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プラススタイル、Amazonで買ってすぐ使える「スマートリモコン」を発売――Amazonと連携する背景とは?

BBソフトサービス 取締役執行役員 プラススタイル事業本部 本部長の近藤 正充氏(左)とアマゾンジャパン Alexa インターナショナル 事業開発本部 本部長の澤田 大輔氏(右)

 BBソフトサービスは6日、「プラススタイル」事業でのスマート家電の新製品に関する記者発表会を開催し、Amazonの「簡単セットアップ」に対応するスマートリモコン「+Style マルチリモコン」とCO2温湿度センサー「+Style センサー(CO2・温湿度)」、温湿度センサー「+Style センサー(温湿度)」を発売した。

 価格はそれぞれ9680円、1万5800円、4980円。7月18日までは「発売記念キャンペーン」としてそれぞれ20%割引の7740円、1万2640円、3980円で購入できる。

 今回発売された3機種ともに、Amazonの「簡単セットアップ」に対応したスマート家電となっている。

 この「簡単セットアップ」とはどのようなものか、また「簡単セットアップ」導入に至った背景を、BBソフトサービス 取締役執行役員 プラススタイル事業本部 本部長 近藤 正充氏から聞いた。

BBソフトサービス 取締役執行役員 プラススタイル事業本部 本部長の近藤 正充氏

BBソフトサービスとの統合について

 近藤氏は、はじめに昨年10月1日にプラススタイルとBBソフトサービスが経営統合した点に触れ、「BBソフトサービスは、同じソフトバンクのグループ会社で15年来セキュリティソフトとサブスクリプションサービスをやっている会社」と統合先のBBソフトサービスを説明。

 プラススタイルとして今後サブスクリプションとセキュリティが大事になってくると考え、非常に相乗効果が高いとの考えで経営統合したという。

 経営統合後も「プラススタイル事業」は変わらず進めていることを強調したほか、サブスクサービスを提供しているIoTBankのGPSトラッカー事業(「まもサーチ2」)を引き受け、プラススタイルのサービスとして提供していることからすでにサブスクサービスも展開しているとアピール。

 プラススタイルとして、スマートデバイス事業を、今後も業界最大規模のスケールで展開していく姿勢を示した。

猛暑でも活躍するスマートデバイス

 近藤氏は、近頃さけばれている「節電」というキーワードについて、プラススタイルの製品を活用できるとコメント。

 たとえば、プラススタイルのスマート扇風機にはバッテリーが搭載されているので、深夜に充電して電力需要が高まる日中はバッテリーで運転するという使い方で、ピークシフトへ貢献ができるという。

 また、「スマートマルチリモコン」でエアコンを室温やライフスタイルに合わせて適切な設定に切り替えることで冷やしすぎの抑制を図ったり、「スマートカーテン」で遮光カーテンを操作することで室温上昇を抑えたり、「スマートWi-Fiプラグ」で電力量を確認したりすることで、節電への取り組みに役立てられるとした。

スマート家電市場は広がっているが課題も

 話は変わり、スマート家電市場について近藤氏は言及した。

 プラススタイル事業の売り上げは、順調に増加しているといい、2020年から対前年比で2.2倍、1.4倍とコロナ渦でも成長を遂げられているという。具体的な数字は「恥ずかしい」(近藤氏)として明言しなかったものの、市場自体も少しずつ広がっていると分析した。

 たとえば、2021年のAmazon Prime Dayでの売り上げは約1.5億円となり、このすべてがスマートデバイスと考えると「市場としては広がってきた」と近藤氏は考えを示した。

 一方で、スマートデバイス市場拡大の課題として、プラススタイル/BBソフトサービスが実施したアンケート調査の結果を取り上げた。

 スマートデバイスへの興味として、2019年調査では27.2%にユーザーが興味ありと回答していたが、2022年調査では51.3%に拡大している。しかし、未だ興味がないというユーザーも48.7%と約半数を占めている。

 同社では、興味がないというユーザーにさらに「スマートデバイスに関するイメージ」を調査したところ、「価格が高そう」「使いこなせなさそう」「接続、設定が難しそう」という回答が上位にランクインした。

 「価格」について近藤氏は「スマート化されていない同じ種類の製品と近い価格で提供したいという思いでやっている」とし、昨今の急激な円安についても「我々は(価格を)上げません」と明言。「使いこなし方」については、プラススタイル事業としてもしっかりとアピールしていく考えを示した。

 一方、接続設定が難しいという声に対して近藤氏は「技術的になんとか頑張ってやるしかない」とした上で、先述のアンケート「スマートデバイスに興味がない」ユーザーに「接続が簡単なら使いたいと思うか?」という質問を投げたところ、半数を超える52.2%のユーザーが「使いたいと思う」と回答したことを明らかにした。

 これを踏まえ近藤氏は「スマートプロダクト(デバイス)市場拡大のカギが、接続設定が簡単にできるところだ」と分析、この一つの解答として、今回のAmazon「簡単セットアップ」対応に至ったと説明した。

 なお、今後Googleアシスタントなどと「簡単に接続できる機能を提供する予定はあるか」という記者からの質問について、近藤氏は「接続設定を簡単にしたい思いはあるので、Googleアシスタントで同様の機能が実装できるようであれば対応させていきたい」旨をコメントした。

簡単セットアップの利用方法

 Amazon「簡単セットアップ」を利用するには、まずAmazon.co.jpのアカウントとプラススタイルのアカウントを連携させておく。

 そのうえで、Amazon.co.jpで対応デバイスを購入時に「簡単セットアップ」のチェックボックスをオンにして購入すると、ユーザーへ商品が届けられる前にセットアップが完了し、到着後すぐにデバイスが利用できるようになっているという。

