みんなのケータイ

1台の端末で何でもできる未来を夢見ていたけれど――Apple Payへのクレカ登録顛末記

 自慢にもならないが、筆者はこれまで金銭系の詐欺の被害にあったことがない。それは、リテラシーが高いうんぬんではなく、単に騙されたとしても払えるほどの蓄えがないため必要以上に慎重になっているだけなのだが。

 気をつけているのはよくいわれているようなことばかりで、メールに記載のURLをクリックまたはタップする前に、送信者のメールアドレスを確認すること、記載のURLに張られているリンクを確認することなどだ。

 さらに、確認できたとしても、クレジットカード系のお知らせや通販サイトからの請求関連のメールであれば、URLをクリックせず、サイトを検索し、そこからマイページにログインして情報をチェックするほどの徹底ぶりである。

 そんな筆者が、「うわ、詐欺っぽい」と思ったものの、実はそれがその企業の正規手続きでただの考えすぎだった、という経験がある。Apple Payへのイオンカード登録“事案”だ。Apple Payへは、iPhoneのウォレットアプリを通じて、ブランド違いのカードを2枚登録済みだが、どうせ使うのなら使いやすいWAONポイントを貯めたいと思い立ったのだ。

 カード情報をApple Payのためのウォレットアプリに登録すると、電話による認証が必要だと表示される。すぐさまタップして架電すると、受付時間を過ぎているというアナウンスが流れてきた。思い立ったのが午後10時過ぎだったので仕方がない。「自動応答ではないのか」と訝しみながら、日を改めることにした。

 日が変わり、午前中の早い時間帯に表示されている番号にかけると、「ナビダイヤルでお繋ぎしています」というアナウンスが流れてきた。「ナビダイヤルかぁ……お金かかるのいやだなぁ」と、まずここでネガティブモードに突入する。

 そして、電話の向こうの自動音声が“オペレーター”に繋ぐという。プッシュボタンなどによる自動応答ではなく、ニンゲンが対応するというのだ。これだけの大手で、デジタル化されていないということがあり得るのだろうか……と、ネガティブな心の中に疑念が湧き起こる。

 即座に別のスマートフォンで、今繋がっている電話番号を入力して正しい番号かどうかを調べると、先頭に「詐欺会社」、次に「イオンカード/Apple Pay認証専用窓口」と表示された。

最上位に表示されたのが「詐欺会社」で、いきなり怪しさ満点になってしまった

 とはいえ、iPhoneの正規のウォレットアプリに表示された番号をタップして電話をかけているのだ。詐欺会社につながるはずがない。いやしかし……など、オペレーターとやりとりしながら、疑念がだんだんと広がってきてしまい、引き落とし口座について質問された際、ついに「それって必要なんですか?」と強い口調で言ってしまった。

 何を聞かれ、確認されたかについては、詐欺グループの手口に使われるかもしれないので詳細は伏せるが、「そんなことまで確認が必要なのか!?」ということまで質問されたなぁというのが正直な気持ちだ。

 そんなネガティブな感情と裏腹に、先方が定めている項目全ての確認が終わり、オペレーターが電話口を離れている認証作業中にウォレットアプリから「認証された」という通知が届いた。改めて、ウォレットアプリを確認すると、「利用可能になりました」と表示されている。そして、ここでようやく安心したのである。

無事に「利用可能」になった

 せめて、「引き落とし口座として○○銀行が登録されていますが、それに続く支店名や口座番号を教えてください」など、「こちらは情報を知っているよ。でも、確認のために正確な情報をあなたの口から聞かせてほしい」というスタンスを見せてくれればここまで疑わなくても良かったのになぁなどと考えてしまった。

 あるときには詐欺だと疑われ(しかも、検索結果の最上位に「詐欺会社」とまで表示されてしまう)、またあるときには盗難などによる損失の補填もしなければならないクレジットカード会社の立場は、大変だなぁと思いを馳せながらも、スマートフォンであれこれできる未来が実現した結果、ユーザー側ではより強固な安全対策を取らないといけなくなったのは、便利なようでいて不便なのかもしれないなぁと考えさせられる経験であった。

 なお、筆者は詐欺の被害にあったことはないものの、日常生活ではムダな買い物や、ムダにあちこちにモノを落とすため、賢さや注意深さが足りておらず、やはり自慢できるところは何もないということを付け加えておきたい。