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武田総務相、KDDI高橋社長の発言に「がっかりした」「ハードルを下げるべき」

フリップを交えて説明する武田総務相

 武田良太総務大臣は、27日の閣議後記者会見で、携帯電話料金値下げに関してのKDDI高橋社長の発言に対して、「非常にがっかりした」とコメントした。また、サブブランドで値下げしても「国民は料金が下がったと実感がわかない、なんの意味もない」と指摘した。

「多くの手続き」と「1万5500円の手数料」

 武田良太総務大臣は、「サブブランドにおいて、低廉なプランを用意した。この選択肢の広がりに対して、私は一定の評価をいたしました。しかし、一向に、ここに皆さんが移ろうとしない。それはなぜなのかを多くの方々から意見を聞いたり調べたりしましたら、そこの間に大きな壁があったんです」とコメントした。

編集部注

 携帯大手3社のうち、KDDIの新プラン(UQmobileの20GBプラン)は2021年2月以降、ソフトバンクの新プラン(ワイモバイルの20GBプラン)は2020年12月下旬に提供する。NTTドコモからはまだそうしたプランは発表されていない。

 このため、11月27日時点で、「サブブランドの20GBプラン」への乗り換えや契約はできない。

 サブブランドへの乗り換え時の“多くの手続き”と“1万5500円の手数料”をとりあげ、「囲い込みとハードルがある限り、利用者は乗ってこない」と指摘した。

 ここで言う”1万5500円”とは、解約時の違約金9500円と、MNPの転出手数料3000円、新規事務手数料3000円を合算したものを指すと見られる。なお、違約金9500円については2019年10月の改正電気通信事業法にあわせ、1000円以下にする政策が示されており、携帯各社はそれにあわせた料金プランを導入済み。既存ユーザーも切り替えられるようになっている。

 また、MNPの手数料については、10月27日に原則無料化(店頭対応は1000円以下)にするという政策が発表されており、ソフトバンクは対応する方針を発表済。KDDIは「移行に関する手数料についてのご指摘は真摯に受け止め、その内容の見直しを含め、前向きに検討していきたい」とコメントしている。

 一方で、サブブランドからメインブランドへの乗り換えには、手数料が安くなったり手続きが簡単だったりすることに触れ、「安い方から高い方に誘導しているような感じがある」と指摘。料金が高いところからユーザーが出ていかないような制度設計をしているのではないかとコメントした。

大容量プランに対し「改める努力をしてもらう」

 また、大容量プランを契約しながら少ししか使っていないユーザーに対し、「国民の財産である公共の電波」ということを多用しながら、「ユーザー自身が確認することも大切だが、キャリア側も誠意を見せて(よく説明をしていない、わかりにくいシステムを)改める努力をしてもらうことが重要」と指摘した。

「コロナ禍で国民からさらに料金を取ろうとしている」と指摘

会見後半の武田総務相

 武田総務相は、「コロナ禍で困窮している国民生活のなか、キャリアは相当な利益を上げている」としたうえで、「コロナ禍において、国民がみんなで力を合わせようとしている時に、(キャリアは)全く国民生活に還元しようとしない。さらに複雑なプランを使って国民から別に料金を取ろうとする、こうした姿勢が果たして国民が納得するのか、私は指摘をしていきたい」との考えを示した。

乗り換えのハードルが下がっても「メインキャリアの値下げ」を要求するのか?

 記者から「のりかえのハードルを下げれば、メインブランドの料金は下げる必要はないのか」という問いに対し、武田総務相は「ハードルが下がっていない。下げてから来てください」とコメントし、明言を避けた。

 会見終了間際に武田総務相は、「(サブブランドでの)低廉のプランを用意したことは評価するが、乗り換えのハードルをなくさなければ意味がない」と言葉を残した。