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KDDIがゲーム配信スポット「esports Style UENO」を開設、「10Gbps専用回線」を個人でも利用できる

既存サービスとのシナジー効果を期待

左からKDDI パーソナル事業本部コンシューマ営業統括本部 副統括本部長の佐々木 正見氏、タレントの野々宮 ミカ、ゲーム実況者のドンピシャ、DetonatioN 社長の梅崎 伸幸氏、プロゲーマーの板橋ザンギエフ氏、タレントの倉持 由香、KDDI パーソナル事業本部 コンシューマ営業統括本部コンシューマ営業統括 2部 商品推進部長の砂金 智彦氏

 KDDIは、ハイスペックゲーミングパソコンや、充実の配信機材、10Gbpsの帯域確保型インターネット回線などを備えたeスポーツ施設「esports Style UENO」をau Style UENO3階(東京都台東区)を2月1日に開設する。利用料金は、オープンゲームブースで1時間528円、au PAY(コード支払い)で20%割引の1時間440円から利用できる。

 施設では、安定した高速通信回線の敷設のほか、ASUSが手がけたオリジナルのハイスペックマシン、オカムラのゲーミングチェア、ノートンのゲーマー向けセキュリティソフトなど、ゲームプレイに特化した環境が整備されている。

エントランスロゴ

KDDIとして、Z世代などへの接点拡大を期待

KDDI 執行役員 パーソナル事業本部コンシューマ営業統括本部 副統括本部長の佐々木 正見氏

 KDDI 執行役員 パーソナル事業本部コンシューマ営業統括本部 副統括本部長の佐々木 正見氏は、GeForce Now(クラウドゲーミングサービス)やグループ会社のJAPAN eSPORTS AWARDSへの協賛など、これまでもeスポーツへの取り組みは進めてきたとし、そのなかで今回、リアルにユーザーと接することができ拠点として立ち上げることになったという。

 「新しい価値提供はもちろん、オンラインとオフラインの両面をつなぐ拠点として、eスポーツの新しい情報発信基地として稼働させていきたい」と、佐々木氏は本施設への本気度を見せる。

 eスポーツ市場について、佐々木氏はオンラインとオフラインのハイブリッド型に移行してきたといい、市場規模は格段に成長しているという。そのなかで、同社としては「大きなビジネスチャンス」だけでなく、新しいKDDIユーザーとしてのタッチポイントとしての役割も大きな目的と話す。

 今回の施設は、KDDIが直営で運営していショップの階上に位置している。直営店ならではの高品質なサービスを提供し、これまでの通信の販売チャネルではアプローチできていなかったZ世代などのユーザーの接点を拡大させていきたいとしている。

配信ゲーマー、初心者からプロユースまでをカバー

 今回の施設では、先述の通りこの施設専用に10Gbpsの帯域確保型のインターネット回線が敷設されている。日本中のインターネット回線のハブともいえる“大手町”まで専用の回線が確保されているといい、佐々木氏も「当施設最大の強み」と自信を見せる。

会場でのスピードテスト結果。このほか、レイテンシーも1msと高いパフォーマンス性能が備わっている

 この専用回線だけでなく、実際のゲーミングマシンに至るまでのネットワーク機器や、LANケーブル、マシン内のLANカードに至るまで、ネットワークに関わるすべてのパーツを10Gbps対応のものにしているという。同社 パーソナル事業本部 コンシューマ営業統括本部コンシューマ営業統括 2部 商品推進部長の砂金 智彦氏は「一瞬のレスポンスが勝負を分けるシビアなeスポーツにおいて、非常に高いフレームレートでストレスのないプレイ環境を実現している」とコメントしている。

パーソナル事業本部 コンシューマ営業統括本部コンシューマ営業統括 2部 商品推進部長の砂金 智彦氏

 また、ゲーミングマシンは、ASUS JAPANが手がけた同施設オリジナルモデルを構築し導入している。

オリジナルマシン。市場に出ていないものだが、担当者曰く「ものすごく高額」とのこと

 施設の内装については、通常時は中央にオープンスペースが用意され、オープンゲームブースとして利用される。イベント時には、座席を配置しスクール形式のレイアウトなどに変えられるようになっている。最大140人まで参加でき、正面には294インチの高精細LEDビジョンが、随所に55インチモニターが設置されており、パブリックビューイングなどのイベント会場としても利用できる。

通常時はオープンゲームブースとして利用
イベント時は、パブリックビューイング形式などに変更
ライブ配信のコントロールルーム

 オープンスペース以外にも、定員6名の個室ブースも2カ所設けられており、可動壁を移動させると最大12人まで利用できるゲーミング空間となる。

個室スペース
オカムラのゲーミングチェア

 先述のオープンスペースに隣接する場所には、実況配信ルームが用意されている。配信機材や照明などが備え付けられており、ブース料金だけでハイスペックゲーミングマシンや配信機材が利用できる。ゲーム配信初心者も歓迎しているといい、砂金氏は「初心者でも利用しやすい機材で調整しており、家庭では難しいゲーム配信を、お試しで配信できる」としている。

さまざまなゲーム/配信機材が利用できる

 このほか、施設1階にはカフェ「BLUE LEAF CAFÉ」が営業しており、飲食での連携や、カフェで購入した飲み物などを持ち込んでパブリックビューイングに参加するなどの楽しみ方ができる。

