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ブザーの後に「地震です」――緊急地震速報の警報音変更へ

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルの各社は、緊急地震速報の警報音を、ブザー音に加えて音声で「地震です」と案内するものに今後変更すると発表した。今後発売される機種を中心に対応していく方針。

 これまで緊急地震速報は、専用のブザー音が鳴る形となっており、スマートフォンや携帯電話では、マナーモード中も鳴動するよう設定できる。気象庁で実施した行動調査の結果、緊急地震速報であることを音声でも伝えて欲しいとの要望が明らかとなり、ブザー音の後に女性の声で「地震です」と通知する音源へ変更されることになった。

 ドコモでは、2013年冬以降の機種で標準搭載する方針。既存機種では、既に「らくらくホン7」「らくらくホンベーシック3」が対応済とのこと。また一部のスマートフォン、タブレットについては、緊急地震速報を伝える「エリアメール」のアプリを更新することで、対応する予定だが、どの機種が対応するか、現時点では未定となっている。フィーチャーフォン(iモード端末)で対応する予定はない。

 KDDIも、今後登場する予定の2013年秋冬モデル以降で対応する。既存機種は、今年8月以降、対応する予定で、Androidについては「災害対策アプリ」のアップデートで対応する。ただし具体的な対応機種はまだ明らかにされていない。iPhoneについては調整中とのこと。フィーチャーフォンではブザー音のままで、新しい音源に対応する予定はない。

 ソフトバンクは今後販売する新機種で対応する方針。既存機種は、iPhone、Androidともに検討中とのこと。なお未発売の「みまもりケータイ3」、ディズニーモバイルの「DM015K」については、非対応になる。「みまもりケータイ3」は、音声で緊急地震速報を通知する機能が搭載されているが、今回の取り決めとは関わりのない形での機能という。

 イー・モバイルでは、今後対応できる機種からサポートしていくとのことだが、具体的な機種はまだ未定とのこと。

8割が「緊急地震速報」を認識するも……

 新たな警報音を実施することになった理由として、今回、気象庁が行った調査が挙げられている。この調査は4月26日に発表されたもの。調査が行われたのは、4月13日早朝に兵庫県・淡路島付近で発生したM6.3の地震がきっかけだった。

 緊急地震速報は、2007年10月より一般向けに提供されている。2011年の東日本大震災以降、東北や関東では数多くの緊急地震速報が発令されていたが、今年4月の淡路島の地震では、大阪府、兵庫県、奈良県、京都府、鳥取県、岡山県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県という近畿地方、四国地方、そして中国地方の一部では初めて緊急地震速報が発令された。

 気象庁では、今後の対策に活かすため、初めて緊急地震速報を受け取った地域で、人々がどう認識して、どういった行動をとったか、地震後に調査を実施。その結果、81.5%が「これは緊急地震速報だ」と認知していたことが明らかになった。これにより45.8%の人が「地震が来ると思った」と感じていたという。

 ただし、「(ブザー音が何を示すか)何かわからなかった」(29.7%)という人がいたり、「何をして良いかわからなかった」(14.9%)という人も存在することが判明。身を守るため「頭などを保護した」(3.6%)人や、「布団をかぶった」(8.9%)人よりも、「テレビやラジオで地震の情報を知ろうとした」(46.8%)が多く、気象庁では今後、緊急地震速報やそれに伴う行動について、普及・啓発活動が重要と、あらためて確認した。

 早朝5時33分という地震だったこともあって、就寝中だった人が多かった今回の地震では、緊急地震速報を受け取る手段として、73.8%がスマートフォンを含む携帯電話だったと回答。こうした状況を踏まえて、今回、気象庁から通信各社に相談があり、ブザー音に加えて音声でも地震が発生したことを通知する内容へ変更されることになった。

関口 聖