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能登半島地震でドコモとKDDIが運用した「船上基地局」、両社が語るメリットと日本海の厳しさ

 18日午後、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルの4社が、令和6年能登半島地震の復旧に関する共同記者会見を開催した。大規模災害における共同会見は、異例のこと。

 会見の詳細は別途お伝えするが、その質疑応答で、初めてNTTドコモとKDDIが共同運用した船上基地局について、両社からそのメリットや課題が語られた。

長崎から出港

 船上基地局は、その名の通り、船舶に携帯電話の基地局となる設備を搭載し、海上から陸地に向けてサービスエリアを構築するというもの。

 NTTとKDDIは2020年、それぞれが保有する海底ケーブル敷設船に互いの基地局設備を搭載するという連携協定を締結。今回、1月6日から能登半島沖で運用されている。

 船上基地局の運用は1月2日に判断。災害の状況が判明しつつあるなかで、沿岸部の被災が大きいだろうと考えたため。

 運用された船舶は、長崎に位置していた。NTTの船舶が今回用いられたが、両社の船の停泊場所からの移動時間などを踏まえ、KDDIではなくNTTの「きずな」が活用されることになった。

 2日に運用開始を決めたあと、両社は機材を準備し、船へ積み替えた。

 能登半島への移動時間や船上での設置・チューニング作業は夜間では危険があり昼間に行うことを踏まえると、6日からの運用は「かなり速やかにできた」と評価しているという。

ドコモとKDDIが語るメリット

 NTTドコモの小林宏常務執行役員ネットワーク本部長は、「今回、初めて運用したが、事前のシミュレーションでかなり広いエリアをカバーできることがわかっており、実際にそれだけの電波が届いた。有効性はかなり高い」と評価する。

 これに、KDDIの山本和弘執行役員常務 技術統括本部副統括本部長 兼エンジニアリング推進本部長は、同じようにエリアを広くカバーできるメリットがあること、それに加えて「1500人ほどの方にお使いいただきたいということで有効な手段だった」としている。

左からドコモ小林氏、KDDI山本氏、ソフトバンク関和氏、楽天竹下氏

船という環境がもたらす課題

 一方で、どういった課題があったのか。

 これに、ドコモの小林氏は「今回用いたのはNTTグループの『きずな』というケーブル敷設船で、その場に留まり続けられる能力がある。しかし、冬の日本海ということで、かなり海が荒れていた。船のスタッフは慣れているかもしれないが、基地局の運用スタッフが、表現として適切かわからないが、かなり参ってしまった。1週間程度でスタッフ・作業員を入れ替えないと、体力的にも持たない」と語る。

 また、食料なども長期で船を運用するときの課題になるという。

 KDDIの山本氏も荒れる海での活動という課題があり、さらに「長期間の運用になり、船での滞在が長くなってしまっている。これは想定を超えた点」と説明した。

ソフトバンクと楽天は

 船上基地局の取り組みはなかったソフトバンクと楽天モバイルはそれぞれ今後については前向きに取り組む意向を示した。

 ソフトバンクの関和智弘常務執行役員兼CNOは、「ドローンの活用などで復旧を進めているが、船が最適なソリューションになる場所があるのも事実。今後、活用を検討したい」とした。

 楽天モバイルの竹下紘 執行役員 副CTO兼モバイルネットワーク本部長は「(実際に運用した両社から)有用性を本日お聞きして、社内でも検討し、こういった災害時にどう持てるのか、役に立てるのか検討したい」と語った。