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「mineo」10周年でリアルイベント開催、“ファンの交流”が示す独自の魅力

 11月16日と17日、大阪・京橋で、MVNOサービスのmineoによるイベント「ご縁あって10周年!みんなでつくるマイネお祭り」が開催されている。その名の通り、関西を拠点にする通信事業者、オプテージのMVNO型携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」のリアルイベントだ。

時おり、雨も降ったあいにくの空模様だが16日には延べ1000人が来場した

 通信事業者によるユーザー参加型イベントはこれまでにもなかったわけではない。ただ、mineoの取り組みが他社と明確に異なるのは、ユーザーを「ファン」と位置づけ、イベント名にある通り「みんなでつくる」としていることだろう。

 イベント初日の16日午後、現地を訪れることができたので、会場の模様をお伝えしたい。

ファンがスタッフに、スマホメーカーのブースも

 会場は、京橋駅すぐそばの「FULALI KYOBASHI」。フードコートはあるが、基本的には屋外にひらけたイベントスペース。今回のイベントでは数多くのブースが設けられ、来場客をもてなす。

会場のFULALI KYOBASHI

 mineo側が用意したブースは、お手製の提灯作成グッズの配布コーナーや、金魚ならぬ駄菓子すくい、ガジェットが当たるくじ引きなど、まさにお祭りの屋台のよう。

提灯を来場者に作ってもらうべく配布コーナーも

 それだけではなく、スマートフォンに関する相談コーナー、はたまたその場でmineoを契約できるコーナーなどまでラインアップ。いずれのブースも、mineo(オプテージ)のスタッフだけではなく、“ファン”がボランティアスタッフとして応対してくれるようになっていた。

回転する的に矢を当てて景品ゲット。一等のロボット掃除機は当選者がすでに出ていた
駄菓子すくい。結構難しい。
mineoオリジナルデザインのチョコも
千本引き
ワイヤレスイヤホンやスマートフォンなどが当たる
スマホ相談コーナーで対応するのもファンのボランティアスタッフ

 スマートフォンメーカーのブースも軒を連ね、たとえばarrows(FCNT)のブースでは、タフネス性能をアピールすべく、arrowsを的に向けて放り投げるというコーナーまである。

arrowsブース
泡で洗えることをアピール
的に放り投げる
もちろん問題なく動作する

 ソニーのXperiaブースでは、スマートフォンの展示に加えて、モーションキャプチャー用のセンサーデバイス「mocopi」を試せるようになっていた。社内有志が開発したという新たなゲームアプリが展示され、体を動かして画面内のキャラクターを操作し、ゲームに挑む。どこよりも先駆けて、本イベントで初披露となった。

 モトローラブースでは、mineoで取り扱われていない「razr 50」の実機を展示し、今回のイベントの自由さを感じさせる。

 シャオミのブースでも、mineoでは販売されていない「Xiaomi 14 Ultra」を体験できるほか、スマートウォッチ、タブレットなども用意。運営期間は一時的ながら店舗を構えていた首都圏と比べ、関西では認知を高める余地があるとのことで、担当者も意気込みを見せていた。

 OPPOもブースが用意されており、「Reno11 A」の実機を楽しめる。アンケートに答えるとペンなどのグッズももらえる。

 フードも充実しており、山形出身のスタッフがアピールしていたのは芋煮。東北では、地域によって、さまざまなこだわりがあるというが、関西では実はあまり知られていないよう。

 ファンによる出店もあり、秋田からの出店、イタリアン、スイーツ、コーヒーなどのキッチンカーが並ぶ。いずれも普段、飲食業などmineoユーザーが本業を活かしたものとのことで、ファンの力を示す一角でもある。これらは有料での提供となっている。

