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ドコモ、高速走行で5Gミリ波の基地局を瞬時に切り替え、1.6Gbps相当の通信に成功
2021年3月30日 17:56
NTTドコモは、時速90km以上で高速走行する複数の実験用5G通信端末に対して、複数の実験用5G基地局を連携させ、基地局を瞬時に切り替える実証実験を実施した。
実験では、テストコース上に5G基地局3局を約200m間隔で設置し、通信端末を搭載した2台の測定用車両を時速90kmあるいは時速120kmで並走させ、通信する5G基地局を高速移動環境でスムーズに切り替えながら、複数の通信端末で安定した高速通信の実現性を検証した。
時速90kmで移動する2台の通信端末に対しては、1台あたりの周波数利用効率として4ビット/秒/Hz超を実証したという。これはドコモが5Gで商用サービスを提供している28GHz帯の400MHzの帯域幅を利用した場合、下り最大1.6Gbpsに相当する。なお、実験では27.6GHz帯(100MHz幅)の装置を利用している。
なお、時速120kmでは1台あたり約3ビット/秒/Hzの周波数利用効率をエリア内で安定的に実現し、IMT-2020の要求条件である0.8ビット/秒/Hzを超える結果が得られた。
ミリ波は高速かつ大容量の通信ができる性質を持つ一方、電波が遠くに届きにくいという特性も持つことから、ひとつの基地局がカバーできるエリアが狭くなりやすく、高速移動環境では複数の基地局の連携によるエリア構築が重要となる。ビームフォーミングを用いることで、より遠くまでミリ波の電波を届けられるようになるが、複数の通信端末に向けて電波を発射すると互いのビームが干渉し、速度が低下してしまう場合もある。
今回の実証実験では、複数基地局の連携技術として、従来のビームフォーミング機能をデジタル化したデジタルビームフォーミング機能を各基地局に実装した。基地局と通信端末との間の通信の状態を詳細に推定することで、複数の通信端末の同時通信を実現しながら高速移動に追従させ、最適に通信できる基地局を瞬時に選択して切り替えられる機能が実現したという。
同実証実験は、総務省受託研究開発「電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)」における「5Gの普及・展開のための基盤技術に関する研究開発」を受けて実施したもので、目標の通信効率が達成された。ドコモは今後、引き続き5Gのさらなる高度化による高速大容量通信の実現に向けた研究開発を進めていく。