1階のカフェスペース
3階の配信を中継できるディスプレイや、上野にちなんだオリジナルメニューも展開されている

 なお、砂金氏によるとeスポーツにとらわれず、さまざまな法人イベントのスペースとしての利用も想定しているという。メーカーの発表会や広告代理店などにも幅広く活用できるとしている。パソコンゲームだけでなく、モバイルゲームのニーズにも対応できるよう、ASUSのモバイル端末の無料貸出や、イベント主催者向けに一定台数のスマートフォンを貸し出すパッケージプランなども用意している。

名古屋の施設との遠隔接続も

 今回の施設よりも前に、中部地方でインターネット事業を展開する中部テレコミュニケーション(KDDIグループ)が同様の施設「eSports Stadium NAGOYA」(愛知県名古屋市)を2019年秋から営業している。

 今回の施設の運営にあたっては、名古屋の施設運営で得たノウハウを取り込んで運営するほか、上野と名古屋、2つの会場をつないでの対戦型イベントなども実施できる。

プロチームやスポンサーとの連携

左からKDDI パーソナル事業本部コンシューマ営業統括本部 副統括本部長の佐々木 正見氏、ASUS JAPAN システムビジネス事業部 コンシューマ事業本部 営業部 部長の加藤 聖士氏、DetonatioN 社長の梅崎 伸幸氏、オカムラ オフィス環境事業本部 マーケティング本部長の眞田 弘行氏、ノートンライフロック マーケティング部 部長の古谷 尋氏、KDDI パーソナル事業本部 コンシューマ営業統括本部コンシューマ営業統括 2部 商品推進部長の砂金 智彦氏

 今回の施設では、プロスポーツチームやスポンサーメーカーと連携して施設を運営していく。

 プロのeスポーツチームを運営するDetonatioN 代表取締役社長の梅崎 伸幸氏は、ファンとのコミュニティイベントやグッズ販売、教育などの経験を今回の施設でも展開していきたいとコメント。この施設限定のグッズやSNSでの拡散施策などを実施していき、eスポーツの拠点となる施設作りに貢献する姿勢を示した。

DetonatioN 代表取締役社長の梅崎 伸幸氏

 また、協賛企業として参画するASUS JAPAN システムビジネス事業部 コンシューマ事業本部 営業部 部長の加藤 聖士氏は、ゲーミングマシンだけでなく、マウスやキーボード、アクセサリーなどゲーマー向け商品を多数扱うなかで、今回の施設はZ世代へのタッチポイントやアプローチ効果を期待しているとし「(10Gbpsの)通信環境だけでなく、ライフデザイン複合型施設として、ユーザーにわくわくした体験ができるものになる」とコメントを寄せる。

ASUS JAPAN システムビジネス事業部 コンシューマ事業本部 営業部 部長の加藤 聖士氏

 オカムラ オフィス環境事業本部 マーケティング本部長の眞田 弘行氏は、施設のゲーミングチェアについて「ゲームのジャンルやデバイスの違い、プレイスタイルを調査分析して開発」とコメント。前傾姿勢から基本姿勢、後傾姿勢まで、身体に負担がかからない設計になっているという。

オカムラ オフィス環境事業本部 マーケティング本部長の眞田 弘行氏

 ノートンライフロック マーケティング部 部長の古谷 尋氏からは、ゲーマー向けのセキュリティソフト「ノートン 360 for Gamers」が紹介された。ゲーマーのために開発された商品だといい、米国のプロゲーマーの意見を多数採用されているという。

ノートンライフロック マーケティング部 部長の古谷 尋氏

 「ゲームオプティマイザー」機能では、マルチコアCPU搭載パソコンにおいて、「ゲームに不要なプロセス、プログラムを1つのコアに集約し、それ以外をゲームのみに使う」機能を備えており、パフォーマンスを落とさずに安全安心を担保しながらゲームを楽しめるとしている。

KDDIの既存事業とのシナジーに期待

KDDI 佐々木氏

 KDDI 佐々木氏は、今回の施設についてeスポーツと既存事業とのシナジー効果を期待していると明かす。

 同社として、これまでZ世代にアプローチし切れていないことに課題感があったといい、今回の取り組みを今後1つのマーケティングとして横展開していくことも考えているという。

 今回の施設では、1階にカフェスペース、2階に通信サービスの契約などできるショップ機能がある。たとえば、2階フロアでeスポーツの訴求や3階施設への送客を、3階フロアで実際の通信環境に触れたユーザーを2階に誘導するなど、相互送客できることが考えられている。

 なお、施設の立地について佐々木氏は「秋葉原に近く、ゲーマーに非常になじみのある場所に近い立地であること。また、遠方のユーザーにとって、東京駅から近いアクセスの良さ。周辺に競合の大きな施設がないことから総合的に判断し、全国28のフラッグシップ直営店の中から選んだ」とコメント。今後同様の物を他方にも展開していくかを問われた佐々木氏は「まずは上野を最優先に考えている」とし、現時点での計画はないとした。

【お詫びと訂正】
ゲーミングチェアのブランド名に一部誤りがありました。
お詫びして修正します。