ニュース

緊急地震速報に22日から新技術、巨大地震で精度アップ

 気象庁は、新たな手法で精度を高めた「緊急地震速報」の提供を開始した。大規模な地震が発生した場合、従来よりも震度の推定がより確かになるという。

従来と新手法の違い

 これまでの緊急地震速報は、各地に設置された地震計で揺れを検知すると、震源と規模をまず推定。その情報をもとに、各地の震度を予想する形だった。

 一方、3月22日からは、従来の手法に加えて、新たに「PLUM法(プラム法、Propagation of Local Undamped Motion)を導入する。PLUM法は、地震計で観測した揺れの強さをもとに、震源と規模は推定せず、各地の震度をダイレクトに予想する。

東日本大震災で、従来手法での予測(左)と、当時のデータをもとにしたPLUM法のシミュレーション(右)

 気象庁では、2011年3月の東日本大震災で、震源から遠かった関東でも強い揺れが観測されたにもかかわらず、当時、関東宛の緊急地震速報は発表できなかった。その経験を踏まえ、巨大地震へ対応するため、PLUM法の開発を進めてきたのだという。

東日本大震災での実際の観測

 予想から、実際の揺れが到来するまでの時間の猶予は、これまでより短くなるとのことだが、東日本大震災のように広大な地域を揺らす巨大地震であっても、高い精度で震度を予想できる。従来タイプとPLUM法を組み合わせて、より大きな震度になるほうを緊急地震速報として発表する。

 2つの手法を組み合わせた緊急地震速報は、大手携帯電話会社を経由する携帯電話宛の緊急速報メール/エリアメールで利用できる。一方、その他の企業によるスマートフォンアプリなど予報業務許可事業者によるPLUM法の活用は今後、新制度の準備が整ってから。当面は、これまで通りの手法での配信となる。

 あわせて気象庁では、震度予想が過大になって、緊急地震速報の誤報になる問題について、従来の手法で推定した震源や規模が妥当かどうか、実際の揺れから評価する機能を、緊急地震速報に導入する。