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地域のデジタルデバイド解消に向け「まるごとデジタル」設立、KDDIなど3者

 KDDI、チェンジ、高知県日高村の3者は高齢者などの情報格差(デジタルデバイド)の解消を目的とした一般社団法人「まるごとデジタル」を設立した。今後、全国の自治体へデジタル化の支援などを実施する。

左からチェンジ 尾形正則氏、日高村 戸梶眞幸村長、KDDI 江幡智広氏

高齢者のデジタル利用をサポート

 今回設立されたまるごとデジタルを通じて、デジタルデバイド解消に取り組む。日高村での取り組み内容の共有のほか、賛助会員企業からのデジタルサービスのノウハウ共有などが行われ、各自治体での成功・失敗含めた事例共有などコミュニケーションの場も提供する。

 日高村でのノウハウを参加自治体にフィードバックして進められ、そのうえで各地域における課題を踏まえて、共同で解決を図る。スマートフォンの利用を軸にした取り組みが中心になるとみられ、アプリやサービスなども含めての使い方などのサポートでデジタル化社会の発展に寄与する。

 当初、自治体会員である長野県塩尻市や大阪府吹田市、和歌山県白浜町、兵庫県たつの市、島根県吉賀町、鹿児島県いちき串木野市、志布志市の自治体で活動する予定。チェンジ ディレクターの尾形正則氏は、将来的には日高村と同程度の人口規模の400自治体ほどにその幅を広げていきたいとした。

KDDIが取り組む意義

 KDDIでは、中期経営計画のひとつに「地域共創」をかかげる。KDDI 経営戦略本部 副本部長の江幡智広氏は「デジタルデバイドを解消する取り組みは(これまでも)進めてきた」としたうえで、今回の取り組みを「経営計画の大きな方針に沿った活動」と説明。

 多くのデジタルサービスに触れる・使う機会の創出にもつながることから、KDDIとしても意義のある活動と語る。将来像としては医療・健康のほか買い物支援などにデジタル化の導入を促進し、暮らしの向上につなげる。

 同社ではこれまでも「スマホ講師」育成や自治体と共同で高齢者向けにスマートフォン貸与などさまざまな取組を行っている。江幡氏によれば自治体と企業を結び、自治体自体の活動に落とし込んでいく過程で、各自治体の要望があれば、これまで培ったスキルの提供など、同社のこれまでの活動とのつながりも作っていきたいとした。

高齢化社会での情報格差解消

 超高齢化社会を迎える日本で、スマートフォンなどデジタル機器を持たない高齢者が情報に取り残される「デジタルデバイド」の解消は喫緊の課題。

 行政サービスにもデジタル化が到来している今、そうした高齢者のサポートは重要さを高めている。高知県日高村は、今回のまるごとデジタル設立に先駆けて、KDDIらとともにデジタルデバイドの解消を進めてきた。

 高知県日高村 戸梶眞幸村長によれば、スマートフォンの普及率は60代から落ち込みをみせていたものの、デジタル普及の取り組みを進めた結果、全体で平均65%から80%に伸長。特に普及率の低かった高齢者世代でも大きな変化がみられた。戸梶村長は「高齢者でも適切な支援・きっかけがあればスマホを持ちたい人はいる」とその有効性を強調した。

 まるごとデジタルでは、全国の自治体や企業を対象に賛助会員を募集している。