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米FTCがアマゾンを提訴、プライムに「長年の間、何百万もの消費者を同意なしで登録した」

 米FTC(連邦取引委員会)は、米アマゾン(Amazon.com)を提訴した。

 FTCは、Amazonが長年にわたりAmazonプライムに、ユーザーの同意なく加入させたり、意図的に解約を妨げていると訴えた。FTCの訴えによると、Amazonは俗にダークパターンと呼ばれる手法でユーザーを欺き、これまでに何百万もの消費者を無意識のうちの同サービスに登録させている。

 さらに、Amazonプライムの登録を解除しようとするユーザーの手順を、わざと複雑にすることで解約を抑止したり、拒否したりした。これは、Amazonプライムの有料会員が減少すると、収益に悪影響をおよぼすためと考えられる。

 FTCの委員長は、「Amazonは、人々を騙して同意なしに定期的な加入をさせていらだたせるだけでなく、多くの金銭的被害を発生させた。こうした手口は、消費者やルールを守って活動する企業にも悪影響を与える。FTCでは、今後もダークパターンや不公正な取り組みからアメリカ国民を精力的に保護する。」とコメントした。

 FTCの調査によると、米国の消費者は、Amazonで商品を購入すると月額14.99ドル(約2100円)のAmazonプライムへの加入促進が何度も表示される。また、多くの場合はAmazonプライムに加入せずに商品を購入するボタンは見つけにくいものであった。さらに、取引を完了させるために表示されたボタンに、そのボタンを選択すると、Amazonプライムに登録されることを明確に記載していない場合も見られたという。

 FTCは、Amazonが、プライムの解約を阻止するために考案されたプロセスを導入したことを告発している。過去の報道では、このプロセスをAmazonが説明する際にイーリアス(イリアス)という言葉を使ったとされており、10年にわたるトロイア戦争を連想させると指摘された。

 FTCの訴えによると、ユーザーがAmazonプライムを解約しようとすると、解約するためのフローを見つける必要があるが、Amazonはこれを見つかりにくくしていたという。さらに、解約手続きを行おうとすると、割引価格でAmazonプライムを継続するページや、自動更新をオフにするページ、解約を取りやめるページなどが表示され、これらのページを経て初めてAmazonプライムの解約が行えた。

 さらに、Amazonの経営陣はユーザーの同意なくAmazonプライムに登録させていたことや、解約プロセスが複雑でわかりにくいことに気付いていたが、FTCによる調査が行われるまでこれらの問題に対処していなかったと指摘している。