時速360kmの新幹線で下り500Mbps通信に成功――ドコモとJR東日本が実証実験

　NTTドコモは、JR東日本と新幹線試験電車（ALFA-X）による5Gの無線通信実験を実施し、実証実験としては国内最高速度の時速360kmで走行中の新幹線で5G通信や、地上とALFA-X車内の双方向で高精細の4K/8K映像を5Gで安定的に伝送することに成功した。

時速360kmで走行する次世代新幹線「ALFA-X」と5G通信する実証実験

　実証実験は2020年10月～12月、東北新幹線の仙台～新青森の一部区間で実施した。周波数帯は4.85GHz帯で、帯域幅は100MHz。基地局は線路沿いに2カ所設置し、ALFA-X車内に移動局を設置した。走行速度は時速360km。

実証実験のイメージ

　従来の通信技術よりも高い周波数帯を用いる5Gは、高速鉄道ではドップラー効果や線路周辺の遮へい物の影響を受け、通信品質が不安定になるという課題があった。ドコモでは、高速鉄道における高速通信の実現可能性を確認するために、2017年から実証実験に取り組んだという。

　今回の実験では、通信効率を改善することで移動局の受信時最大500Mbps以上、送信時最大100Mbps以上の通信速度を達成、通信速度を劣化させることなく基地局の切り替えができることを確認したほか、地上基地局とALFA-Xの車内の双方向で4Kと8Kの映像コンテンツの安定した伝送に成功した。

システム構成

　具体的には、約30分間の4K映像コンテンツを約1分間でダウンロードに成功した。また、2つの基地局により約5kmの安定した5G通信エリアを構築し、4Kと8Kの映像コンテンツストリーミング再生に対応したという。実証実験の様子は、YouTubeで公開されている。