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ザクティ、わずか29gのウェアラブルカメラ――ヘルメットいらず多様な業種に対応

 ザクティは、コンパクトさが特徴のウェアラブルカメラ「CX-WL100」とその配信サービス「Xacti Live」を発表した。

わずか29g、ヘルメットいらずのウェアラブルカメラ

 CX-WL100は、遠隔支援サービスなどに向けた小型のウェアラブルカメラ。ヘルメットへの取り付けを前提としたものが多いなか、29gと軽量・小型さを活かし帽子やメガネ、自撮り棒など取り付け場所の柔軟性を確保した。

 本体の大きさは26×34×35mm。IP67の防水防塵性能を持つ。0.75ルクスの低照度下でも撮影可能としており、AndroidとiOSに対応する。

 撮影した映像は「Xacti Booster Package」を通じて視聴できる。パッケージ内では通信状況に応じて画質設定を自動調整する機能を持つ。映像には画質の良さが求められるものの、通信状況によってはカクついたり配信が停止してしまったりする場合がある。今回の仕組みでは、通信状況に合わせて画質を自動的に調整することで安定した配信を実現した。

 また、視聴者側でカメラ本体を操作し、高画質を保ったままズームできる「スーパーズーム」も用意される。一般的なデジタルズームとは異なり、画質が変化しづらく文字も視認しやすいとする。

 あわせて複数の現場の映像を位置情報とともに表示できる「マルチビュー・マルチアクセス」により、管理者は場所を移動せずに複数の現場の確認が可能になる。

 Xacti Liveはカメラ本体とアプリケーションをセットとしたサービスで、基本プランとレンタルプランの2種類を用意。基本プランの場合、初期費用は10万8900円で月額利用料金は4378円。レンタルプランの場合、初期費用は3万3000円で月額利用料金は1万890円となる。いずれのプランでも12カ月以上の契約を必要とする。

 カメラを単体で購入する場合の価格は19万8000円。ヨドバシカメラの主要店舗で実機が取り扱われ、個人でも購入できるという。

少子高齢化・技術継承の課題解決に

ザクティ 喜久川政樹氏。襟にCX-WL100を装着している

 ザクティは当初、三洋電機のカメラ部門として1976年に設立。ザクティブランドのカメラは一般のユーザーに人気を博した。その後2013年には、パナソニック三洋電機グループから独立し、企業として独立。OEM製品などを多く手掛ける一方で自社の名前を関した製品・ソリューションを開発し、導入企業は1000社以上にのぼるという。

 AIカメラやドローンなど、法人向けの製品・ソリューションを展開するなかで多くの産業で課題となっているのが少子高齢化の拡大や社会インフラの老朽化。さまざまな現場で遠隔支援・臨場が導入されており、ザクティ 代表取締役社長の喜久川政樹氏は、同社のソリューションがインフラ補修やテレビ撮影にも用いられていることを紹介。強力なブレ補正やカメラを装着した頭を傾けても、映像は水平を保つという同社が強みとする技術に触れながら、その優位性を示した。

 一方で、ウェアラブルカメラはヘルメットに装着することが多く、ヘルメットを使う業種での利用は多い。そうしたなかで、喜久川氏はヘルメットなしでウェアラブルカメラを使いたいという要望があったと、今回の製品登場の背景を明かした。社内での何気ない会話から半年で製品ができあがったというエピソードを紹介し「建設や公共事業などと違う分野でも少子高齢化問題をたくさん抱えている。それを解決できる。『日本の技術って良かったな』と思える将来を描きたい」と新製品への期待を語った。

 37×69×92mmという大きさだった旧モデルに対して、新型は26×34×35mmと小型化。重量も95gから29gにおさえられ、発表の場ではメガネのフレームやスーツのポケットに装着するデモを披露。喜久川氏もじつは登壇時から装着していたと目立たなさをアピールした。

 建設などのヘルメットを着用する業種のみならず小売や警備、物流などさまざまな業界での利用を見据える。法人用途を主眼にしたものだが喜久川氏は「YouTuberの方でも使いたいというニーズは出てくると思う」と多様なニーズへ応える姿勢を示す。

 コンシューマー向け販路については量販店以外にもECサイトなどにも広げたい考えを示し、ユーザーへの訴求については「どういうマーケティングで行くかはユーザーの使い方(次第)」としたうえで「我々は新たに開発できる会社。1対多数の配信時にどういう機能が欲しいのかを聴いて広げていきたい」とした。

 Xacti Liveは10月20日に提供を開始する。10月17日~20日に千葉県の幕張メッセで開催される「CEATEC 2023」で展示される予定。