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写真も送れる衛星通信対応「Garmin inReach Messenger Plus」27日発売、帯域拡大でボイスメッセージも送受信可能

左が「inReach Messenger Plus」、右が先代機種の「inReach Messenger」

 ガーミンジャパン(Garmin)は、イリジウム衛星を使用した衛星通信機能を備える「inReach Messenger Plus」を9月27日に発売する。価格は8万3800円。

 従来機種「inReach Messenger」と比較して、衛星通信の帯域が大きくなり、一度に送信できるテキストメッセージの文字数が増加したほか、ボイスメッセージや写真の送受信が新たに利用できるようになった。SOS発信ボタンも健在で、カバーをはずして押下することで24時間365日の救助要請をサポートする。

 なお、SOS機能を含む衛星通信を利用するには、サブスクリプションプラン(17.99米ドル/月~)の加入が必要。

年々増加する山岳事故

 山岳領域での事故が年々増加してきており、装備が不十分なままだったり、ルートを見失ったりすることで事故に繋がるケースがある。近年発生した事故の中には、低体温症の症状が出てから救助を要請するまでに携帯電話の電波がなかなか繋がらなかったケースもあり、日本山岳ガイド協会ではガイドの育成とともに、登山愛好家の知識や技術の習得が重要であるとしている。また、国際山岳ガイドの近藤謙司氏は、事故対策の1つに、携帯電話以外の通信デバイスを装備することを挙げている。

 今回の「inReach Messenger Plus」は、先代機種から通信速度や容量が拡張された「inReach Gen2」に対応し、SOS機能だけでなく平時にも利用できる機能が拡張された。

イリジウム衛星を使ったinReach

 inReachは、イリジウム(iridium)衛星を使ったGarminの衛星通信機能の総称で、メッセージ機能や位置情報共有機能、SOS要請機能などが用意されている。

 イリジウムは、地上約780kmの位置を飛行する約70機の周回衛星を使用し、ほぼ地球全域をカバーする通信サービス。静止衛星と比較して低い高度の衛星を使用するため、遅延が少ない通信が期待できる。

 inReach機能の基本的な機能として、「テキストメッセージの送受信」や「位置情報の共有」、「天気情報の受信」、「緊急時のSOS機能」が挙げられる。これらの機能は先代機種を含め既存機種でも利用できる。

 たとえば、テキストメッセージの送受信機能では、inReachデバイスとユーザーのスマートフォンをペアリングさせてスマートフォンアプリからメッセージを送受信できる。メッセージは、アプリ同士またはEメールアドレスを使ってやりとりできる。

 位置情報の共有機能は、「Mapshare」と呼ばれる機能で、衛星通信でユーザーの位置情報を10分間隔で送信し、家族や友人などと共有できる。先述のテキストメッセージの送受信機能でも、位置情報を添付して送信できる。

 また、テキストメッセージのクレジットを利用して天気予報の情報を取得することもできる。携帯電話の電波が繋がらない場所でも、衛星経由で最新の気象情報を取得できる。

 「緊急時のSOS機能」は、inReachデバイス本体のSOSボタンを押して発報できる。SOSボタンが押下されると、Garmin応答センターに発信され、応答センターの専任スタッフがテキストメッセージで応答する。やりとりの結果、救助要請が必要だと判断されると、公的な救助組織への要請や情報共有がなされる仕組み。SOS発報では、そのユーザーの位置情報も自動的に送信されるほか、ユーザーがどの国のユーザーかを確認できるようになっており、日本人であれば日本語で対応される。

SOSボタンはカバーをはずすと出現する

「inReach Messenger Plus」の新機能

 「inReach Messenger Plus」では、「inReach Gen2」(第2世代)になり通信容量が拡張されたことで、先述の機能が拡張されている。

 テキストメッセージの送受信機能では、1回あたりの容量が160バイトから1600バイトに拡大された。日本語の文章では53文字から533文字となる。

 また、アプリ同士で「写真」と「ボイスメッセージ」の送受信に対応する。ボイスメッセージは最大30秒のものを送ることができる。写真は、大容量のファイルではサービス側で圧縮される場合がある。

衛星通信を使ってメッセージや写真を送受信できる

 このほか、ルート作成やポイント管理ができる地図アプリ「Garmin Explore App」に対応し、地図によるナビゲーション機能も利用できる。

山岳救助だけではない衛星通信の重要性

 SOS機能は、先述の通りGarminの応答センター(米国)に発報され、専任スタッフとのやりとりの結果、救助要請が必要だと判断された場合に、公的機関に通報される。日本国内では、山岳関連の事故は都道府県の消防、海難事故では海上保安庁に通報される。

 日本でも救助要請に至ったケースは年々増加している。

 海外では、日本よりも携帯電話の圏外となるエリアが多い。たとえば、米国では主要な道路でも圏外となるところがあり、そのような場所でエンジン故障やガス欠になった際に利用されるケースもあるという。

世界各国の軍も使用する本格GPSナビゲーター

 なお、同じ27日には、リストバンド型のGPSナビゲーター「Foretrex 801」も発売される。価格は4万5800円。

 スマートフォンアプリ「Garmin Explore App」に対応し、アプリでポイントを指定することで、目的地までの距離や方角をハンズフリーで確認できる。また、現在位置の座標や通知機能などが備わっており、スカイダイビングやハングライダーなどのシーンで活用できる。

 また、世界各国の軍からも調達されており、米国の調達規定「MIL-STD-801」の耐熱性、耐衝撃性、耐水性をサポート。ミリタリー機能としてナイトビジョンモードやステルスモード、すべてのデータを消去し初期化する“キルスイッチ”などを備える。

主な仕様

inReach Messenger Plus

  • サイズ:78×64×23mm
  • 重さ:117.2g
  • ディスプレイ:160×68ピクセル、半透過型モノクロ低消費電力液晶ディスプレイ
  • 電源:リチウムイオン充電池(内蔵)
  • 稼働時間:約600時間(10分おきにテキストメッセージ/位置情報を送信した場合)
  • 防水:IPX7
  • 双方向通信:○
  • 現在地の共有:○
  • 価格:8万3800円

Foretrex 801

  • サイズ:75×49×22mm
  • 重さ:107.7g
  • ディスプレイ:2.2インチ、320×240ピクセル、モノクロ低消費電力液晶ディスプレイ
  • 電源:単4電池2本
  • 稼働時間
    GPSモード:約100時間、エクスペディションモード:約1000時間
  • 位置測位:GPS、GLONASS、GALILEO、みちびき、BeiDou
  • 防水:IPX7
  • ウェイポイント:500
  • ログ記録:1万ポイント、100ルート
  • ルート:50
  • 価格:4万5800円

【訂正】
Garminからの案内で一部画像を修正しました。