 近藤氏は、これまでのスマートフォンアプリからデバイスを選択した後、ペアリングをして設定する方法では、なれているユーザーでも3~5分程度はかかってしまっていたという。一方で、今回の「簡単セットアップ」を使えば、1分半程度で完了しAlexaによる音声操作ができるようになる。

「+Style マルチリモコン」以外にも、プラススタイルの3つのスマート電球がAmazon「簡単セットアップ」に対応している

Amazonのスマートデバイスへの取り組み

アマゾンジャパン Alexa インターナショナル 事業開発本部 本部長の澤田 大輔氏

 プラススタイルの取り組みに関連し、アマゾンジャパン Alexa インターナショナル 事業開発本部 本部長の澤田 大輔氏も今回の発表会に登壇し、アマゾンのスマートデバイスへの取り組みについてコメントした。

 Amazon Alexaでは、音声によるスマートデバイスの操作機能を提供しており、「デバイスが増えれば増えるほどリモコンやスイッチが増える課題」の解決につながっているという。

 世界では2億以上のスマートホーム製品がAlexaと接続されており、14万以上のAlexa対応スマートホーム製品が世に出ている。

 スマートホーム製品に関わるアマゾンの取り組みとして、Alexaによる音声操作ができる製品の認証制度「Works With Alexa」を用意しており、ユーザーはその認証のもとで安心してスマートホーム製品を購入できるようになっている。

 また、今回のプラススタイル製品のように「簡単セットアップ」機能が利用できるデバイスでは、アマゾンのEchoデバイスなどがあれば製品到着後すぐにWi-Fiネットワークに接続し利用できるようになるとアピールした。

新発売の製品をチェック

 ここからは、6日に発表、発売された3つのスマートデバイスを簡単にご紹介する。

+Style マルチリモコン

近藤氏と「+Style マルチリモコン」

 「+Style マルチリモコン」は、部屋中のスマート化されていない家電を、スマートフォンアプリや音声アシスタントで簡単に操作できるスマートリモコン。

 設定しておくと、たとえば「アレクサ、ただいま」と発声するだけで、部屋の照明やエアコン、テレビなどのスイッチをオンにしたり、内蔵の温湿度計やほかのセンサーの数値をトリガーにして設定の変更や電源のオンオフを制御できる。

 たとえば、気温の上昇が確認できた場合、エアコンの設定温度を下げたり、自動で開閉するスマートカーテンが動作し遮光カーテンを閉めることで室温の上昇を抑えるように設定できる。

 近藤氏によると、既存のマルチリモコンについては、当面の間併売するが、将来的には今日発売のリモコンに一本化されるとしている。

+Style センサー(CO2・温湿度)

 「+Style センサー(CO2・温湿度)」は、バッテリー式の二酸化炭素濃度と温湿度を測定できるスマートセンサーで、本体のディスプレイの明るさを絞れば最大20時間バッテリーのみで動作する。

 ディスプレイには、二酸化炭素濃度が大きく表示されており、設定されているしきい値を超えるごとに文字の色が変化してユーザーに換気するよう促すようになっている。

 二酸化炭素濃度や温湿度の数値は、スマートフォンアプリでも確認でき、リアルタイムの濃度はもちろん過去の濃度もグラフで確認できるほか、エクセル形式のデータを出力することもできる。

過去のデータをグラフで確認できる

 また、二酸化炭素濃度をトリガーに、ほかのスマートデバイスを動かすこともできる。

 たとえば、二酸化炭素濃度が1000ppmを超えた場合に、室内のサーキュレーターの電源をオンにして空気を循環させたり、スマートコーヒーマシンでコーヒーを抽出させるように設定しておけば、ユーザーのブレイクタイムを管理することもできる。

 説明会の後に実機が披露されたが、奇しくも記者が密集していることを表すかのように「高い二酸化炭素濃度」が表示され、センサーの精度がしっかりしていることが証明された格好となった(密を避けるように記者は散っていった)。

アプリでリアルタイムの数値を確認できる

+Style センサー(温湿度)

 「+Style センサー(温湿度)」は、温湿度を測定できるスマートセンサーで、前述の「+Style センサー(CO2・温湿度)」の機能を絞りつつ手頃な価格を実現したものとなっている。

 同様に、温湿度数値をスマートフォンで確認したり、ログを出力したりできるほか、数値をトリガーにスマートデバイスを動かす設定もできる。

 なお、電源は「単3乾電池2本」を使用する。

今後のスマートデバイス

 近藤氏は、「iPhoneのiOS 16でMatterをサポートするが、プラススタイルの製品はどうなるか」という記者からの問いかけに対し「注目しており、さまざまな情報を収集してスピーディーに対応していく」としながらも、「Matterは各社のスマートスピーカーに対応するものという認識であるが、プラススタイル製品はすでに対応している」と回答。

 今後は、Matterサポートの対象となるデバイスの種類が増えていけば、より対応しやすくなるだろうと今後の展開に期待を寄せた。

BBソフトサービス 取締役執行役員 プラススタイル事業本部 本部長の近藤 正充氏

 今後プラススタイルから展開したいスマートデバイスについて、近藤氏は「家にあるもので通電できるものはどんどんスマート化していきたい」とこれまでの考えを強調したうえで、「寝ている/寝ていないを判別するセンサー」など、ユニークなセンサーも数多く出していきたいとコメントした。