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ドコモと慶應義塾大学、遠隔地のロボットを手応え感じて操作できる技術

 NTTドコモと慶應義塾大学ハプティクス研究センターは、5G evolutionで定義される低遅延通信などを活かして、人間の手を動かして感じ取れる手応えをロボットで再現する技術の開発に成功した。2月2日に開催される「docomo Open House'23」でオンライン展示される。

 慶應義塾大学の、指先や手のひらを動かして感じ取れる手応えをロボットで再現する「リアルハプティクス」を活用した。人間が操作する側の装置(=マスター)と操作される側の装置(=スレーブ)の位置や力、速度を同期して鮮明な手応えの情報を伝達。マスター側でものの硬さや表面の凹凸を感じながらロボットの遠隔操作を可能にする仕組み。

 通信の遅延が制御性能に大きく影響することから、これまではモバイル通信を介して手応えを鮮明に伝達することは難しかった。今回の検証では、低遅延かつ信頼性の高い無線技術「URLLC」(Ultra-Reliable and Low Latency Communications)を用いることで課題の解決を図った。実証中では、スポンジをつかむ動作の手応え量を、一定の条件のもとURLLCと5G eMBB(enhanced Mobile Broadband)で比較。URLLCでは固定遅延なしで96%、30ミリ秒以下の固定遅延ありでも80%以上の手応え量だったのに対し、eMBBでは遅延量にかかわらず、無線区間で起きる「ゆらぎ」の影響を受けて平均で43%だった。

 URLLCとアプリケーションを接続した実験は日本初。この結果から、URLLCを用いることで現在の商用5Gでは困難なリアルハプティクス制御が可能になるとしている。将来的には人が立ち入ることが難しい場所でのロボットによる繊細な作業などが可能になると見込まれる。両者は今後、URLLCに「docomo MEC」や「MEC ダイレクト」を組み合わせるなどの検証を進め、5G evolutionや6G時代に向けたユースケース創出を目指す。