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KDDI、21年3月期Q3決算は増収増益

 KDDIは、2021年3月期の第3四半期決算を発表した。売上高は3兆9238億円で、前年同期比+0.5%、営業利益は8710億円で、前年同期比+3.2%と増収増益だった。

 発表の場には、KDDI 代表取締役社長の高橋誠氏が登壇した。

KDDI 高橋氏(高ははしご高)

成長領域が事業を牽引

 営業利益増の要因としては、ライフデザインなど成長領域が400億円増、またエネルギー事業の増益が110億円増となったことが挙げられた。

 一方でモバイルの通信量収入が19億円の減。その他、5Gスマートフォンやスマートフォン決済推進に係るコスト増があり、成長領域が利益増の牽引役となった。前年同期比では272億円の増益。

 ライフデザイン領域の売上高は、9400億円と期初目標に対しての進捗率は72.9%。ビジネスセグメントについては7220億円で進捗率は76.0%。今期の期初目標と中期経営計画に対しては順調な進捗という。

3ブランド戦略で成長見込む

 auの総合ARPA収入は1兆7215億円で期初目標に対する進捗率は75.5%。UQ mobileとMVNOの収入は702億円で進捗率は78%となった。

 auとUQ、MVNOともに期初目標に対して順調な進捗としている。

 高橋氏は、au、povo、UQの3ブランドでそれぞれの特長を活かし、5G利用を積極的に推進していくとコメント。「povoやUQの増加によりミックス通信ARPAは減少が見込まれるが、新規契約増・データ利用増、各ブランドでライフデザインサービスの提供を強化し持続的成長を図る」とした。

 5G基地局数は2021年3月時点でおよそ1万局を見込み、2022年3月時点でおよそ5万局、人口カバー率90%を目指す。また、2021年春からは700MHz帯の5G転用を開始する。

 5G端末の販売動向については、2020年12月時点で累計120万台を突破した。iPhone 12シリーズで利用できる「au 5Gエクスペリエンス」などサービス面でも独自性を打ち出しており、OTTサービスとのセットプランの新料金は3月発表予定という。

 端末販売については、総務省からSIMロックを原則禁止する流れの中、高橋氏は「3月中までにはしっかり方向性が示されると考えているので、それにしっかり対応していきたい」と語る。

 これにより考えられる影響については「各社同様ではないかと」述べた。キャリア間の流動性がより高まる中で、他社に負けない競争力でユーザーにアピールしていきたいとコメントした。

金融取扱高は大幅伸び

 金融決済取扱高は、6兆5000億円。前年同期比で1.4倍の成長を見せた。au PAYカード会員数は202年12月時点で610万会員を超えた。

 スマートフォン決済における、ポイント決済加盟店数は355万カ所超。前年同期比で約2倍となった。

ビジネス領域も好調

 IoT累計回線数は2020年12月時点で1600万回線。期初予想は1500万としていたが、それを上回る形となった。

 トヨタ自動車とともに取り組んでいるコネクテッドカーの拡大が堅調で、通信プラットフォームは欧米をはじめ、オーストラリアや中国でも展開。同様の取り組みはマツダやスバルとも実施している。

 また、ガスや水道のスマートメーターに加えて、感染症の水際対策でもIoTを展開する。

 加えて「交通と通信の融合」としてJR東日本と共同事業化に向けた基本合意を締結した。今後、品川を中心としてサービスの検討を進める。

社内改革も進行

 虎ノ門に構える開発拠点は、KDDI DIGITAL GATE、法人部門拠点に加えて「KDDI research atelier」3カ所となり、パートナー企業を迎え入れて新ビジネス開発に取り組む。

 また、KDDIでは、本社の座席数を4割削減。新たな人事制度を導入するなどの改革を進行中という。

質疑応答では

 KDDIが発表した新プランの「povo」について、武田総務相は「紛らわしい」と述べる一幕があった。これに対してのコメントを問われた高橋氏は「特に反論はありません」とコメントしつつ、ユーザーに対する分かりやすさの重要性の認識を説明。

 「大臣が言うように、povoの基本料金やトッピングのシステムについて、できるだけわかりやすく説明しなくてはいけないと思う。お客様にわかりやすいというのが基本。その姿勢で頑張っていきたい」と語った。

 同日、楽天モバイルが月間1GBまでの利用であれば月額利用料0円というプランを発表。これの受け止めについて高橋氏は「(楽天が)1980円くらいのプランで来るのかなとは思っていたので、これに対してはpovoでしっかり対応していく」と語った。

 また、UQからauの大容量プランへ移行するケースが非常に増えており(前年比3.7倍)、必ずしも小容量帯だけが重要とは言えないとしつつ、市場の反応を見極めて、まずはpovoの展開に力を入れていくとした。