ニュース

日産やMOVなどと連携、トヨタのマルチモビリティアプリ「my route」横浜版説明会

 トヨタが提供するマルチモーダルモビリティサービス「my route」の横浜版が22日より提供されている。九州のいくつかの地域ですでに展開されており、各都市の特徴をとらえたアプリを展開している。

 今回の横浜版では、横浜市内の交通機関の特徴を生かしたサービスや商店街など地域密着の情報を提供する。また、トヨタのアプリであるが日産自動車やドコモ・バイクシェアなどトヨタグループ以外の企業とも連携をしたサービスを提供している。

 メディア向けに開催された説明会では、my route横浜版リリースまでの経緯や特徴などを伺うことができた。今回は発表会の模様と、筆者が実際にmy route横浜版で横浜の街をシェアサイクルで移動した模様をお届けする。

左から、アットヨコハマ取締役 東昭人氏、代表取締役 上野健彦氏、代表取締役 宮原漢二氏、取締役 山内英志氏

目的地にたどり着くまでの一連のサービスを提供

 my route横浜版は、神奈川県下のトヨタ販売店を運営するKTグループと横浜トヨペットの合弁会社であるアットヨコハマが運営する。

 リリースにあたってアットヨコハマ代表取締役の上野 健彦氏は、「目的地を選び」「手段を選択」「交通手段を手配」する一連の流れを同アプリひとつで実現できるようになっているとコメント。新型コロナウイルス感染症の感染防止のために、密を避けた交通手段の手配にも活用してほしいとしている。

アットヨコハマ代表取締役 上野 健彦氏

アプリの紹介

 ここからは、同アプリの各サービスを紹介する。

ルート案内はさまざまな移動手段を組み合わせたルートを提案

 ルート検索では、徒歩や電車、路線バス、タクシー、飛行機などの主要な交通機関はもちろん、シェアサイクル、カーシェア、レンタカー、など自分で運転する交通手段も検索できる。

 たとえば、現在地からシェアサイクルで駅まで向かい、駅から電車を利用し、目的地の最寄り駅から再びシェアサイクルで目的地まで向かうルートを検索できる。

 これまでは、最寄り駅までの交通機関の検索と、シェアサイクルの検索と予約を別々にしかできなかったが、同アプリのみで手配できる。

 また、ルート検索の際人数を入力できる。複数人以上の場合、一人あたりの金額を確認できるようになる。

 たとえば、タクシーとバスのルートで移動するシーンで、1人だとバスのほうが安いが、4人だと1人あたり100円プラスするだけでタクシーで早く移動できるなど移動手段を比較できる。

タクシー手配は新たにMOVをサポート

 これまでもJapanTaxiと連携しタクシーの配車依頼と決済ができたが、横浜版ではMOVアプリと連携できる。

 横浜市内では、MOVと提携しているタクシー会社が多いため、今回の連携につながったという。

 ルート検索画面から、タクシーを呼ぶボタンで簡単にタクシー配車を依頼できる。MOVを利用する場合はMOVアプリが起動する。Japan Taxiを利用する場合は、my routeアプリ上で決済まで完了できる。

トヨタや日産のカーシェアもサポート、駐車場予約も

 カーシェアはトヨタのラクモと日産自動車のe-シェアモビと連携する。ルート検索で表示されたステーションでの予約を各社のサイト経由で行うことができる。

 カーシェアでは免許証の登録などが必要のため、事前に各社サイトで会員登録が必要となる。

 また、目的地周辺の駐車場の予約もできる。駐車場予約は「akippa(アキッパ)」と連携し、決済まで行えるという。

シェアサイクル「baybike」のステーションも検索できる

 シェアサイクルはドコモ・バイクシェアと連携し「baybike」をサポートする。ルート検索画面では現在地や目的地もしくはルート上に近いステーションを検索できる。予約ボタンを押すことで、ルート上で借りるステーションで借りられる自転車を指定して予約できる。

 アプリ内で解除キーや利用料金の精算まで行える。ドコモ・バイクシェアの会員登録は不要。

ルート上の観光スポットや横浜独自の交通手段も案内

 同アプリでは検索ルート上の観光案内も確認できる。検索ルートに沿って移動中に近くの飲食店や観光地などの情報を提供する。情報は「観る」「遊ぶ」「食べる」「買う」のカテゴリーと特集ページにまとめられている。

 また、横浜オリジナルの移動手段も提案する。クルージングやオープントップバスなど情報や、23日に運行開始したばかりの連節バス「ベイサイドブルー」も移動手段として情報を提供するという。

 このほか、みなとみらい地区の横浜市営バスとブルーラインのフリー乗車券をアプリ上で購入できる機能も導入。デジタル乗車券としてアプリに内包するほか、英語にも対応し海外からのユーザーにも対応するとしている。

これからもっと成長するサービスに

 アットヨコハマの上野 健彦氏は、同アプリはリリースしたばかりのアプリだとし、これからも利用者の声を拾ってより充実したサービスに仕上げていくという。

 アプリ内の観光情報は、横浜市の担当者と連携し地道に情報収集してきたという。約2年半の歳月をかけ取り組んできたといい、今後もさらに充実させていくとしている。

 また、連携する交通手段も順次拡大していく考えを示した。日産自動車との連携についても、ユーザーにさまざまな交通手段を提供する一環だという。今後も他社のカーシェアやレンタカーなどと連携する余地はあるとしている。

my route横浜版で実際にサイクリングしてみた

 筆者は早速my route横浜版を使ってルートの検索から移動まで行ってみた。

 今回は、みなとみらい線馬車道駅周辺から根岸線の関内駅までシェアサイクルで移動した。検索画面では、徒歩のほか、タクシーや路線バス、自転車など近距離の移動にもかかわらずさまざまな移動手段を提案された。この中の「サイクルシェア」を利用したルートを選択する。

さまざまな交通手段を案内する

 ルート上にシェアサイクルを利用する区間があれば、「予約」ボタンが現れるのでタップすると、最寄りのステーションで開いている自転車を予約できる。

 支払いはアプリに登録しているクレジットカードのほか「TOYOTA Wallet」とも連携している。自転車を選んで予約すると、自転車のロック解除に必要なパスコードが表示されるので、あとはこの番号を入力して自転車を借りる。

貸出時に必要なパスコードはアプリで確認できる

 返却先のステーションも地図で確認でき、返却操作などはドコモ・バイクシェアの操作方法と同じ。アプリ上で予約の確認や返却後の利用料金も確認できる。

返却確認もアプリ上で行える

 筆者は都内の臨海部などでよくドコモのシェアサイクルを利用している。これまでは地図アプリで「目的地までのルートを検索」し、シェアサイクルアプリで「最寄りのステーションを検索」し自転車を借り、目的地周辺で「返却できるステーションを検索」する必要があった。

 初めて行く場所では使いづらいと思っていたが、このアプリであればこれらが一発で案内されるので、非常にスムーズな移動ができると感じた。