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アンカーの新技術「GanPrime」、100W以上に対応するその仕組み

 アンカー・ジャパンは26日、同社の新技術「GaNPrime」(ガンプライム)とそれを採用する製品群を発表した。「GaNPrime」は、高出力で複数のデバイスに同時に急速充電ができることなどをアピールするアンカーの新技術。100W以上の高出力にも対応しながらも小型かつ安全性を確保しているという。

 「GaNPrime」を用いる新製品では、どんな体験が新たにもたらされることになるのか。本誌ではすでに充電器の新製品をご紹介しているが、本稿であらためてその特徴を紹介しよう。

より高速化、小型化を達成

 GaNPrimeは、高出力で複数のデバイスに同時に急速充電ができることなどをアピールするアンカーの新技術。100W以上の高出力にも対応しながらも小型かつ安全性を確保しているという。

 GaNPrimeでは、これまでの一体型電源ICではなく分離しての配置が可能な制御ICとGaNトランジスターを採用した。アンカーとそのパートナー企業による協力で実現したもので、熱源の分散のみならず、効率的な配置が可能になったとしている。

 また、「PCBA 3Dスタッキング」を組み合わせることで空間を有効活用し、製品内のデザインを工夫しているという。100W以上の高出力に対応しており、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどをひとつのACアダプターで同時に急速充電できるといったメリットがある。

 従来の製品ではポートごとに上限のW数が設けられていたが、これを取り払いポート間で自動で最適な電力を供給できるようになり、充電中もそれぞれの機器が必要とする電力を毎秒感知。流動的な配分により、充電効率を高められたという。

 同社独自の急速充電規格の「PowerIQ」も4.0にアップグレード。本体の温度管理や接続する機器を守る「ActiveShield 2.0」は温度監視の回数が従来の2倍となる1秒間に35回、1日で300万回に進化した。表面温度を一定の基準に保つ国際安全規格「IEC 62368-1」じも準拠する。

 同社では、GaNPrimeを複数ポートを搭載したACアダプターのものとしており、単ポートの場合は同様の技術を使っていても、GaNPrimeの製品としてはカテゴライズされない。

 アンカー・ジャパン 代表取締役CEOの猿渡歩氏は、同社が充電器へのGaN(窒化ガリウム)を他社に先駆けて採用したことを紹介。その後も、電源ICや回路設計を見直すことでより、性能を高めた独自技術「GaN II」を発表するなど、充電技術の最先端を走ってきたことを語る。

 GaN II搭載製品は国内累計50万個の販売を達成したという。

GaN搭載のポータブル電源も

 単ポートのACアダプターとなる「717 Cgarger」では、USB PD 3.1に対応し、最大140Wの給電を可能とする。価格は9990円で9月中旬の発売を見込む。

 また、モバイルバッテリーの「737 Power Bank(PowerCore 24000)」も同様に単ポートで140Wの出力に対応。容量は2万4000mAhで本体にはバッテリーの残量や健康状態などが表示される小型のディスプレイも備えられる。こちらは1万9990円で9月中旬の発売を見込んでいる。

 合わせてポータブル電源でも新モデル「767 Portable Power Station(GaNPrime PowerHouse 2048Wh)」が2022年冬頃にも発売される。価格は未定。ポータブル電源として、GaNを世界で初めて採用したという。リン酸鉄リチウムイオン電池で一般的なポータブル電源と比較して約6倍の長寿命を誇るとしている。

 このほか、同じく2022年冬頃には合計最大240W出力が可能な、USB Type-Cを3ポートとType-Aを1ポート搭載する「749 Charger(GaNPrime 240W)」も発売される。価格は未定。