ニュース

能登半島地震の避難所利用者に「Suica」配布、利用状況やニーズ把握

 デジタル庁、防災DX官民共創協議会、JR東日本は、令和6年能登半島地震の被災者が、1次避難所から1.5次避難所や2次避難所へ移動したり、県外の親戚宅や車中泊など、より広域に移動したりする機会が増えており、その過程で居場所や避難所の利用状況などの把握が難しくなっているため、JR東日本の交通系ICカード「Suica」を使って、被災者の所在や行動把握を行うと発表した。

取り組みの概要

 取り組みの概要は、受入体制の整った一次避難所の利用者にSuicaを配布し、Suica受取時に利用者の名前と連絡先などを登録する。避難所の利用時に避難所に設置したリーダーにSuicaをかざすことで、避難所の利用状況を把握し、データを石川県庁に集約する。被災市町のニーズを聞きながら、各避難所の利用者の把握や支援効率化、市町が作成する被災者台帳の基礎情報などに活用する。

 河野太郎デジタル大臣は、1月26日の会見で「本来はマイナンバーカードで実現すべき仕組みだが、マイナンバーカードのリーダーの準備が間に合わなかった」と、マイナンバーカードを使わなかった背景を説明した。また、輪島市におけるり災証明書の申請はその96%がオンラインで行われ、マイナポータルでの申請は全体の3分の1ほどであったことが明かされている。

【河野大臣の会見】

 デジタル庁によると、既にSuicaを持っているあるいはモバイルSuicaなどで利用している人でも、これらのカードを利用することはできず、今回の取り組みで新たに配布されるSuicaの利用が必要となるという。

 今回の取り組みでは、1万8000枚のSuicaとリーダー350台配布する。こうした物品の調達にかかる費用はJR東日本が負担するため、行政や避難者の費用負担は無いという。リーダーは、約310カ所の一次避難所に設置され、避難所の利用者はSuicaに氏名、住所、生年月日、連絡先を登録する。カードやリーダーの準備は既に始まっており、来週中にも配布および利用を開始する計画という。

 大臣会見によると、夜間に一次避難所に滞在する被災者は約1万人だが、夜は自宅で過ごしたり、親戚や知人宅に身を寄せたりする被災者もいるため、支援を要する対象者がどの避難所にどのぐらい居るのかを把握するために、こうした仕組みが必要となる。

 河野大臣は、今回の取り組みでマイナンバーカードを用いない理由について、設置するリーダーがマイナンバーカードの読み取りに必要なNFC TypeBをサポートしていないためと説明した上で、今後の災害に備えてマイナンバーカードの読み取りに対応するリーダーを備える必要があるほか、カードを保有するだけでなく、サイフの中などに入れて持ち運ぶなど携行率も高める必要があるという認識を明かした。

 また、今回はTypeBに対応するリーダーの調達が間に合わなかったが、避難所となる場所にリーダーを設置のうえ、マイナンバーカードの携行率を高めて、避難者が避難所に入所する際に事務手続きが不要になることが理想であると述べた。