ニュース

「つながらないところが減ってきた」、通信品質の改善進む楽天モバイル

 楽天モバイルは、より携帯電話サービスがつながりやすくするために進めている対策の一部などをメディア向けに説明した。

楽天モバイル 竹下氏

つながらないが減ってきた

 楽天モバイル 竹下紘 常務執行役員によると、3.7GHz帯と700MHzの整備に特に力を入れている。渋谷駅北西(ハチ公、センター街、道玄坂)付近での対策の結果、700MHz帯により、狭い路地や屋内でも電波が届くようになった結果を示す。

 同社では、地下鉄・屋内施設や路地、人混みに対して重点的にエリア対策に取り組む。東京メトロ内では、他社との共用基地局の帯域幅を5MHz幅から20MHz幅に拡張を進めており、2024年度中には40%ほどを進めていくとしている。

 英Opensignalの調査で、楽天モバイルは高い評価を得た。遅延の少なさやパケットロスの少なさが求められる、ゲームエクスペリエンスと音声アプリエクスペリエンスで高い評価を得た。竹下氏は「安定したネットワークになっているひとつの目安になる」と話す。

 同じくOpensignalの調査では、ネットワークが使えない場所の割合を示す「No signal availability」が23年の冒頭では1%以上のサンプルが圏外と他社より高めだったものの、この1年ほどで改善を進めてきたことで、先行する3社に近づいてきた。竹下氏によると「つながらないところが減ってきた」という声が聞かれるようになったという。獲得シェアの増加も勢いづく。

 楽天モバイルユーザーの月間平均データ通信利用量は、30GBを突破している。多くは動画の視聴による影響。当初は動画サイトでのストリーミング中心だったのが、SNSでも動画サービスが増えたことで、トラフィックにも反映されているという。

 竹下氏は、部分的にネットワーク容量が厳しいところもあると話し、Sub6を充実させることで対応していくと説明する。この1年ほどでトラフィック量伸びは大きく、今後もこの基調は続くと見ており、加入者数も見極めながらSub6基地局を増加させていくとした。

Sub6のエリアが大幅拡大

 9月末時点での5G(Sub6、3.7GHz)基地局数は1万7494局。カバレッジがより広くなり高速通信可能になる「Massive Mimo」を用いる。4Gでは1.7GHz帯が中心になっていることからSub6でもカバレッジを広げていく考えでSub6は「重要性が高い」と竹下氏は話す。

 関東地方におけるSub6エリアが、1月時点との比較で2.1倍に拡大したことが新たに発表されており、当初発表されていた年内最大1.6倍を前倒ししての達成となった。

 災害対策にも力を入れており、4×4 MIMO基地局を2×4にする「緊急省エネモード」で通常3時間ほどという予備電源を4~5時間に延長する。速度や容量は影響を受けるものの、カバレッジが狭まることはなく、災害時に通信が途絶える影響を最小限にとどめられる。竹下氏によれば、多くの場合3~4時間程度で電力が復旧するという。

 米スペースXの衛星ブロードバンド「Starlink」を災害復旧にも活用しているほか今後、米AST SpaceMobileとともに2026年内にも日本全域をカバーする通信サービスの立ち上げに向けて動いている。