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d払いの「かんたん資産運用」ってどんなサービス? “わかりやすくサクサク動く”UIにこだわり
2025年8月1日 18:06
NTTドコモとマネックス証券は、d払いアプリ内で「かんたん資産運用」をスタートさせた。資産運用に興味はあるが、その第一歩目を踏み込めないユーザーなどをターゲットにしたもので、わかりやすいUIでマネックス証券の口座を開設でき、そのままd払いアプリ内で投資信託の購入ができる。
開発の背景には、さまざまな試行錯誤があったという。「かんたん資産運用」の狙いはどこにあるのだろうか。
口座開設のイメージ
まずは、実際どのように利用できるかを見ていこう。
d払いアプリを起動すると、バーコードが表示されているブロックの下に、さまざまなミニアプリのアイコンが立ち並んでいる。そのなかにある「かんたん資産運用」アイコンをタップすると、サービス画面に移動する。
サービスの利用には、マネックス証券の口座が必要。すでに口座があるユーザーはログインすることで利用できるほか、まだ保有していないユーザーは、同じ画面でマネックス証券の特定口座の開設申し込みができる。
開設申し込みは、フローに従って必要事項を入力するかたちで進められる。一部の情報は、dアカウントに登録されている情報を参照、引用することができるため、入力の手間を削減できる。最後に、マイナンバーカードまたは通知カード+運転免許証による本人確認を済ませれば、申し込みが完了する。マイナンバーカードの暗証番号がわかるユーザーであれば、公的個人認証サービス(JPKI)による本人確認が実施できるので、最短2分で本人確認が完了できる。
資産運用のイメージ
投資信託は、簡単に言うと投資の専門家に資金を預け、専門家に“どこに投資するか”を任せるもの。株式や債券など、多種多様な金融商品から専門家が選んだ商品で資金を運用する。このため、株式などと同様に元本割れのリスク(預けた分の資金が減ること)はあるが、どこに投資するのがいいのかわからないユーザーにとっては、十分な知識がなくても資産を運用できるメリットがある。
資産運用の初心者にとっては、選びやすい金融商品ではあるが、その一方でこの投資信託の銘柄もまた、世の中に数多く存在している。銘柄のなかには、テクノロジーに特化したものや、米国株に特化したものなど、さまざまな特徴があるが、資産運用初心者にとっては、「それすらもよくわからない」となってしまいがち。
そこで「かんたん資産運用」では、複数の銘柄をあらかじめセットにした「まとめて簡単積立」なるものが用意されている。セットには、複数の銘柄とどれくらいの割合で積立金を配分するかの割合が示されている。このセットを選択し、積み立てれば、あらかじめセットされた銘柄に自動で積み立てられる。
まとめて簡単積立のセットは、サービス開始時点で「ビギナーセット」と「スタンダードセット」、「アクティブセット」が用意されている。内容は、状勢などで見直されることもある。
もちろん、通常の銘柄ごとに積み立てることもできる。まとめて簡単積立で投資信託に慣れたら、次は個別の銘柄に積み立てる――といったステップアップを踏むこともできる。
積立は、d払い(残高)とdカードからできる。個別銘柄はd払いで100円~、dカードで1000円~、まとめて簡単積立はd払いで1000円~、dカードで1万円~、それぞれ1円単位で取引できる。
アプリ内で完結、わかりやすいUIにこだわり
「かんたん資産運用」の担当者が強調するのは、「サクサク動く」という言葉。口座開設や積立ページは、初心者にもわかりやすく、かつ離脱を抑えるために画面はシンプルに、推移は早くなるよう開発が進められた。
たとえば、口座開設の所要時間は、初期のプロトタイプの段階で15分かかっていたという。そこで、他社などと比較して“3分”という数字を1つの目標に据えて、ユーザーテストなどを踏まえて開発が進められた。その上で、重要なものは、法令で定められている重要事項説明と本人確認の仕組みだった。
マネックス証券も含めた一般的な証券会社をWebで口座開設しようと思うと、Webサイトで必要事項を入力していくが、重要事項の説明文章がPDFファイルになっているとPDFビュアーが開き、本人確認をしようとすると別途アプリのダウンロードが必要だったり、色々と手間がかかる。それだけでなく、ちょっとしたきっかけ(壁)でユーザーが手続きをやめてしまう“離脱”が発生してしまう。
今回のサービスでは、この壁を極力無くそうと工夫が凝らされている。たとえば、重要事項の説明文章はアプリ内で読めるようにされており、本人確認もd払いアプリ内にある本人確認システムを流用することで、すべての手続きをアプリ内で完結できるようにされている。そのうえ、資産運用もアプリ内でできるため、別途マネックス証券のアプリをダウンロードする必要はない。
マネックス証券としても、生活圏に入り込めている「d払いアプリ」を活用することで、投資人口の拡大が期待でき、“現在投資をしていないし、今後もする予定がない”というユーザーにもアプローチできる。マネックス証券担当者も「マネックス証券単体では、初心者の取り込みはなかなか難しい。ユーザーの生活に根付いたところでの接点がなかなか持てなかった」と今回の取り組みを評価する。
投資初心者をどのように取り込むか
2024年1月のドコモとマネックス証券の提携から約1年半が経ち、dカードとの連携やポイント優遇、ドコモの料金プランとの連携など、さまざまな施策を実施している。
今回の取り組みも、この流れに続く施策の1つであり、担当者も「投資に興味があるが一歩引いている幅広いユーザー」をターゲットと、新規顧客の獲得に動いていることがわかる。ドコモ経済圏の拡大に「かんたん資産運用」はどこまで寄与するのか。今後の展開を見守っていきたい。























