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IIJ第1四半期は増収増益、JALモバイルが好調

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は7日、2026年3月期第1四半期決算を発表した。売上高は768億2000万円(前年同期比+6.7%)、売上総利益は166億9000万円(+18.1%)、営業利益は60億3000万円(+34.6%)だった。

 ネットワークサービスやモバイルサービス、SIなどが好調で、増収増益をけん引、通期計画に向けて順調に進展しているほか、自社データセンターの拡張工事や新棟の稼働開始など、中長期的に見た設備収容スペースの安定確保に向けても動いている。

会社全体でセキュリティ対策を強化

 説明会冒頭では、代表取締役社長執行役員の谷脇康彦氏から、昨年発生したIIJセキュアMXサービスの情報漏洩事故について、再発防止策の進捗が説明された。「振る舞い検知の強化」は6月26日に、「Webアプリケーションファイアウォールの多層化」は7月23日に実装を完了させた。

 今後、サービス全体のセキュリティ強化を目的に、社長直轄のプロジェクトを発足させ、必要な対策を継続的に推進していくという。

 「個人向けサービスのセキュリティ強化も含まれるのか?」という質問に谷脇氏は「セキュリティ対策に死角がないかの確認から始める。その意味では、個人向けモバイル(IIJmio)を含めたすべてのサービスを対象にセキュリティ対策を強化することがプロジェクトの目的になる」と回答、会社全体のセキュリティ対策強化に向けて進める姿勢を示した。

好調なIIJmio、JALモバイルもけん引

 モバイル関連の数字を見ると、売上高は130億1000万円(+8.3%)。総回線数は577.2万回線(+74.8万回線)となった。MVNOやMVNEも優位に展開できているといい、MVNEの顧客数は、前年同期末の195社から今期末の202社まで伸長した。

 また、4月に提供が開始された「JALモバイル」も好調で、個人向け回線数は前年同期比+6.1万回線となった。

 売上高では、法人向けインターネット接続サービスが127億3000万円(+9.4%)でうちMVNEが28億9000万円(+4.2%)。個人向けインターネット接続サービスは69億6000万円(+5.4%)、うちIIJmioは61億1000万円(+7.0%)で推移した。

 期初のモバイルデータ接続料の単価低下は前年度とほぼ同水準であるものの、外注人件費は増加傾向で、全体的な費用も増加傾向が継続しているという。

JALモバイルのようなサービスは今後も出てくるか

 モバイル関連の話題を中心に、主な質疑を取り上げる。回答者は谷脇社長。

――MNO各社の料金改定が直近で実施されたが、IIJmioやMVNE事業への影響をどう見ているか?

谷脇氏
 現時点では、回線数と売上は増加傾向で、順調な推移。経常収支も黒字を維持している。

 IIJmioも3月にプランを改定し、従来よりも大容量化が進んできている。他社の動向も注視しているが、まずはこの3月改定分の効果を見ていきたい。

 また、解約率も低下してきており、これはさまざまなサービス改善やユーザーへのサポート、長期利用特典など顧客満足度を重視した施策を実施したことが功を奏したと考えている。

 加えて、4月に提供を開始した「JALモバイル」が非常に好評いただいている。マイレージ特典などがユーザーから評されているということで、きめ細かなニーズをすくい上げて、今後も取り組んで行きたい。

 このほか、訪日外国人向けのサービスも好調で、全く違う業界からも声がかかることも最近、非常に増えてきている。これまで考えていなかったユーザー群がモバイルサービスを利用するようになれば、市場がさらに広がっていくと考えている。MVNO、MVNE両方から市場の開拓を進めていきたい。

谷脇氏

――JALモバイルのような形態のサービスは、今後も続いていくのか?

谷脇氏
 JALモバイルは、個人向けモバイルサービスの1つだが、いわばOEMのような、リブランディングする形で出しており、サービスの中でマイレージという特典が付いてくるかたち。これが1つの形になる、というよりはいろんな形が今後考えられると思う。

 MVNOやMVNEとしての支援の形としてみると、さまざまな形式が出てくることで、市場が広がっていくことを期待したいところ。その点では、今回のJALモバイルは“多様なアイデア”の1つとして、IIJmioの上に花開いていくことを期待したい。

――MNO各社から、動画配信サービスなどとセットになったバンドルプランが登場している。IIJmioでもこういった付加価値サービスの提供はあるか?

谷脇氏
 IIJmioとしても、ユーザーニーズが非常に多様化しており、それに対応していくことは重要と認識している。モバイルサービスとしてきちんと競争していくことは大前提になるが、ほかのサービスとの連携などを否定することはなく、検討の対象範囲に含めていきたい。