ニュース

サムスン「Galaxy S25」シリーズを発表、“提案型”の生成AI体験へ

「Galaxy S25」シリーズを発表

 サムスン電子は23日、同社の新製品発表イベント「Galaxy Unpacked」で、「Galaxy S25」シリーズを発表した。「GalaxyはモバイルAIの新時代を開拓」をテーマに、プラットフォーム全体でAIや生成AIを活用するシステムが構築されている。

One UI 7でAIを前提としたプラットフォームへ

 Galaxy S25シリーズに搭載される「One UI 7」では、AIを再定義するユーザーインターフェイス(UI)となり、ユーザーやその場の状況を理解しこれまでの“対話型”から“提案型”の生成AI体験や、よりさまざまなアプリでAI体験ができるよう設計されている。

AIエージェント

 新機能の1つの「AIエージェント」は、ユーザーが操作している画面の状況を理解し、“ユーザーがAIにやってもらいたい”ことを先回りして提案し、実行する。

 たとえば、ゴルフ番組を見ている際にエッジパネルから機能を選択すると、ユーザーのニーズを予測し「スイングの部分をGIFファイルで保存する」と提案し、ユーザーがタップするだけで一連の作業をAIが請け負ってくれる。テキストや音声、画像、動画などあらゆるものを認識し、そのタイミングにあったものを提案するという。

精度が向上した検索機能、会話で画像を検索

 AIによる検索機能も強化されている。

 画面上のオブジェクトを囲って検索できる「かこって検索」では、テキストや画像、動画の音声まであらゆるオブジェクトの検索で精度が向上された。

 また、アプリ内の検索機能も性能向上が図られている。

 写真アプリでは、会話型の検索機能が提供される。何千枚ともなるギャラリー内に保存された写真や動画から、たとえば「イタリア旅行の写真を探して」と入力するか、声をかけるだけで精度の高い検索結果が得られる。

写真検索

 設定アプリでも会話型の検索機能が備わっており、「テキストをもっと読みやすく」などと入力することで、フォントサイズの設定やスタイル、アクセシビリティ関連の設定項目が提案される。

アプリ間連携ができるAIプラットフォーム

 Galaxy S25シリーズでは、AIアシスタントが異なるアプリ間をまたいだ処理ができる“AIプラットフォーム”が備えられている。ユーザーからの依頼を分析し、適切なアプリで処理を行い、その処理結果に応じて異なるアプリで処理を続け、より複雑な依頼をこなせるようになる。

アプリ間連携の生成AI体験

 たとえば、「特定のチームに関する試合日程を検索してカレンダーに追加して」と依頼するだけで、試合日程をWebで検索しその結果を元にカレンダーアプリで予定を作成する。「ペット同伴可のレストランを検索して“お母さん”にメール」という依頼では、Webで情報を検索し、連絡帳の“お母さん”のメールアドレスに、メールを自動で作成して送信する。

 加えて、画像認識の精度も向上しているため、“冷蔵庫の中”をカメラで撮影しAIに献立を提案してもらうことや、YouTubeの動画で紹介されているアイテムを検索してNoteにまとめてもらうこともできる。

アプリ間連携の生成AI

 横断できるアプリは、サムスンのアプリだけでなく、動画配信アプリ「YouTube」や、メッセージングアプリ「WhatsApp」、音楽アプリ「Spotify」などとも連携する。

時間にあわせたAIの提案

 「Now Brief」機能は、時間にあわせてユーザーにあった情報を表示したり、次に行うことを提案する機能。

 たとえば、朝の時間帯には、同社のスマートウォッチで計測した睡眠スコアやエナジースコアの表示、1日の気象情報や友人の誕生日情報などが表示される。

 アプリとの連携機能として、ヤフーニュースのトップニュースのハイライトを読み上げたり、誕生日の人へワンタップでメッセージを送れたり、“朝にぴったり”のプレイリストをSpotifyで再生できたりする。

 もしその日に会議やイベントなど予定があると、Now Briefは地図アプリと連携して、「予定時刻までに到着できる出発時刻」を表示、そこから数タップでその場所までのナビゲーション、乗り換え案内を表示できる。

 そして、一日を終えた時間帯では、“今日の一日”を振り返る情報を表示。撮影した写真や訪れた場所の振り返りや“折り返していない”不在着信のお知らせなどを表示。また、明日に向けて“快適な睡眠”が期待できるマインドフルネスの提案や明日の予定や気象情報を表示する。もちろん、“夜にぴったり”なSpotifyのプレイリストも提案する。

ホーム画面の「Now Bar」

 ホーム画面には、新しい通知「Now Bar」が搭載される。

 地図アプリなど、バックグラウンドで動作しているアプリの情報を表示するほか、ユーザーがひいきにしているチームの試合速報など、ユーザーがすぐに知りたい情報を通知する。

セキュリティ

 ユーザーの嗜好や予定、行動などにあわせて情報を提供したりタスクを実行したりする生成AI機能だが、セキュリティはどうか。ターゲット広告などに活用されないのか?

 同社では、ユーザーの情報は暗号化され、高セキュリティ機能「Knox Vault」に安全に保管されるという。また、一部がサーバー上で処理されるクラウドAIにおいても、タスク完了後はサーバーから情報がすぐに削除され、広告に使用されることはない。

 また、ユーザーは任意のタイミングでデバイス上でだけAIの処理をさせる(オンデバイスAI)こともできる。

Galaxy S25シリーズの主な仕様

 Galaxy S25シリーズは、「Galaxy S25」と「Galaxy S25+」「Galaxy S25 Ultra」の2種類がラインアップされる。日本では、「Galaxy S25」と「Galaxy S25 Ultra」のSIMフリーモデルが展開される。

Galaxy S25

 チップセットは「Qualcomm Snapdragon 8 Rlite for Galaxy」を採用。S24と比較しNPU性能が+40%、CPU性能が+37%、GPU性能が+30%で“現在入手可能な最速のプラットフォーム”とアピールする。

 カメラは、「Galaxy S25 Ultra」が5000万画素の超広角カメラ、2億画素のメインカメラ、5000万画素の望遠カメラを搭載。暗所での動画撮影時には次世代ProVisual Engineにより、少ないノイズと多くのディテールを再現。二重解析ノイズ除去(Spatio-Temporal Filter、STF)により、ノイズが乗りにくい撮影体験が楽しめる。

 また、オンデバイスAIによる編集機能「オーディオ消しゴム」が搭載されている。動画の音声から、人の声や音楽、風、自然の音、人混みの音などを分析し、不要なノイズを除去またはトーンダウンできる。分析をかけると、自動で音が分類され、その分類ごとに音量を調整できる。撮影機能ではこのほか、写真から不要なオブジェクトを消去し背景を自動生成する消しゴム機能で、不要と思われるオブジェクトの自動検出機能や背景生成機能が強化されている。

オーディオ消しゴム
AIが不要なオブジェクトを自動で検出し、数タップで違和感がない画像を生成する
ガラスの写り込みも自動で検出