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シャープがLEO/MEO衛星通信アンテナを開発へ、スマホ設計技術を活用

 シャープは、LEO(低軌道)/MEO(中軌道)衛星通信向け地上局用フラットパネルアンテナの開発を開始した。2024年度中の商品化を目標に開発を進める。

 日本には海上や山地、島しょ部など、基地局とのモバイルデータ通信が困難なエリアが存在し、一部で衛星通信が用いられる。従来のGEO(静止軌道)衛星よりも地球に近い軌道から電波を送るLEO/MEO衛星については、高速大容量の通信の実現につながる有用性が注目されている。

 シャープは、スマートフォン設計で培った高周波技術や高効率放熱技術、センサー技術などを活用し、電波損失が少なく安定した通信が可能なLEO/MEO衛星通信アンテナの開発に取り組む。小型かつ軽量で、船舶などへの搭載にも対応するという。

 将来的には、幅広い帯域で使用できるKa/Ku帯デュアルバンド対応に加え、さらなる小型化を目指す。ドローンや自動車に搭載して山地などで通信回線を確保できるほか、自動運転車での活用なども視野に入れる。

 今後は概念実証の実施に加え、衛星通信の無線通信技術や映像符号化技術の国際標準化を推進していく。なお、今回の開発プロジェクトは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)による「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」の「社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム」公募において、10月31日に採択されている。