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人間の動きをロボットやほかの人に伝送!? ドコモの「人間拡張基盤」デモを見てきた

 NTTドコモは、同社のイベント「docomo Open House'22」において、開発中の「人間拡張基盤」に関するデモンストレーションを、報道陣向けに実施した。

 「人間拡張基盤」とは、その名が示すとおり“人間の能力を拡張する”ための基盤だ。将来的な6G時代を視野に入れ、人の動きや感覚をネットワーク経由で違う場所に届けられるものとして、ドコモが開発を進めている。

 本記事では、そのデモンストレーションのようすを、主に動画でお届けする。

人からロボットへの伝送

 まず実演されたのは、人からロボットへの動作の伝送だ。人とロボットが並び、人間側の動作をロボットがそっくりそのままコピーする。

 腕の上げ下げのような単純な動作に加え、こぶしをつくったり手を開いたりという動きも、問題なくコピーできている印象を受けた。

人の動きがロボットに伝送されている

人から人への伝送

 続いて、人から人への動作の伝送が実演された。流れとしては先ほどのロボットと同様で、ある人の動作を別の人に伝える。

 デモンストレーションは、伝送先の人が伝送元の人に対して背を向けて立ち、伝送元の人がどのような動作をしているかわからないかたちで実施された。

 その状態でも、伝送元の人の動作からやや遅れて伝送先の人も同じ動作をしており、動きが正しく伝わっていることがわかる。

人の動きがほかの人に伝送されている

ユースケースの開拓

 では、こうした技術はいったいどのような場面で活用されるのだろうか。ドコモは「スポーツの動きや伝統技術の継承など、多彩な分野での活用が期待できる」としており、ユースケースの開拓にも取り組む。

 今回はその一例として、ピアノの運指のコピーが実演された。2人の人がそれぞれピアノの前に立ち、片方がピアノを演奏する。そうすると、その人の指の動きがほかの人に伝送される。

ユースケースの例。ピアノの運指を伝える

 また、スポーツの動きを伝える例として、ウィンドサーフィンも紹介されていた。

 ヘッドマウントディスプレイなどを活用した「身体感覚再生シミュレータ」を用いて、プロとアマチュアの動きの違いを体感できるような研究が進められている。

 ドコモは、「(こうした研究開発が進めば)人が思ったことも伝送できて、SFの世界であるようなテレパシーも夢ではなくなる」と紹介している。

 今回のデモンストレーションにより、その言葉がより一層現実味を帯びたものに感じられた。