ニュース

「Galaxy Z Fold3 5G」、折りたためるディスプレイでもSペンが使える理由

 サムスンのフォルダブルスマートフォン「Galaxy Z Fold3 5G」が11日夜(日本時間)に発表された。一見するとストレートなスマートフォン、しかし開くと大画面になるという「Fold」シリーズの最新モデルで、その特徴のひとつとして「Sペン」が挙げられる。

 使えるとなれば当たり前のように受け止めてしまうが、Noteシリーズで採用されてきた「Sペン」は電磁共鳴(EMR、Electro-Magnetic Resonance)方式を用いており、ディスプレイにペンの動き・座標を検知するセンサー(デジタイザー)が組み込まれている。

デジタイザーで検知
ディスプレイ下に組み込まれている
ペンの座標を検知

 通常のディスプレイと異なり、Foldシリーズのディスプレイは何度も開閉する。ここにデジタイザーを組み込もうとしても、折ったり広げたりすることを長く続けていけば、デジタイザーが損傷してしまう可能性がある。

デジタイザーの折り曲げテスト
当初は柔軟性を高めようとしていた
開発時のテストでは、折り目の上を検知できなかった

 サムスンでは長年に渡り、フォルダブルディスプレイ用のデジタイザーを研究し、試作を重ねたが、「優れた有機EL、体験としてのデジタイザーを作るのは簡単ではなかった」という。

試作に試作を重ねた
1枚のデジタイザーではなく、2つのデジタイザーを配置することにした

 研究では、折りたたみに耐えられるようデジタイザーの柔軟性を高める方法ではなく、2つのボディそれぞれにデジタイザーを配置するという発想にたどり着いた。ワコムとの共同開発で、2つのデジタイザーを用いて1枚のパネルとして振る舞う方法を新たに開発。2つのデジタイザーで検知した信号を計算して、誤差を押さえつつ、折り目上での座標を認識できるアルゴリズムも開発した。

折り目上でも検知できるように

Sペンも改良

 さらに、フレキシブルなディスプレイでも安全に使えるよう「Sペン」自身の改良にも着手。今回の「Sペン」は「Fold Edition」となっており、ペン先は新たなゴム製で、丸みを帯び、柔らかく仕上げられた。

 さらにペン内部にはスプリングを追加。これは、筆圧にあわせて、自動的にショックアブソーバーの役割を果たし、ペン先への強すぎる圧力を和らげつつ、書き心地もなめらかにした。あわせて反応性も40%向上させた。

 こうした開発により、「Galaxy Z Fold3 5G」では、動画を観ながらメモを書いたり日記を書いたりするといった使い心地の実現に至ったという。