スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ザクティの業務用映像配信サービス「Xacti LIVE」レビュー! スマホを使ってリアルタイム配信!!!

 ザクティが発表したウェアラブルライブ映像デバイス&サービス「Xacti LIVE」。ザクティは三洋電機のカメラ部門として1976年に設立されたが、その後に独立。現在はデジタル映像ソリューションのリーディングカンパニーとなり、業務用のライブ配信機器やサービスを提供している。

 新たに発表された「Xacti LIVE」は、非常に小さなウェアラブルカメラとクラウドベースのサービスを組み合わせて使うもので、基本的には業務用。なのだが、上記ニュースを読むほどに「なんかコレおもしろそうだし実用的っぽい!」と思ったので、メーカーから実機をお借りして試してみることに。

ウェアラブルカメラは「CX-WL100」と呼ばれる製品で、キューブ状のものがカメラヘッド、黒い板状のものが本体ユニットだ。本体ユニットとスマートフォンをUSB接続して専用アプリを起動すれば、同社のクラウドサービスに接続されて利用できる。カメラヘッドは眼鏡のフレームに装着するなどして使う。

 これだけだと「?」って感じだと思うが、使ってみたらアラ愉快! 上の写真のカメラ一式とスマートフォンがあれば、どこからでも映像を配信でき、いろいろな場所からその映像を閲覧できる。もちろんリアルタイムの映像として、である。また、双方で会話などしてやりとりもできる。

 ちなみにコンシューマー向けの販売なども考えているとのこと。ともあれ以降、Xacti LIVEの機能性や使用感をレビューしてゆきたいッ!!!

本体とスマートフォンをつなげれば、現場と遠隔地がつながる!

 まずXacti LIVEってナンなのか? ということについて。ザックリ言えば、現場(映す側)と遠隔地(見る側)をスマートフォン回線で結んでのリアルタイム映像配信サービスというイメージだ。

 俺的に軽く驚いたのがそのシンプルさ。ウェアラブルカメラ(本体ユニット)をスマートフォンとUSB接続するだけで使えるのだ。「えっ業務用のリアルタイム映像配信ってなんか複雑そうって気がしていたが、それだけで使えるの?」って感じ。

基本的には、ウェアラブルカメラ(本体ユニット)をスマートフォンとUSB接続を接続すればXacti LIVEを利用できる。たとえばこんなふうにメガネフレームなどにカメラヘッドを装着して現場に赴く。現場で見た光景がクラウド経由でリアルタイムで配信され、遠隔地にてその光景を見ることができる。
Webブラウザで「Xacti Booster Package」というクラウドサービスを使えば、カメラが捉えた映像をリアルタイムで見ることができる。これは机上に置いたXacti LIVE製品パッケージを撮影・配信している映像を、Webブラウザで見ている様子。

 カメラが捉えた映像を、スマートフォンアプリがモバイル回線を使ってクラウドに送信。その映像をWebブラウザで見ることができるというわけだ。現場(映す側)はスマートフォンと本体ユニット+カメラヘッドだけを使えばよく、遠隔地(見る側)はWebブラウザが使える環境さえあればOK。ヒッジョーにシンプルなのであり、多くのケースで途切れることのないモバイル回線を使えるというのもヒッジョーに実用的だと感じた。

 業務用途での機能性もシンプルで、現場(映す側)は映像をスマートフォン内に保存したり(それをクラウドに自動アップロードしたり)、遠隔地(見る側)は高画質でズームアップしたり任意の動画をローカル保存したりできる。また現場と遠隔地で音声によるやりとりも行える。遠隔地で複数現場を同時に見たり、現場と複数の遠隔地をつないだりすることができる。

 ヘルメットなど特定の取り付け場所を必要としないサイズ・重量もスゲく好印象。カメラヘッドの大きさは26×34×35mmで重さは約29g。本体ユニットの大きさは66×60×12mmで重さは約46g。なので上の写真のように帽子やメガネにカメラを装着でき、本体ユニット+スマートフォンをポケットに入れるなどして使える。

小さく軽いカメラヘッド。防塵防水性能は、カメラヘッドがIP67、本体ユニットがIP65。防塵等級はどちらも6級で「粉塵が中に入らない耐塵形」。防水等級はカメラヘッドが「一時的に一定水圧の条件に水没しても内部に浸水することがない防浸形」で、本体ユニットが「あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない防噴流形」となっている。
業務用途として、このようなものを想定しているそうだ。確かにどれもヘルメットなど「カメラ装着方法」がなさそうな現場。でもXacti LIVEのカメラヘッドなら大丈夫だろう。

撮った映像はほぼリアルタイムで伝わる

 基本的には本体ユニットとスマートフォンをUSB接続するだけで使えちゃうXacti LIVE。もちろん事前にサブスクリプション契約をしたり、得たアカウントでスマートフォンアプリやWebブラウザベースのXACTI CLOUD MANAGERにログインしたりという手順はある。のだが、初期設定後は単に本体ユニットとスマートフォンをUSB接続する程度の手間でリアルタイムのライブ映像配信を行える。

 俺の場合、スマートフォンとしてiPhone 15 Pro Maxを使い、Xacti LIVEを試してみた。iPhone 15 Pro Maxは外部機器とUSB-C接続できるので、非常にシンプルな状態で準備できた。

本体ユニットをiPhoneとUSB-C接続すればハードウェア側の準備は完了。本体ユニットの電源はiPhoneからのUSB給電。

 ソフトウェアのセットアップは比較的に簡単だと感じられた。既に同様のサービスを多数企業に提供しているザクティなので、サポート関連のWebサイトも充実していた。Xacti LIVEの初期設定なども、クイックガイドなどを参照してスムーズに進められた。

