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KDDI松田浩路新社長が就任会見、「夢中に挑戦できる会社」つくる

 KDDIの新社長に松田浩路 取締役執行役員常務 CDOが昇格した。10日に都内で開かれた社長就任会見では、松田新社長が目指すKDDIの今後の道筋が語られた。

就任会見の松田氏

夢中に挑戦できる会社にする

 社長に就任した松田浩路氏は現在53歳。中学生のときに訪れた「国際科学技術博覧会」(つくば科学万博)でテクノロジーに触れ、1996年に国際電信電話(KDD)に入社。商品技術部長や商品企画部長など重職を担ってきた。

 「いかにより良い通信を実現するか、この30年間取り組んできた」という松田氏が描く今後のKDDIは「夢中に挑戦できる会社」。「私がかつて技術に夢中になったように、すべての社員に夢中になる機会をつくりたい」と話す。

 「準備万端」と「先手必勝」が好きな言葉だという松田氏。「先手必勝を実現するために常に先手で動き、準備万端でいたい。新たな挑戦を成功させるために、常に準備万端・先手必勝でいたい」と決意を示した。

「3つの挑戦」

 松田社長は「夢中に挑戦できる会社」とする、今後のKDDIのあり方を「未来を作る仲間とつながる」「つなぐチカラを世界に広める」「お客様の今とこれからにつながる」という3つの挑戦について語る。

 同社はこれまで、外部のパートナーとともに多くのサービスを手がけてきた。パートナーシップの豊富な経験があるものの一方で「拡大できていないケースも多い」という。今後はパートナーと作り出した価値を拡大させていく仕組みを確立する。

 また、少子高齢化や災害など多くの社会課題を抱える日本の特性を強みとして、それらを解決するソリューションを海外へ広げる。「KDDI Open Innovation Fund」(KOIF)の後続ファンドを組成、AIやWeb3関連のスタートアップ企業への出資を決めており、海外展開を後押しする。

 加えて「ライフ(生活)を支える会社からライフ(人生)を支える会社へ進化する」として、通信サービスもさらに磨きをかける。常設のauショップがない場所での移動式ショップやローソンとともに地域の見守り・防災拠点になる次世代コンビニの展開などをその展望としてかかげる。松田氏は「『今』だけではなく、良い未来につながる挑戦をしていきたい」と話した。

スマホ料金の今後やAIへの取り組み

 物価高騰が進むなか、前社長である髙橋誠現会長は値上げの可能性にも言及していた。今後のKDDIの料金プランについて、松田氏は電気代や協力会社の労務費が上がっているとしつつ「どのように良い循環にできるか。良い価値をユーザーに届けながら対価をどうするかは循環のひとつのパーツ。(同日に発表された)『au Starlink Direct』はその価値のひとつ」と話した。

 スマートフォンの価格も上昇傾向が止まらない。今後の端末のラインアップの考え方として、松田氏は「AIやカメラがどんどん進化している」として「新しい端末で新しい便利さに触れてもらいたい。これからもラインアップはしっかり揃えてお届けする」と説明する。

 外部機関からも高評価を得ているKDDIの通信品質。松田氏は、これを「社内一丸で取り組んだ結果」として、その通信で何をするかを自らが舵取りする必要があると話す。KDDIが手掛ける通信サービスの品質は「あくまで土台」と言い、今後は通信とAIを組み合わせ、ネットワークを進化させ「誰もが思いを実現できる社会」を目指すとした。

 その取り組みのひとつが「AIマーケット」構想。AIサービスを集約し、ユーザーが手軽に利用できるようにするという仕組みで、好みや使い方にあわせてAIを紹介、AIをより身近なものにする。松田氏は、さまざまなアプリを紹介するサービスとして始まった「au スマートパス」を例に出して、AIマーケットを「au スマートパスのAI版」と説明した。

 ほかにAI関連では、大阪府堺市のシャープ工場跡地のデータセンターで、グーグルの「Gemini」を導入する。同データセンターは2025年度の本格稼働を目指す。松田氏は「あらゆるシーンで一人ひとりの最適解につなぐのがKDDIのAI」と話した。

 同日には、スマートフォンと人工衛星が直接通信する日本初のサービス「au Starlink Direct」の開始が発表された。松田氏は、同サービスを「3つの挑戦」を体現するサービスと位置づけており、今後はパートナーであるスペースXと連携して、データ通信にも対応する。