 リモートで似顔絵を描いてくれるコーナー、サントリーの協力を得て缶のオリジナルラベルを作成してくれるコーナーなどもある。

 会場中央にはやぐらも組まれ、イベント初日の夜には「mineo音頭」も催された。また、YouTubeを担当する、オプテージ入社5年目のスタッフが“アイドル”としてステージに立ち、オリジナル曲も披露された。

mineoのYouTubeチャンネルで“明石家きょん”として活動するスタッフのステージも
会場に設けられたやぐら
オプテージ提供

「mineo」に愛着を持つファンたち

 ボランティアスタッフとして参加していたファンとして、「りんね」さんと「こりんごちゃん」さんの2人に話を聞くことができた。

りんねさん(左)とこりんごちゃんさん(右)

 2015年11月からmineoを使っているりんねさん、2017年4月ごろから使い始めたというこりんごちゃんさんは、割安な料金プランを探しているなかでmineoを見つけて使い始めた。

 その使い始めるタイミングで、わからないことがあって質問をしたかったというりんねさん、ネットの掲示板に馴染みがあってお試しで書き込んでみたというこりんごちゃんさんは、どちらもmineoのコミュティサービス「マイネ王」に参加し、公式オフ会と言えるイベントにも参加。ほかのユーザーとの親睦を深め、「共創アンバサダー」にもなった。

 mineo側スタッフがブログ、YouTube、コミュニティで発信を続けてきたことから、ファンもmineoに親近感を持ち、コミュニティの成長もあって、今となっては愛着を感じてもいるという。そうしたことから、今回のイベントにもボランティアスタッフとして参加を決めた。

ライフタイムバリュー向上をはかる

 10周年の「mineo」は、これまでもファンとの関係づくりを重視しており、100人規模のイベントを年2回程度、開催してきた。10年という節目に、1000人規模でやることを決めたと語ったのは、「マイネ王」運営事務局の“天然パーマ”という名前でファンと接してきた冲中 秀伸氏。

冲中氏

 ファンを重視し、ファンとの交流をはかってきたmineoらしいイベントだが、営利企業としてゴーサインを出せたのはなぜか。

 mineo事業をリードするオプテージ モバイル事業戦略部長の松田守弘氏は「mineoがあるのはお客さまあってこそ。どう恩返しするか、感謝を表現するか。そこで今回のイベントはうってつけと考えました」とコメント。

松田氏

 オプテージ社内でのKPIとしては、解約率やLTV(顧客生涯価値)を掲げたと冲中氏は説明。コミュニティに入り、アクティブに活動してもらえれば、mineoを長く利用してもらいやすい傾向があり、その分、解約率が下がれば、オプテージにとってもユーザーから得られる利益が増える、という論理だ。イベント後も「マイネ王」へのアクセス数や、投稿頻度などをチェックし、mineoを使い続けてもらえることへの影響度を確認していく。

 また、松田氏と冲中氏は、数字では測れない効果もイベント開催で得られると説く。

 たとえば、「ありがとう」と直接、言葉をもらえる機会は、オプテージ側のスタッフにとっても貴重な機会。法人部門スタッフもイベントに参加しており、普段接点のないコンシューマーユーザーと触れ合って、日々の業務とはまた違うかたちでの顧客とのコミュニケーションを味わえる。

 「お客さまと直接会うことで、一気に距離が近づきます。身近に感じられるようになり、『ファンのあの人なら、こう考えるかな』と意識しながらいろんなことを具体的に考えられるようになる」(冲中氏)ことも、オプテージにとってのメリットのひとつ。

 また、イベントで飲食関連に携わるファンがキッチンカーを出店したように、mineoユーザーには当然、“なにかのプロ”がいる。松田氏は「コンシューマーのお客さまとしてmineoのイベントでお会いする方のなかには、なんらかの法人として、いつの間にか話すこともあります」とも語っており、副次的な効果も見込める。

 イベントは11月17日11時~18時にも開催される。mineoを利用していなくとも、最新スマホに触れる、あるいはフードを楽しむといった面でも、気軽に立ち寄れる機会として、お時間のある方は足を運んでもいいだろう。