 では、Xacti LIVEを使うと、現場(映す側)と遠隔地(見る側)がどんな感じで結ばれるのか? スクリーンショットを使ってちょっとご説明。

現場(映す側)の手順。本体ユニットとiPhoneとUSB-C接続すると「カメラ接続中」の表示がなされる。この画面で本体ユニットを接続せず、アプリの各種設定を行うこともできる。アプリは録画などに対応している「Xacti Pro」を使用している。機能を絞ってよりシンプルに扱える「Xacti Viewer」もある。
間もなくiPhoneとカメラが接続されてこんなライブビュー表示になる。必要に応じて録画ボタンや通話ボタンを使う。スマートフォンはスリープ状態にしてしまってもいい。
アプリ上での各種設定。録画した映像を再生したり、アプリやカメラの機能を設定したりできる。
遠隔地(見る側)の手順。Webブラウザでクラウドにアクセスし、登録したカメラ(現場・映す側が使用)から配信させたいものを選ぶ。この場合は1台しか登録していないのでコレを。
接続状態にするとリアルタイム映像配信を表示できる。現場と通話したり、映像をローカルに保存したりもできる。
さまざまな機能をWebブラウザから使える。
クラウドに保存された(過去のリアルタイム配信映像)を扱える。

 今回はひとりで現場と遠隔地を経験しているが、モバイル回線経由で映像を送りつつ、送られてきた映像を見ていると、タイムラグの少なさにあらためて驚く。首をテンポ良く左右に振ったりしても、送られてくる映像がそのテンポにほぼ合っていたりする。映像が途切れたり止まったりすることもほぼなかった。まれに一瞬だけ止まったことがあったが、まあ現場でそれが起きても、遠隔地から「いまのところ一瞬止まったので、もう一度確認させてください」とリクエストすればいいのだろう。

 これでカメラとWebブラウザの位置が離れているとしたら……と想像すると……。ツールとして非常にわかりやすく、どちら側でもシンプルに目的を達成できそうだと感じられた。

 たとえば現場(映す側)でメガネのフレームにカメラを装着していたら、対象に顔を向けるだけでいい。通常は遠隔地に対して「この箇所どうすればいいですか?」などと言ったりするだろうから、まあいつもの姿勢で対象を見て指示を仰げばいい。

 遠隔地(見る側)は、対象を見つつ現場の声を聞きつつ、「その右側のボタンを長押ししてください」などと指示する。「もう少し左側の白い線のところを見せてください」などと映し出す場所をリクエストしたりもするだろう。

 なんかこー、こういうシステム使うと、事態について詳しくないスタッフを現場に派遣しつつ遠隔地のプロフェッショナルが指示を出せたりして、モロに人手不足問題解消につながりそう。よく知らんけど。物凄く応用幅が広いソリューションという気がする。

映像が傾かない、ブレない、ずーっと安定している

 Xacti LIVEの映像について「すごーい!」と思うことがあった。それは「絶対に水平を保持する」ということ。カメラが傾いても逆さまになっても、映像は水平を保っているのだ。しっかり安定していつも水平。

前方の風景をただ捉えているだけの映像に見えるが……じつはメガネフレームにカメラを装着して首を90°くらい傾けている。カメラを逆さまにしても、水平を保ったまま前方の光景を映し出し続ける。
こちらはメガネフレームにカメラを装着してできるだけ激しく首を振っているところ。動きが激しいのでフレームレートが追いつかずに映像は流れるものの、水平はしっかり保たれている。

 GoProなどのアクションカメラにも水平を保つ機能があったと思うが、Xacti LIVEの映像はそういったアクションカメラ的な利便も備えている。ブレもかなり抑えられているようで、たとえばカメラヘッドを手に持って歩きながら対象を映したりしても、水平を保ってブレの少ない映像となる。

 アクションカメラ的に使わずとも、非常に安定した映像を配信できるウェアラブルカメラとして、Xacti LIVEは個人用途においても大きな可能性を秘めていると思う。アイデア次第で不便や不安や危険を解消したりできるだろう。

 そんなふうに小型軽量でウェアラブルカメラとして使えて、しかもアクションカメラ的な撮影にも対応できるXacti LIVE。てゅーか前述のとおり防塵防水性能も高いので、レジャーにも使えそう。なので業務用製品とは別に、パーソナルユースのXacti LIVEをぜひ発売して欲しいところ。

 いや現在のXacti LIVEを個人で買って使うこともできる。だが、本体価格やサブスクリプション料金が業務価格って感じで、個人ではちょっと手を出しにくい。

 Xacti LIVE利用について、基本プランとレンタルプランの2種類が用意されている。基本プラン初期費用が10万8900円で月額利用料金は4378円。レンタルプランは初期費用が3万3000円で月額利用料金は1万890円となる。どちらのプランも12カ月以上の契約が必須となる。基本プランは月額費用を抑えつつハードウェア資産を保有したいユーザー向けで、レンタルプランは初期費用を抑えつつハードウェア資産を持ちたくないユーザー向けというイメージだ。

 でも個人で遊び方面にて使うには……初期費用もサブスク料金もちょっとーって感じですな。Xacti LIVEを使ってモトが取れるようなコトに利用するという個人ユーザーなら、まあ、どうにか、って感じ?

 でもまあこういうモノは需要があれば個人ユーザーの数を見込んでドーンと安くなったりするわけで。手が届くような料金レンジになったらぜひ使ってゆきたいッ!!! とか思う俺であり、今後のXacti LIVEの発展や普及に大期待してゆきたいッ!!!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。