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オープンRANを海外キャリアにも、ドコモが目指す5G O-RANエコシステム

 NTTドコモは、MWC2021 docomo Special Showcase in Tokyoにおいて、同社が推し進める5GのオープンRAN化の取り組みについて紹介した。

 ドコモでは、4G時代からオープンRANを推進しており「O-RAN Alliance」を設立。異なるベンダー同士の機器であっても安定した接続を実現する取組みで、コスト面やさまざまなメーカーのソリューションを取り入れやすくなるというメリットがあるという。

 ドコモでは、すでにこの仕組みを自社ネットワークに取り入れているため、オープンなネットワークをすでに実現している。

 2月には「5GオープンRANエコシステム」を設立、これにより海外展開も目指していく。ネットワーク装置の中についても目指すもので、基地局ソフトウェアや仮想化基盤、アクセラレーター、汎用サーバーといったものでそれぞれの特長を活かし、「単なる結合ではなく融合」させ、海外の通信キャリアへの展開を狙う。

 ドコモでは、国内にvRAN検証用のラボを設置しているが、より海外キャリアでの利用を促進するため、リモート接続で海外からも接続できるようにするとしている。利用可能時期としては2021年度下期を見込んでいる。

 加えて、RANのインテリジェント化による通信品質の向上や運用コストの低減も目指すという。ネットワークで収集したデータをAIや機械学習などで分析し、最適化したものをネットワークに対して自動的に反映する。

 たとえば、「この時間帯はトラフィックが少ないので装置の電源を管理して省電力化する」といったことも可能になるという。さらに、設置した基地局に対して自動で設定を行うといったことも検討しているとしている。

 5G オープンRANでは、最適な装置の利用や拡張性などさまざまなメリットがありつつも、課題も見えている。汎用性のサーバーを利用することで機器の価格は下げられるものの、接続性の試験など、専用機では発生しない工程があり、全体的なコスト面では改善の余地がある。ほかにも専用機並みのネットワーク品質を維持できるかといったものがあるという。

 一方で、3倍以上のスループットキャパシティ、従来の半分以下の消費電力といったこれまでにないパフォーマンスが実現できるというメリットも持ち合わせていることは事実。ドコモでは、2021年度中に実証実験を進め、2022年度内での商用化を目指している。