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「iPhoneでマイナカード」ついに正式発表、対応機種やサポートされる機能はどうなる?
2024年5月30日 13:50
30日9時30分~45分、岸田文雄総理大臣と米アップル(Apple)CEOのティム・クック氏とのビデオ会談が実施され、マイナンバーカード機能をiPhoneに搭載することが確認された。
来春後半にもiPhoneでマイナンバーカードが利用できるようになるが、Androidでは2023年春に利用できるようになっていた。iPhoneでの機能と、Androidとではどういった違いがあるのか。またiPhoneではどういった使い勝手になるのだろうか。
本日(5/30)、米Apple社CEOのティム・クック氏とテレビ会談を行い、来春、iPhoneにもマイナンバーカードの機能を搭載することを確認しました。
— 首相官邸 (@kantei)May 30, 2024
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iPhoneはマイナンバーカード機能
2023年に実現したAndroidでのマイナンバーカード関連の機能と、iPhoneで2025年春に導入されるという機能では、実は異なる部分がある。
Androidで導入済みの機能は、マイナンバーカードの機能のなかでも「電子証明書機能(電子署名および電子認証の機能)」と呼ばれるもの。これにより、「マイナポータル」アプリをスマホ単体で利用できるほか、コンビニエンスストアで住民票の印刷などが利用できる。
一方、マイナンバーカードには「氏名」「住所」「生年月日」「性別」「マイナンバー」「顔写真」が記載されている。これら“属性証明”する機能をスマートフォンに搭載すべく、現在、改正法案が参議院で審議されている。
これらにより、ユーザー本人が了解した上で、自分自身を証明する情報として、民間サービスの本人確認などで「スマホに内蔵されたマイナンバーカード」として使えるようになる。このため、かざして利用することもできる。
Androidでも属性証明機能を利用できるようになるか、デジタル庁ではまだ未定としながらも「順次拡大していく」としている。
iPhoneでマイナンバーカードは1人1台
Apple Walletでは現在、クレジットカードのデジタル版、交通系カード、あるいは自動車の鍵として利用できる機能などが実現されている。米国内では身分証明書機能も4州(アリゾナ州、コロラド州、ジョージア州、メリーランド州)で利用可能となっているが、その機能が米国外で使えるようになるのは、日本が初めて。
アップルの発表では「物理的なカードと同じように」と記されており、これは、先述した電子証明書機能と属性証明機能(券面記載事項の表示)がサポートされることを意味するものと見られる。つまりプラスチックカードのマイナンバーカードと同じように、電子証明書を使ってマイナポータルにログインしたり、ディスプレイ上にユーザーの情報を表示したりする、といったかたちだ。また、iPhoneで使えるようにした後も、プラスチックのマイナンバーカードは使える。
デジタル庁によれば、現時点ではiPhoneのマイナンバーカード機能は、1人1台に限られる予定。なお、サービス開始時点でApple Watchでは利用できないが、将来的に利用できるよう開発が進められるようだ。
また、ローンチ時には、マイナンバーカード搭載機能に対応するiOSのバージョンが明らかにされると見られ、そのバージョンに対応するiPhone全てでマイナンバーカード機能が利用できるようになる。
iPhoneのセキュリティをiPhone内のマイナンバーカードにも
その一方で、iPhoneに搭載されることで、iPhoneならではのセキュリティ機能やプライバシー保護を受けられるようにもなる。
たとえば、「探す」アプリでiPhoneの位置を確認したり、iPhoneをロックしたり、あるいはiPhone内のデータを消去したりできる。
これまでも実現されているものだが、そうした機能がiPhone内のマイナンバーカードの保護に役立つことにもなる。
また、アップル側には、マイナンバーカードの利用履歴は見えない。また利用履歴はすべて暗号化されている。
マイナンバーカード関連の情報は、公的個人認証サービス(JPKI)のアプレットを通じて、iPhone内のセキュアエレメント(保護すべき情報を格納する場所)に格納される。さらにiPhoneを利用する際のFaceID、TouchIDといった仕組みも活用できる。これらの仕組みを通じて、盗難や改ざんを防ぐ。
マイナンバーカードの進化に対応するのか
マイナンバーカードはすでに健康保険証として利用できるようになっているが、今後は運転免許証としても利用できるようになる予定。
このような機能拡充に対して、iPhoneのマイナンバーカードはどうなるのか。デジタル庁とアップルは密にやり取りしているとのことで、ロードマップも共有されている。マイナンバーカードが進化していけば、“デジタル版”となるApple Wallet(iPhone)のマイナンバーカードでも同じ機能が提供されるようになる見込み。