコミュニティに、低価格で安定した電力を供給している。Appleでは、このプログラムをイスラエル、ナイジェリア、タイ、ベトナムなど世界のほかの地域にも拡大する。

「Power for Impact」プログラムでコミュニティに電力と経済成長を支援