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楽天モバイルに「5G用東名阪以外での1.7GHz帯」が割り当てられた理由は? 比較審査詳細をチェック

 総務省は14日、楽天モバイルに5G用周波数として1.7GHz帯(東名阪以外)を新たに割り当てると発表した。楽天モバイルのほかにNTTドコモやKDDIグループ、ソフトバンクの3社が認定申請があり、総務省による審査で割当が決定された。

 今回の審査では、昨年10月に策定された「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクションプラン」の内容への取組状況も審査項目に加えられている。また、日本で初めて、周波数に対して事業者側が値付けをする「特定基地局開設料」も評価された。今回は、これらの比較審査について、詳細を確認していく。

審査のながれ
絶対審査基準
絶対審査の結果
絶対審査の結果
比較審査
比較審査の配点
ポイントの付け方

エリア展開について

 エリア展開の項目では、認定から7年後の全国の5G基盤展開率と基地局の開設数、公共空間を含めた屋内の基地局の開設数を審査。

 楽天モバイルは、基盤展開率を7年後に80.4%、屋外基地局数2万9798局、屋内基地局数を618局と申請。満点がそれぞれ12点+6点+6点に対し、楽天モバイルは9点+6点+4.5点の計19.5点を獲得した。

 ドコモとKDDI、ソフトバンクは、それぞれ21点、6点、18.5点となった。

サービスについて

 市場競争の促進につながる取り組みの項目となっており、「2023年度のデータ接続料の計画値」、「販売する端末のうち販売までにSIMロックを課す割合やSIMロック自動解除の取り組み」、「sSIMが利用可能な端末数」を比較。

 楽天モバイルは、それぞれ8点ずつ満点、計24点という結果になった。ドコモ、KDDI、ソフトバンクのそれぞれの合計は、14点、12点、10点。

特定基地局開設料について

 特定基地局開設料については、各社で価値に見合った額を申請し、その金額を比較し24点満点で採点する。ただし、標準的な金額として定めた62億円を下回る金額は配点なしとする。

 ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の各社の特定基地局開設料と採点は、それぞれ100億円/24点、62億円/12点、62億円/12点、67億円/18点だった。

割当済周波数の少なさや契約者数の割合

 割当済周波数の帯域幅の総計が小さい(使える周波数帯が狭い)ほど高い点数を与え、同一帯域幅の場合は、契約者数が多いものに点を与える。

 周波数帯は小さい順に、楽天モバイルが540MHz、ソフトバンクが750MHz、ドコモとKDDIが840MHz。ドコモとKDDIについては同一帯域幅が使えるため、昨年9月末時点の契約者数(単位MHzあたりそれぞれ9.6万契約と7.1万契約)が多いドコモに多く採点している。

 結果、この項目ではドコモが12点、KDDIが6点、ソフトバンクが18点、楽天モバイルが24点と評価された。

合計点で楽天モバイルが1位

審査結果

 これらの審査の結果、ドコモが71点、KDDIが36点、ソフトバンクが58.5点、楽天モバイルが85.5点となり、トップの楽天モバイルに割り当てられることとなった。

 なお、今回の周波数割当については、総務省から「5Gの多様なサービスかつ広範かつ着実な普及」に努めることや、必要な人員の確保、安全と信頼性の向上、サプライチェーンを含めた十分なサイバーセキュリティ対策などが条件に付与されている。

割り当て結果と条件

【訂正】
 割当済周波数の少なさや契約者数の割合の項目において、記事初出時「同一帯域幅の場合は、契約者数が少ないものに点を与える」としておりましたが、正しくは多いものです。
 また、同項目での契約者数について、単位あたりの契約数の旨を明確に記載いたしました。