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ソフトバンクが量子コンピューティング技術でCAエリアの最適化、実験で平均下り10%の速度向上
2025年7月29日 14:44
ソフトバンクは29日、量子コンピューティング技術を活用し無線基地局を最適化する実証実験を実施し、キャリアアグリゲーション(CA)を活用した5G通信で、下りのデータ通信速度が従来比で約10%、データ通信容量が最大50%向上させられたと発表した。
今回の実証では、量子コンピューティング技術の1つであるイジングマシンを活用し、東京都内で実施された。
CAは、複数の周波数帯の電波を同時に利用し、通信の高速化、安定化を実現する技術で、事前に基地局同士の関連付け「CAリンク」を実施する必要がある。近年、基地局の増設で、このCAリンクの構成は複雑化している。組み合わせの数のほか、CAリンク設定の有無や、基地局ごとに設定可能なCAリンクの上限数などの制約もあり、膨大な数の組み合わせから効果を最大化する最適な組み合わせを見つけるのは“極めて困難”だという。
今回の実証では、複数の5G基地局が設置されたエリアを細かいメッシュに分割し、複数の基地局から異なる周波数の電波を受信できるメッシュ(区画)を「CAの利用が可能な候補」として抽出。このメッシュ情報を元に、CAが利用可能なメッシュ数を最大化するCAリンクの組み合わせを算出した。
この結果、CA可能エリアは155メッシュから190メッシュと約23%のエリアでCAが利用できるようになった。また、この構成を都内で稼働している特定エリアの5G基地局に適用すると、下りのデータ通信速度の平均が約10%向上、補助的な通信セル(セカンダリーセル)におけるデータ通信量も最大50%増加した。
同社では今後、ネットワーク構成の最適化や運用領域への量子コンピューティング技術の活用を検討し、快適で高品質なサービスの提供を目指すとしている。



