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4G転用の5Gの広告表現など今後の課題に、総務省の有識者会議

 総務省は「消費者保護ルールの在り方に関する検討会(第24回)」を開催した。

 検討会では、主に固定回線サービスの契約トラブルについて、特に高齢者が巻き込まれる事例や電話勧誘時に消費者にリスクが明示されないなどの問題点や課題が挙げられた。

 その中で、今後、同検討会で検討していくべき追加のテーマとして4G周波数帯の5G転用による広告の訴求の在り方やキャリアの販売代理店の在り方について検討していくべきという意見が発せられた。

5Gの広告表現が課題に

 4G周波数帯を5Gに転用した場合、5Gの特長のひとつでもある「低遅延」については、実現が見込めるものの、多くの消費者が5Gに期待する「大容量」「高速」の2つは、周波数の帯域幅によるところが大きく、転用の5Gでは実現が難しい。

 総務省は、米国において4G転用関連ではないもののAT&Tやベライゾンの5Gに関する広告表示をめぐって広告審査団体から中止勧告がなされた事例を説明。一般の消費者にとって、5Gの超高速性への期待が大きいことから、日本国内においても5G関連の広告表示の在り方については一定の注視が必要ではないかと指摘。

 進め方の具体案として、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルのMNO4社へヒアリングを実施。ユーザーへの訴求についての考え方を聴取するものが提示された。

 これについて、野村総研の北俊一氏は「ハードルが高いかもしれないがスマートフォンのアンテナピクトで『5G+』とか表示してほしい」としつつ、「各社のエリアマップ上で(転用エリアとそれ以外で)塗り分けられるべき」とコメントした。

 加えて、北氏はエリアマップの指標が各社でバラバラであることの問題点も指摘。信号強度が同じでも、A社ではエリア内とされるところ、B社ではエリア外とされる場合があると言及。エリアマップ作成に際して各社で統一された基準が必要ではないかとした。

代理店の在り方も検討テーマへ

 加えて、携帯電話をめぐる環境の変化や感染症の流行で販売店を取り巻く環境が大きく変わる中、「適合性の原則」を担保する観点から課題はないか、販売代理店の継続的な事業展開において解決すべき課題はないか検討の必要があるとされた。

 これについて北氏は、総務省の「アクション・プラン」を受けて、低廉な料金のプランやMNPのスイッチングコストが安くなったとしても、実際にユーザーが乗り換えなくては安くならないとコメント。

 シニア層などITリテラシーが低い層には、MNPなどの契約手続きのハードルが高いことを指摘。キャリアショップとは別に中立な乗り換えやプラン変更の手続き支援の仕組みが必要ではないかとした。

 また、収益性の高い上位プランやメインブランドの契約に高いインセンティブが設定されているとすれば、結果的に現場では適合性の原則に反した誘引が行われるのではないかと推察。現場の販売スタッフや店舗のオーナーによる仮面座談会など現場で何が起きているかを把握する必要があるとした。

 検討会構成員の黒坂達也(クロサカタツヤ)氏も適合性の原則だけで舵を切るのではなく、代理店が適正な販売をするにあたりどうしていけばいいかをもう少し考える必要があるのではと指摘。また「今後、携帯電話のみならずIoT機器にも広がっていくことを踏まえてもこうした議論が必要。代理店がどういうものか、どういう商材をあつかっていくのかということを含めて議論しなくては」とした。

 また、電気通信事業法での消費者保護はこれまで、契約時のトラブル防止に主眼を置いてきた経緯があり、契約締結後のトラブルについては穴があった。しかしインターネット関連においては、サービス品質が必ずしも一定ではないことがあり、契約から一定期間後もトラブルが発生する傾向にある。

 これに伴い、契約後8日間はユーザー側が一方的に契約を解除できるいわゆる「初期契約解除制度」の改善、期間拘束契約の是非、電気通信事業者協会の苦情相談窓口の効果測定の必要性が検討テーマの主題として挙げられた。