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楽天Gと日本郵政Gが資本業務提携、オンラインとオフラインの融合で新たな価値提供へ

 楽天グループと日本郵政グループは、資本・業務提携に合意した。これにより日本郵政から楽天に対して1500億円が出資され、両グループはモバイルや物流などの分野で連携する。

左=楽天 三木谷氏 右=日本郵政 増田氏

3分野で協業推進

 両社では物流やモバイル、DX(デジタルトランスフォーメーション)などさまざまな分野での連携の強化を図る。

 楽天 常務執行役員 CEO戦略イノベーション室 室長の古橋洋人氏は「日本郵政は、全世帯へのネットワークや2万4000の郵便局などのオフラインでの圧倒的プレゼンスがある。楽天は世界でも類を見ないオンラインエコシステムを構築している」としつつ「これにより、世界でも類を見ないオンラインとオフラインの融合による価値創造を図る」と語る。

 古橋氏は「価値創造の範囲についても、広く考えている」と説明する。日本郵政と楽天はともにオフラインとオンラインのそれぞれで幅広い領域でサービスを展開。「これらの強みをユーザー視点でよりよい価値を提供するサービスにしていく」という。今回の発表では物流、モバイル、DXの3つの分野での連携が説明された。

 モバイル分野では、郵便局内のイベントスペースを活用した楽天モバイルの申し込みカウンターの設置や日本郵便の配達網を活用したマーケティング施策の実施などが検討されている。楽天モバイル広報部によると、局内でどのような形でサービスを展開していくかは現在検討中で決まり次第あらためて発表するという。

 郵便局の建物への楽天モバイルの基地局設置では、現在すでにおよそ400局が設置済みで今後、500局以上に拡大していくとしている。

 物流面では、共同の物流拠点の構築、共同の配送システム及び受取サービスの構築、日本郵便及び楽天の両社が保有するデータの共有化、新会社設立を含む物流DXプラットフォームの共同事業、楽天フルフィルメントセンターの利用拡大およびゆうパックなどの利用拡大に向けた日本郵便・楽天両社の協力・取り組みなどが検討されている。

 また、DX面では楽天グループから日本郵政グループに対して、DXに精通した役員クラスの人材が転籍する形で準備を進めているという。さらに、今後、金融面においてキャッシュレスペイメント分野での協業を推進するとともに、保険分野においても連携、ECでも物販分野での協業を図ると説明、4月いっぱいを目処に合意した事項についてあらためて発表するとした。

両者の強みを活かし、新たな価値創造へ

 日本郵政 取締役兼代表執行役社長の増田寛也氏は、両社が2020年12月に戦略提携で基本合意したことに触れ「さらに協議を重ねてきた。両グループの関係強化のために出資することで合意した」と説明。「全国の郵便局などリアルのネットワークに強みがある日本郵政と先端技術でさまざまなネットサービスを手掛ける楽天は、最高のパートナー」と語る。

左から楽天 古橋氏、同 三木谷氏、日本郵政 増田氏、日本郵便 衣川氏

 楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は「楽天は創業以来、さまざまなネットビジネスを展開してきた。いわばベンチャーだが、もっとも歴史あるビジネスである郵便とこのような形で戦略的パートナーシップを結んだことは他に類を見ない新しいもの」とコメント。「物流領域に留まらず、今後さまざまな分野で関係を深めていきたい」とした。

 さらに「コロナ禍により、DXは加速していく。地方をいかにエンパワーメントしていくかが重要。楽天は創業精神に立ち戻り、いかに地方に協力していくかが大事。その一方で、グローバリゼーションも進んでいる。GAFA中心にITの力が強大になっている中、リアルとバーチャルが合わさり新しい世界を作っていけることに期待している」と語った。