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生活や観光を変えるMaaSアプリ「EMot」、AWSを活用したMaaSプラットフォームを活用

 「EMot」は、小田急電鉄が開発したMaaSアプリ。小田急沿線や提携先の経路検索や観光情報を一つのアプリで完結できるサービス。同アプリはアマゾンのクラウドサービス「AWS」を活用して開発されている。

 19日、アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)は、MaaS(Mobility as a Service)分野の最新動向と小田急電鉄やヴァル研究所が開発したMaaSアプリ「EMot(エモット)」のクラウド活用に関する説明会を実施した。

AWSジャパン 技術統括本部長 執行役員 岡嵜 禎氏

 AWSジャパン 技術統括本部長 執行役員の岡嵜 禎氏は、MaaSのさまざまな領域でAWSの活用が進んでいるといい、自動運転やモビリティサービスのプラットフォームでの活用事例があると語る。

 AWSを活用すれば、全て自社で行うよりも初期投資を抑えることができ、柔軟に開発に取り組める。また、異業種との連携も容易にかつ安全に行えるフィールドがあるとしている。

 AWSでは、MaaSに必須の要素となるエッジコンピューティングシステムやデバイスゲートウェイ、機械学習やモバイルアプリ開発技術などのサービスを幅広くカバーしている。また、2020年中にMaaSのリファレンス実装をテンプレートとして提供するAWS Connected Mobility Solution (CMS)の公開を予定しており、MaaS推進をさらに加速していく。

MaaSアプリ EMot

小田急電鉄 経営戦略部 次世代モビリティチーム 統括リーダー 西村 潤也氏

 小田急電鉄 経営戦略部 次世代モビリティチーム 統括リーダーの西村 潤也氏によると、これまで小田急線の複々線化や沿線開発を勧めてきたが、人口減少社会の日本においては、リアルな事業とデジタルでの顧客接点の融合が肝要であるという。

 小田急とヴァル研究所で開発したMaaSアプリ「EMot」では、複合経路検索と電子チケットを中心としたアプリ。利便性を高め、新たな生活スタイルや観光の楽しみ方を発見できる。

 複合経路検索では、公共交通機関だけでなく、タクシーやカーシェアサービスなどを含めた経路検索ができる。タクシーはMOVとジャパンタクシー、カーシェアサービスはタイムズカーシェアリングと連携し、「EMot」アプリから配車アプリやカーシェアの予約サイトに飛べる。

 電子チケットでは、箱根の観光に便利な「箱根フリーパス」のデジタル版を提供している。チケット画面はアニメーションと有効期限などで構成されており、施設のスタッフに画面を見せるだけで利用できる。チケット購入もアプリで行える。

 このほか、小田急の飲食のサブスクリプションサービスのチケットや遠州鉄道と連携したフードイベントの電子チケット機能を提供する。小田急沿線だけでなく、ほかの地域でも展開していきたいという。

 EMotアプリでは、今後も機能を拡充していく。家族やグループでの外出に便利なチケット譲渡機能や、EMotアプリ限定のお得な電子チケットなどを用意している。また、小田急線やバスのリアルタイム運行情報や、AIを活用し周辺の観光情報や口コミを解析し、周遊プランを提案する機能の開発を進めている。

AWSを活用したMaaSプラットフォーム「MaaS Japan」

ヴァル研究所 執行役CTO 見川 孝太氏

 EMotは、AWSを活用したMaaSプラットフォーム「MaaS Japan」を利用して開発をしている。開発協力したヴァル研究所の執行役CTO 見川 孝太氏によると、AWSを活用することで、今後の拡張のしやすさや運用コストの低減などが図れたという。

 また、外部サービスに対してAPIを公開している。MaaS Japanだけで完結するのではなく、外部のサービスと積極的に連携することを想定している。サービス価値の向上や、新たな市場開拓も期待できるという。

 小田急電鉄の西村 潤也氏は、リアルビジネスが、これまでの陣取り合戦から互いに連携し合うネットワーキングの時代に移りつつあるとコメント。MaaS Japanを日本や世界の地域で連携し、生活や観光サービスと組み合わせたMaaS商品を今後も展開していく考えを示した。