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Nothingから「Nothing Ear (stick)」、スティック型ケースの完全ワイヤレスイヤホン
2022年10月26日 23:30
Nothing Technologyは、完全ワイヤレスイヤホン「Nothing Ear (stick)」を11月10日に発売する。価格は1万6800円。Nothing公式オンラインストアとKith Tokyo、蔦屋家電で10月29日に数量限定で先行販売する。
オープンイヤー型のデザインに
Nothing Ear (stick)は、 Nothing Technology製の完全ワイヤレスイヤホン。オープンイヤー型でドライバーユニットのサイズは12.6mm。重量は4.4gと軽量で1日中装着していても快適とする。
オープンイヤー型としたことで、インイヤー型に比して失われがちな低音域はソフトウェアで補正される。装着時に音を出し、それによりどれほど低音域が失われているかを検知し、自動的に最適な音質になるよう調整されるという。
ドライバーユニットは自社設計。内部で使用される磁石に高品質なものを採用。ダイヤフラム(振動板)は長期利用で変形しないよう、コーティングするなど音質を重視した設計がなされている。
また、ハードウェアも「Nothing Ear (1)」からのフィードバックをもとに改善。従来モデルでは、Bluetoothアンテナが本体下部かつ内部に位置していたがこの場合、装着者の体により信号が遮られることがあったという。そこで、新型では少し上の外側部分にアンテナを配置することで、より通信感度を高めることに成功した。
加えて、バッテリーライフもイヤホン単体で7時間、ケース併用で29時間と、Ear (1)から改善された。
再生・停止などのコントロールは本体に備えるタッチセンサーから操作できる。専用アプリ「Nothing X」から操作の入れ替えなどが可能という。
化粧品にヒントを得たケース
充電ケースは化粧品のデザインにヒントを得たというスティック状の形状。片手で持てるコンパクトなデザインとなっている。ケースの開閉はスライド式になっており、片手でケースを持ったままイヤホンを取り出し装着できるという工夫がされている。
Nothing Technology 共同創業者兼マーケティング部門トップのアキス・イワンジェリディス氏は「従来型のケースでは、落としたときにフタが開いてしまうこともあるが、今回は横から開くかたち(スライド式)なので、落としてもイヤホンが外に飛び出すことはない」と見た目のみではなく、機能性も考慮していることをアピールする。
ペアリングボタンもなく、ケースを回転させて開くだけでペアリングモードに入れる。そのため、ケースに用意されたインターフェイスは充電用のUSB Type-C端子のみ。
ノイズキャンセリングなど、より高機能なNothing Ear (1)は併売される模様で、Nothing Technology CEOのカール・ペイ氏は「AirPods」と「AirPods Pro」の関係性にたとえて説明した。
専用アプリは刷新へ
専用アプリもこれまでの「Ear (1)」から「Nothing X」にリニューアルされる。このアプリ1つで「Ear (1)」と「Ear (stick)」の両方に対応し、インターフェイスがより使いやすいように刷新される。
同社製のスマートフォン「Nothing Phone (1)」ではOSアップデートで対応し、システムの一部のような感覚で使えるとする。アプリはAndroid版とiOS版の両方が用意される。
アップデートは10月27日に配信される予定となっている。
主なスペック
本体の大きさは、29.88×18.8×18.4mmで重さは片側4.4g。ケースの大きさは29.8×29.8×87.1mmで重さは46.3g。
最大再生時間は7時間で通話は3時間。ケース併用時は最大29時間再生が可能で、通話時間は最大12時間。10分間の充電で9時間の音楽再生が可能という。
本体はIP54の防水防塵性能を備える。ノイズキャンセリングやワイヤレス充電には対応しない。
100万個の製品を出荷
カール・ペイ氏は、日本で同社が順調なスタートを切っていることを示し、Nothingの製品はすでに、Nothing Phone (1)とEar (1)合わせて全世界で100万個の出荷を実現したと明かす。
アップルへの対抗をかかげるNothing。カール氏によれば「iPhoneからNothing Phone (1)へ買い替える人は、Android一般の平均と比較して3~4倍」。順調にブランドの目標を達成しつつある様子だ。特にアップルが強みをもつZ世代から高い注目を受けているという。
Nothingのデザイン性と大手のように確立されたブランドではないところに新鮮さを感じられたことが若年層を惹き付けた分析する。
今後はソフトウェア面でも強化していく狙いをカール氏は語る。同社の製品への考えとして、Nothingならではの「コネクティビティ」と「テクノロジー」の2つのアプローチを進めるという。「イヤホンとスマートフォン間の接続を良い体験にしたい」と自社製品間でのソフトウェア連携を強化する。同時に「ユニークなテクノロジー」も追求。今回のEar (stick)でも、オープンイヤー型に対応した技術や自社設計したオーディオドライバーなど、その考えは反映できているとした。
同社にとって追い風の状況が続くなか、本拠地であるイギリス・ロンドンでNothing製品を手に取れるストアがオープンすることも明かされた。オープンは2022年末の予定で、イワンジェリディス氏によれば、店舗内では製品を販売するだけではなくデザイナーとアーティストとコラボした空間も用意されるという。
一方で現在も新型コロナウイルスによる影響は大きい。同社の製品ロードマップに影響はないのか。カール氏は「かなり複雑な時代の中にある。(コロナ禍による)不況の影響で大きな変化が訪れる」としたうえでマクロ経済的な変化は主に大手企業に大きな影響をもたらすと分析。「我々は創業から2年の決して大きくない企業」として、コロナ禍での影響は小さいことを示唆した。
2つ目となるイヤホンを市場へ投入する理由はどこにあるのだろうか。カール氏は「ロードマップにはさまざまな製品がある。今回はたまたまイヤホンを投入することになった」とコメント。そのうえで「Ear (stick)」は「Ear (1)」の後継機ではないと指摘。「誰もがノイズキャンセリングを求めているわけではない。Ear (1)のようにインイヤー型ではなく異なったもの」として両方とも展開していくことを語った。