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年頭所感2021:KDDI 髙橋社長

KDDI株式会社
代表取締役社長
髙橋誠

KDDI 代表取締役社長 髙橋誠氏(本誌20周年記念インタビューにて)

 2021年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、当社にとって極めて影響の大きい2つの出来事があった、前例のない変化の大きい年でした。

 1つ目は、新型コロナウィルスの影響の拡大です。1年前の年初には、一つのウィルスがこれほど大きな社会変容をもたらすことになるとは思いもしませんでした。今も感染の拡大が続いており、世界経済にも大きな打撃となっています。

 これまで当たり前だと思っていた日常生活が一変し、人と人との接触が制限される事態が続く中、さまざまな領域で急速なデジタルシフトを模索した1年でもありました。当社においても、テレワークやオンライン会議をはじめ、場所や時間にとらわれないワークスタイルが拡がりました。またライブ・コンサートなどリアルな体験に価値があったものがバーチャル空間で実現され、決済も現金からQRコード等の非接触決済へシフトしていくなど、リアルとバーチャルの融合が一気に進みました。

 次に、国内通信業界の激変です。MNOは新規参入により4社体制となるなど、大きな競争環境の変化がありました。加えて、コロナ禍の影響により、国民一人一人の生活防衛意識が高まる中、携帯電話料金の低廉化や透明性に対する要請・期待がかつてなく強まっているように感じます。

 これら2つの大きな出来事を通じ、改めて認識したことは、通信会社の事業が極めて公共性が高く、お客さまの生活そのものに直結するということです。前例のない変化の時代、当社は、常に社会的な役割を果たし、日々変化するお客さまの期待に応え続けることで、社会の持続的な成長に対し重要な役割を担っていかなければならないと考えます。

3つの取り組み

 このような状況の中、2021年を迎えるにあたり、当社が注力していく3つの取り組みについてお話しします。

まずは、「お客さま本位」の原点に立ち返ることです。これは当社の目指す姿である「お客さまに一番身近に感じてもらえる会社」を実現するための礎です。全社員と一体となって、当社の営みを細部に至るまでしっかりと振り返り、今一度進むべき方向を見定め、真にお客さま本位の姿勢を貫いていきたいと思います。

 続いて、事業面についてです。

 一つは、昨夏に発表しました、次代のビジネスの中核となる5Gを御旗に掲げ、今後10年間を見据えたKDDIの次世代社会ビジョン「KDDI Accelerate5.0」の推進です。このビジョンは、政府の推進する「Society5.0」の世界を5Gで加速させ、日本経済の活性化への貢献を志向していくことを目的に策定しました。この中長期のビジョンを推進し、新たなライフスタイルの確立と経済発展・社会課題の解決を両立するレジリエントな未来社会の創造につなげていきたいと考えています。

 その推進の第一歩として、5Gの通信エリアの充足を早急に進めていきます。2か月後の2021年3月には1万局、2022年3月末までには5万局の基地局建設に向けて、スピード感をもって対処していきます。

 もう一つは、直近の営みとして、既存の事業でお客さまの信頼を守りつつ、非通信事業と法人事業の成長領域の拡大を加速していくことです。既存事業では、2020年にサービスを開始した5Gを核として、5Gならではの体験価値「AUGUMENTED EXPERIENCE」を実感できる環境を早期に創り上げていきます。成長領域では、OTTプレイヤーの皆様との連携による動画配信サービスやau PAYによる非接触決済のさらなる普及促進、また法人のお客さまへのリモートワーク環境の構築やDX改革の支援に取り組んでいきます。

 本年も、企業理念である「お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献すること」を常に念頭に置いて、全社一丸となって、事業に取り組んでいきたいと思います。

 KDDIを引き続きご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。